
日立女子中学生誘拐殺人
日立女子中学生誘拐殺人とは、1978年に茨城県日立市にて発生した、綿引誠(当時39歳)が妻の妹である中学3年生の辛 裕子さん(しん ひろこ、通名:辛島裕子、当時14歳)を誘拐殺害した事件である。
事件概要
茨城県日立市の鉄工業経営・綿引誠(当時39歳)は韓国の愛人に貢ぐため数十回にわたり訪韓を重ね1395万円の借金を抱えてしまった。そこで一獲千金を得ようと妻の養父方の娘で中学3年生の辛 裕子さん(当時14歳)を誘拐し身代金の奪取を計画した。 1978年(昭和53年)10月16日、下校途中の辛 裕子さんに声をかけ、自分の車に乗せて人通りの少なくなったところでクロロホルムを吸引させ失神させた。 更に綿引は車中で失神している辛 裕子さんに欲情を湧き姦淫をしようと局部をもてあそんだが姦淫そのものは未遂に終わった。その後、辛 裕子さんの頸部と鼻口部の圧迫で窒息死させ付近の草むらに死体を遺棄した。綿引はその一時間後、辛 裕子さん宅に関西弁訛りで身代金3000万円を要求する電話をかけた。
クロロホルム
麻酔作用があることは一般にも有名であり、テレビドラマや推理小説、あるいは漫画などで頻繁に登場する。典型的なシーンは、 クロロホルムを数滴ハンカチにしみこませる。 後ろから被害者にこっそり近づき、鼻と口をおさえる。 被害者は抵抗するが、すぐぐったりとして寝てしまう。 次の場面で被害者は頭痛と共に目覚める。 というものである。 クロロホルム自体は実際には多少吸引しても気を失うことはなく、せいぜい咳や吐き気、あるいは頭痛に襲われる程度である。上述の通りクロロホルムには麻酔性があることは事実であるが、これを発現させるためには相当量を吸引させなければならない。他方、過度の吸引腎不全を引き起こし、死に至らしめる可能性が高く、麻酔として用いるためには吸引量と全身状態を管理された状態に置かねばならない。すなわち麻酔としてクロロホルムを用いるためには、かけられる側にも「麻酔される意志」が必要であるということである。
綿引誠
本事件の犯人綿引誠は、韓国で知り合ったキーセンにのめり込み、度々の渡韓を繰り返し、その関係を維持するために、多額の借金をし、その額は、事件当時1395万円にも上っていた。その返済資金や、渡韓資金を得ようとして為したのがこの犯行である。 車内で、クロロホルムを嗅がせ気を失わせたのは、テレビ番組にヒントを得たものであった。のみならず、同女を姦淫しようとしたが果たせず、頸部と鼻腔部を圧迫して死に至らしめた。 綿引は、身代金の札番号から犯行が発覚することを怖れ、韓国で別の銀行券に交換しようと考えていた。計画後、実行に到るまで5ヶ月間という用意周到さであった。 綿引は、被害者殺害後、身代金3000万円を取ろうとして僅か一時間にして身代金要求の電話を掛けている。綿引誠に前科はない。車両運送法違反による罰金刑が一度だけ。川で溺れそうになった少年を救助したことがある。 捜査本部では、辛 裕子さん宅が金融業やパチンコ店を経営する富豪で市内有数の資産家であり、身代金目的の犯行として捜査を続けていたところ、辛 裕子さんが日頃「誠兄ちゃん」と慕っていた綿引に多大な借金があることや犯行日のアリバイがはっきりしていないことなどから事情聴取し犯人と断定。身代金目的拐取、殺人などの容疑で逮捕した。 辛 裕子さんは綿引の妻の実家の娘であり親戚関係にあった。このことから、辛 裕子さんの父親は綿引に数百万円の資金援助をしており相互に親密な関係を維持していた。 また辛 裕子さんは綿引を実の兄のように慕っていた関係でもあった。そのため、辛 裕子さんの親族の心痛は多大で特に母親は事件から4年経った段階でも床に臥す状態であった。
裁判
裁判焦点
