岸和田中学生虐待事件の「烏野康信・川口奈津代」とは
岸和田中学生虐待事件
岸和田中学生虐待事件とは2004年1月26日付の朝刊各紙で報道された、大阪府岸和田市で当時中学3年の長男を餓死寸前まで虐待した事件である。保護された時、長男は身長155センチに対し、体重が24キロと餓死寸前にまで追い込まれており、殺人未遂罪に問われた。事件直後は長男は意識不明の状態が続いたが、治療の結果辛うじて意識を回復し、簡単な会話ができる程度には回復した。だが知能は著しく低下し、また身体に障害も残った。父、継母の両被告に懲役14年の実刑判決が言い渡された。
加害者
トラック運転手の烏野康信容疑者
内縁の妻である川口奈津代容疑者
事件の概要
父親は、1988年に被害者である長男の実の母親と結婚する。そして、長男と1歳違いの次男をもうけたが、1995年に離婚。子供2人は父方の祖父母が引き取った。1998年頃、父親は子連れの母と一緒に住むようになり、子供2人も呼び戻し5人での生活を始めたが、やがて呼び戻された子ども2人への児童虐待が始まる。トラック運転手の父親と、内縁の妻は、2002年6月ごろから長男に暴行を行ったり、食事を数日間とらせないなどの虐待を繰り返した。2002年10月には弟とともに不登校になる。担任は週に2、3回、少年の自宅を訪問するが、内縁の妻は「寝ているので呼び鈴を鳴らさないでほしい」と述べる。
次男は虐待に我慢できずに、2003年の夏に実の母親の元に逃げたが、長男はその時すでに自分一人では歩けなかったと見られている。2003年9月には自力で食事を取ることが出来なくなったことを認識したが、虐待発覚を恐れ放置して死亡させようと共謀した。2003年11月、衰弱死したと誤解し救急車を呼ぶまで長男を放置し、昏睡や脳萎縮などの傷害を負わせた。
長男は6帖の部屋に軟禁されていたが、その窓は頑丈に目張りされていて、外からは何も見えない状態であった。また、長男は自分では歩けないほど衰弱し、ブルーシートの上に寝かされていた。一応、掛け布団は与えられてはいたが、トイレの行き来も制限され排泄物はブルーシートの上に垂れ流しであった。
大阪府警察は、2004年1月25日に殺人未遂罪で、被害者の実父及びその内妻を逮捕。父親は、暴行については「しつけの範囲を超えていた」としながら、食事を与えなかったことについては「長男が食べなかった」と供述する。内縁の母も「長男が学校のいじめに悩んで家に引きこもるようになり、食事を取らなくなった」と、いずれも容疑を否認した。また、早朝から夜遅くまで仕事で家を空けていた父親よりも、家にいる内縁の妻の方が虐待に深く関わっていたと見て調べた。
父親と継母の二人は阪神・淡路大震災の被災地で知り合い、その頃、継母は実子に対しても食べ物を与えないなどの虐待を行っていた、という報道もあった。
「かなり痩せ細っていた。15歳と思えなかった」(少年を搬送した消防隊員)
保護された時、長男は身長155センチに対して、体重が24キロと、7歳の子ども並にまで落ちていました。
「(虐待には)気がつかなかった。拒食症と聞いていた」(長男の祖母)
長男は、小学生の時の文集で『コンピューターを扱うベンチャー企業の社長になりたい』と、将来の夢を綴っていました。中学1年の頃は活発で明るい子で、学校の行事には全て参加していたということですが、2年生の10月以降、完全に学校を欠席するようになりました。
「以前に比べてかなりやつれた姿に心配した担任が、本人に『どうしたんや?何か心配事でもあるなら相談してほしい』と話したが、猛烈な抗議が(川口容疑者から)あった」(少年の通う学校長会見より)
「母親の方から『学校に行ってはないけど、出歩いている』と言うので、『そうなんだな』って。そんな風で、『家に閉じこもっているわけではない』と、理解」(岸和田子ども家庭センター会見より)
一方で、学校は児童相談所へ相談はしていました。しかし、少年が不登校になった1年半もの間にたった2回。
「児童相談所に『親の心に入りこむ姿勢』があれば、問題がわかったのではないか。学校側の問題は『児童相談所に丸投げ』したこと。深刻だと思ったら、連絡を取り続けるべき」
少年は現在も意識不明のまま。これほどに状態になるまでに、事件は防げなかったのでしょうか。(兵庫県スクールカウンセラー 高橋哲さん)
虐待の背景
烏野容疑者は、1988年に被害者である長男の実の母親と結婚します。そして、長男と1歳違いの次男をもうけます。しかし、1995年に離婚。子ども2人は、烏野容疑者方の祖父母が引き取りました。
1998年頃、烏野容疑者は、子連れの川口容疑者と一緒に住むようになり、子ども2人も呼び戻して、5人での生活を始めましたが、おととしくらいから、呼び戻された子ども2人への虐待が始まります。
次男は虐待に我慢できずに、去年の夏、実の母親の元に逃げましたが、長男は、その時すでに自分一人では歩けなかったと見られ、今回、瀕死の状態になり、事件が発覚しました。
出典:岸和田中学生虐待事件
診断した医師の話
診断した医師の話
被害者の少年が保護された時の体重は、わずか24キロでした。1年余りで体重が半分近くまでに減るような悲惨な虐待。少年が保護された後、実際にこの少年を診断した医師の話が聞けました。
「腕の皮下脂肪がない、胸の筋肉が全然ない。明らかに飢餓であるとみて間違いない。病気にかかっているならないことはないが、虐待事例で、ここまで酷い状態を見るのは初めて」
Q.容疑者は「長男は拒食症だ」と言っているが・・・?「私も最初は拒食症として相談を受けた。ただ、事例が明らかになるにつれて、兄弟2人の体重が、同時に減っていることを知った。これは本人の遺伝性や体質ではなく、明らかに外部環境による栄養障害。絶対、拒食症ではない」
Q.少年はどうして逃げられなかったのか?
「お腹が空く程度であれば、何か食べたいと欲する。でも、低血糖症や栄養障害が長期間続くと、正常な判断ができなくなり、食べ物を見ても吐き気を催すようになる」
Q.少年は今後どうなる?
「長期間、食事を意図的に制限され、暴行されたとすると、心のトラウマが大変。意識が戻ったとしても、あの子はこれからも長期間苦しむことになる」
Q.今回の事件をどう思いますか?
「法医学やってますから、相当なものは見ているが、今回は最も悲惨な例のひとつですね」
出典:岸和田中学生虐待事件
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