シリンダー錠にまつわる怖い話・・・
仕事から帰ったら部屋の前にオッサンが二人で立ってた。
290 :本当にあった怖い名無し:2015/11/29(日) 20:34:27.56 ID:TWxMU3Kl0.neん?何だあ?と思って近付くと強面のオッサンで思わず後退り。
「あぁ、ちょっと話を聞かせてください」
……警察の人だった。
「ここに住んで何年になるか」とか、
「同居人はいつからいるか」とか聞かれた。
しばらくして管理会社の人間が来た。
管理会社の奴が、一人暮しとしてご契約いただいてますが、と言ってきた。
警察は「とにかく開けろ」と言うから、とにかく開けた。
いつも通りに電気の消えた部屋に明かりを点けると、これまたいつも通り。
「あのぉ、俺ずっと一人暮しで彼女もいないし友達も家には来ませんが……」
と言うと、警察が詰め寄ってきて
「そんなはずはない。昼間に何度も確認している」と言う。
鑑識とかも待機してたようで部屋に入り切れないほどになり、近所の人も出てきてパトカーもゾロゾロ。
警戒線まで張られて俺は任意同行で近所の署まで連れて行かれた。
警察で取り調べ室みたいなところに通されてあれこれ聞かれた。
ひたすら質問の中心は、同居人の存在とアリバイみたいな話だった。「同居人はいない」と何度言っても信じてはもらえない感じは、話の内容としつこさでわかった。
しかし警察の調べた時間はいつも夕方までで、俺が帰る頃から後の時間で俺以外の存在は確認されてなかった。
そこを指摘すると向こうは次に、誰かに部屋を貸してないか、と言い出した。
そうこうするうちに車で一時間ほどの距離に住んでる両親が呼ばれて来た。
唯一部屋の鍵を持ってるのが母親で、月に一度は部屋のそうじや食料の補充をしていた。
その母親が、「昼間に来てた時に不審な奴が部屋を訪ねて来てた」と言ったもんだからまた混乱してた。
拘束は三日続いて、その間に部屋の指紋が全部取られ、俺と母親以外の指紋が三つ出たと聞かされた。
そのうちの一つが薬の売人の前持ち(前科者)だった。
……全く知らない奴。
警察は、昼間に俺の部屋を出入りする奴がヤクの前持ちだったのを見つけてマークしてたらしい。
俺が拘束された日の昼間にもそいつがいて、部屋を出たところを拘束し、部屋の持ち主が帰るまで待ってたんだと。
真相は_
俺が入居する前にそいつの知り合いがその部屋に入ってた。そのアパートは入居者が変わる時に鍵のシリンダーを交換しないっていうのを偶然知って、コピーキーを合わせてみたらビンゴ。
俺のいない昼間にヤクの取り引き場所に使ってた。
その間二ヶ月ほど。俺は帰って寝るだけの生活だったので、また母親が来たのかな程度だったから気付かなかった。
売人も関係者もみんなパクられて、俺との関係がないことがわかって無事釈放。
会社でも事の真相が明かされるまで俺はヤク中あつかいされてたけど、小さな会社だったおかげで誤解はじきに解けた。
今は平穏に暮らしてるが大変な目にあった。
でも、引っ越して半年程は休みの日の午後に窓の外を見たら、不自然な駐車をしたセダンにオッサン二人で乗ってるのを見かけたよ。
完全には信じてもらえてなかったんだろな。
あれから五年……
今でも休みの日に窓の外を確認してしまう。トラウマ。