綿引被告は一審で捜査段階の供述を翻し、殺人の事実は認めたが、誘拐の事実と共に、娘にいたずらしたことを否認していた。 判決は、親族から慰謝料500万円を供託していること、反省している態度をみせていること、前科がないことなども斟酌されたが、犯行そのものの悪質さや社会的影響などを考慮し、死刑を選択した。 控訴審で被告側は誘拐、いたずらの事実を否認して量刑不当を訴えたが、判決は一審判決の事実を認定し、被告側の主張を退けた。 上告審で被告・弁護側は、「犯行の動機は単に少女を乱暴したいということで、身代金誘拐の目的はなかった」と主張、初めていたずらの事実を認めた。そして死刑制度の違憲論も展開し、無期懲役への減刑を求めた。 判決で角田裁判長はまず、「死刑制度を違憲とする主張には理由がない」とした。そして「綿引被告に身代金を奪う目的があったとする二審判決の事実認定は正当。女性との遊びから多額の借金を抱え、借金返済をするために親類同様の付き合いをしていた家の娘を誇拐して殺害した。そのうえで家族に電話で身代金を要求し、犯行は計画的だった」と述べた。「犯行は計画的で、冷酷非情なもの。遺族の被害感情も深刻で社会に与えた影響も大きい」と結論づけた。
事件ルポ
1978年10月16日21時5分、茨城県日立市で「下校途中に娘が誘拐され身代金3000万円を要求された」と父親から通報があった。 誘拐されたのは辛 ●福さん(62)の長女で日立市立久慈中学校3年5組辛 裕子さん(14)。父親の辛 ●福さんは韓国籍で、辛 裕子さんは中学校では辛島 裕子と呼ばれていた。 辛 裕子さんは15時30分に授業を終えた後、16時頃友達4人と正門を出て、途中、●本書店に寄り、●春荘病院の交差点を右折し、自宅まで200メートルの所で友人と16時30分に別れた後、行方が途絶えていた。 脅迫電話の男は関西弁なまりだった。10月17日17時、辛 裕子さんは変わり果てた姿となって発見された。 発見されたのは、日立市森山町の風神山(241,9m)の山頂付近で、辛 裕子さんは黒い鞄を抱くような格好だった。発見したのは茨城キリスト教大学1年生の学生(18)とその友達で、麓の日立研究所まで下山し通報したという。 辛 裕子さんの母親はこの悲しい知らせにショックで意識を失い救急車で運ばれ入院した。 10月19日、更に悲しい結末が待っていた。 義兄の犯行。 茨城県勝田市の国道6号線沿いの喫茶店サルーンで友達と待ち合わせをしていた工具店経営綿引誠(39)を張り込んでいた警官が同行、事情聴取した。捜査本部は辛裕子さん宅が資産家である事から身代金目的の誘拐事件と決めて捜査したところ、綿引誠に多大な借金がある事や犯行日のアリバイが曖昧な事等から事情聴取し犯人と断定、逮捕した。 綿引誠は辛裕子さんの義兄で、辛裕子さんは「誠兄ちゃん」と呼び実の兄の様に慕っていた。綿引は「ヒロコ」と呼んでいた。とても仲良しだった。 裕子さんの父親辛 ●福さんは韓国籍で、昭和31年に山口県から日立市に移り、金融業やパチンコ店を経営する富豪であり、市内有数の資産家だった。 一方綿引は工具店が1000万円の赤字で、キーセン遊びにもはまっており1395万円の借金を抱えてしまった。 辛 裕子さんは明るく成績はオール4の優等生だった。ピアノが上手だったが家には8年前に買ったオルガンしかなかった。両親がピアノを買い与えようとすると「まだ使えるからイイよ」と言った。物を大事にする娘だった。 綿引は事件の前日、辛 裕子さんのピアノを聴いている。 辛 裕子さんは綿引の事を「誠兄ちゃん」と呼んで実の兄の様に慕っていた。とても慎重で他人の車なんかに乗らない辛 裕子さんが唯一心を許して乗った車が綿引の車だった。 綿引にも娘がいた。逮捕後転校を余儀なくされている。綿引の妻と娘はどこで何をしてるだろうか…。裕子さんのお兄様方はパチンコ店経営で大成しているらしいが、心の傷は癒えないだろう。
辛一族の経営店
病死
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