「懸賞金1000万円」未解決の富山市会社役員夫婦放火殺人事件とは
富山市会社役員夫婦放火殺人事件
富山市会社役員夫婦放火殺人事件(とやましかいしゃやくいんふうふほうかさつじんじけん)とは2010年4月に富山県富山市で発生した放火殺人事件。 容疑者は逮捕されておらず、現在も未解決となっている。
概要
発生場所
富山県富山市大泉
富山県富山市大泉1520番地1 SKビルディング2F
SKビル
容疑者の逮捕
2010年6月、週刊文春に対してCD-Rと一枚の手書き現場見取り図が送付されていた。富山県警は週刊文春に対し任意提出を求めたが、取材源の秘匿を理由に拒否していた。2012年8月1日、県警は差し押さえ令状によりCD-Rを押収。中には動機や困窮した現状について記されており、「格差社会のゆがみにはまり、憎悪を増幅させてしまったいきさつについて手記として書き記したい」「私の生活は困窮している。私のやり遂げなければならないことにもお金がかかる」などと金銭を要求するものだった。見取り図は犯人または警察および消防の一部しか知りえない情報であった。またCD-Rを解析する過程で文書作成者として被害者の知人であった富山県警警察官の名前がローマ字で残されていたことが判明し、捜査機関は富山県警警察官に嫌疑を向けた。同年10月31日に捜査情報を漏洩したとして富山県警警察官(当時54歳)は地方公務員法違反(守秘義務)で逮捕された。その後、11月21日に別の捜査情報の漏洩について地方公務員法違反(守秘義務)で再逮捕された。同年12月22日に放火殺人事件について殺人及び現住建造物等放火と死体損壊の疑いで逮捕された。当初は放火殺人事件の容疑を認めていた容疑者は「被害者と話していたら電話がかかってきた」と供述しており、出火する数十分前に被害者宅に電話がかかった事実があったことから秘密の暴露と判断されていた。
また容疑者には余罪として2008年7月13日に富山市の親族宅に侵入して財布を盗み、同16日には別の親族宅で金庫を壊し数十万円相当の金塊と現金十数万円を盗んだ容疑が浮上。事件現場には容疑者の懐中電灯が遺留していたが、容疑者は「車上狙いに遭って盗まれた」と虚偽の届けをしていた。2012年の捜査の過程で窃盗事件への関与が発覚したが、親族間窃盗は告訴がなければ起訴できず、親族が告訴しなかったため、窃盗罪については不起訴処分となった。
CD-Rに入っていた犯行告白の全文(原文のママ)
週刊文春編集部様突然のたより(CD―ROM)まことに申し訳ありません。
殺伐とした事件が多い中、私も二人の人を殺めてしまった者でございます。
4月20日、富山市内での資産家夫婦殺害放火事件の犯人は私です。
警察の捜査は、未だ私の身辺には及んでおりません(決して富山の警察をばかにしているのではありません)旦那さんといっしょに仕事をしておられたKさんでさえ私のことは知らないと思います。
人を二人も殺めてしまったことに弁解の余地がないことは十分判っておりますが、格差社会の歪みにはまり、憎悪を増幅させてしまったいきさつについて手記として書き記したいと思います。
私が犯人であるという証拠は、同封の遺体の位置を記した略図を富山の警察の捜査本部に見せていただければわかっていただけると思います。
手記の内容には、出自や家族構成、民族的な事柄など、私に結びつくようなことは一切書きませんが、殺めるに至ったいきさつについては十分な内容だと思います。
私はやるべきことをすべてやり遂げたあと、自首するつもりです。(間違いなく死刑となるでしょう)
私の生活は困窮しております。私のやり遂げなければならないことにもお金がかかります。ですから、まことに申し訳ないのですが、お買い上げいただくという形をとらせてもらえないでしょうか。
お金の受け取りに警察の方や貴誌の記者の方が張り込まないという条件をお受けいただけるのであれば、6月24日発売の貴誌末巻の「読者より」のページの片隅に
誓う・守るを清酒、手記を酒器として
清酒・酒器○○○(金額)
と掲載していただき、金額が希望する程度のものに近ければ、送金の方法をお知らせし、お金を受け取った後、手記をお送りいたします。
貴誌のモラルに反するということで、お買い上げできないことも想定して、これと同じものを、週刊現代さんとポストさんにも送らさせていただきました。
ただ、金額を吊り上げるものではなく、あくまで、希望するものに近い雑誌に送らせてもらいたいと思っています。
馬鹿なことをしでかした馬鹿な人間の遺族感情を逆なでする行為ではございますが、歪んでしまったいきさつをどうか知ってもらいたく、このような愚挙に出た次第です。
よろしくお願いいたします。
犯人を名乗る者が出版社に送りつけた図面
犯人を名乗る者が出版社に送りつけた図面
現場から持ち去られた可能性がある財布(同種品)
現場から持ち去られた可能性がある財布(同種品)
不起訴
容疑者は当初は容疑を認めていたが、起訴の可否を判断する段階で以下の点がネックとなり、2013年1月11日に精神鑑定、同年5月21日に処分保留、同年7月24日に富山地検は「複数の疑問点がある」として嫌疑不十分で不起訴処分とした。
週刊文春へ送ったCD-Rの作成時期について容疑者は「6月上旬」と供述しているが、実際の記録は「5月12日」であり、「1ヶ月」のズレがあること週刊文春へ送ったCD-Rの作成時期に記録されている「5月12日」は容疑者は当時の所属だった高岡警察署留置管理課で勤務していてアリバイがあること
週刊文春へ送ったCD-Rの文書ソフトのバージョンが容疑者が使用したと説明したノートパソコンの設定と異なること
容疑者のノートパソコンにCD-Rに絡む文章を作成した痕跡がなかったこと
容疑者は「夫婦の首をひもで絞めた」と供述したが、法医学者の一部が手で絞めた扼殺の可能性を指摘していること
事件前後に通ったという道路の防犯カメラに容疑者が映っていないこと
容疑者の供述では凶器や財布を川に捨てたとあるが、現場を捜索しても凶器や財布が見つからないこと
動機について「30年以上前からの付き合いの積み重ねでやった。親の恨みが子供に引き継がれることもある」と供述しているが、裏付けが取れないこと
2013年5月の処分保留以降「自分がやったのか分からない」と容疑者の供述が曖昧になったこと
男性は殺人容疑とは別に、知人に捜査情報を漏らした地方公務員法(守秘義務)違反で2012年12月7日に起訴されており、2013年3月25日で懲戒免職となった。こちらについては同年7月25日、富山地方裁判所が懲役1年・執行猶予4年の判決を言い渡した。これにより、同日被告は富山拘置所から釈放された。
真犯人は? 情報提供求む
どんな些細なことでも結構です。情報の提供をお願いします。
※事件解決に結びつく有力な情報を提供した方に対し、捜査特別報奨金上限500万円、富山市大泉地内の殺人・放火事件捜査に協力する会からの謝礼金500万円(合計1,000万円)をお支払いする制度が適用されます。
情報専用フォーム
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