友達の彼女

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大学生の時だな、友達迫田に遠距離の彼女が出来たらしくて、まぁ毎日のろけ話のウザいことウザいこと。

53 本当にあった怖い名無し 2013/01/20(日) 13:43:04.44 ID:xjNrxpcI0

そんである日、迫田の家で遊んでた時のこと。


午前二時頃だな、迫田が眠気に負けて寝落ちしたんだ。


すると俺と同じく迫田ののろけ話に辟易してた別の友達伊藤が、


「迫田の携帯から迫田の彼女にイタ電しようぜ」って言い出した。


今考えるとかなりDQNな行動だし、反省もしてるんだが、お酒が入ってたのもあって、とにかくその時は俺もノリノリだったんだ。


迫田の携帯をこっそり開いて、とりあえずはメールでも見てやろうと受信ボックスを開く。


もうね、迫田の彼女の名前がずらーっとね。


ちょくちょく摘まんで読んでみたところ、甘々なメールばかり。


送信ボックスも見た。


これまた甘々なメールの数々に俺と伊藤爆笑。


同時に嫉妬の炎が俺達の心の中に燃え上がり、これはもう本当にイタ電するっきゃないとなった。


何故か着信履歴には迫田の彼女の名前が無かったので、アドレス帳から探し、発信。


出るかなー、なんてワクワクしてたところ、部屋に謎の着信音が鳴り響いた。


「…お前の携帯?」


伊藤は言う。


「いや、俺のじゃないよ、伊藤じゃない?」


その時迫田の部屋にいたのは、俺と迫田と伊藤の三人だ。


俺の携帯じゃない。伊藤の携帯でもない。


迫田の携帯は今俺が持ってる。


この部屋にもう一台携帯がある筈は無いんだ。


迫田の彼女にかけた途端に鳴り出した、謎の携帯。


これが指し示す事実は、まぁ、一つしか無いよな。


音の出所を探す。


迫田がいつも持ってる鞄の中から音がしていた。


開けてみると、水色の携帯が一台。


恐る恐る開く。


画面には着信の表示。


迫田の名前が出ていた。


「……こいつ何してんだよ」


伊藤がマジで引いてる。


俺もぞっとして、酔いが醒めたわ。


幸い、迫田は起きなかった。


迫田の携帯二台からそれぞれ発信、着信履歴を消し、何事も無かったかのように翌朝も振る舞った。


全然眠れなかったけどな。


それ以来、なんとなく迫田とは疎遠になっていったけど、あれからも何度かのろけ話を聞いた。


大したこと無い話なんだけど、俺的には本当に怖かったです。

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Sharetube