【死刑判決】愛知県蟹江町母子3人殺傷事件の「林振華」とは
愛知県蟹江町母子3人殺傷事件
2009年5月2日午後0時20分頃、愛知県蟹江町蟹江本町の民家で家主の次男(当時26歳)が1階和室で倒れて死亡し、三男(当時25歳)が手を縛られて首に怪我を負っているのを、警察官が発見。翌5月3日に母親(当時57歳)の他殺体が発見された。司法解剖の結果、2人の殺害時刻を5月1日午後9~10時頃としている。
生存した三男によると同日午前2時ごろに帰宅し、靴を脱いでいる時に背後から強い衝撃を受け、男ともみ合ううちに手を縛られ気を失ったと語っている。三男は自分を襲った人間について「外国人のようなイントネーションの日本語を話していた」と話しているが、顔については覚えていないと語っている。
その後の捜査から、犯人が被害者家に長期間滞在しており家人が用意していた食事を食べた形跡や血のついた自分の衣類を洗濯機で洗った形跡があること、飼い猫まで惨殺する手口など不可解な行動が明らかになっている。
犯人が捨てていった血のついたパーカーが遺留品として公開されている。サイズはLLサイズで全国で2003年から2004年にかけて、約450点販売されており、洗濯をせずに長期間着ていた可能性がある。家の1階廊下で見つかった母親殺害の凶器とされるスパナは国内で約3000本が流通しているが、工場に納入されるもので小売店で扱っていない物であった。
2009年12月9日に捜査特別報奨金制度に指定された。
死亡・山田喜保子さん(母親)
・雅樹さん(次男)
重傷
・勲さん(三男)
犯人像
犯人は●モンキーレンチ(母親と次男を殺害するのに用いた凶器。国内で約3000本が流通しているが、工場に納入されるもので小売店で扱っていない)
●クラフトナイフ(三男を切りつけた凶器)
●血のついたパーカー(サイズはLLサイズで全国で2003年から2004年にかけて、約450点販売されており、洗濯をせずに長期間着ていた可能性がある)
●不織布マスク(スーパーマーケット、ドラッグストアなどで購入できる大量生産品)
●防寒手袋
を遺留品として残していった。
食事に残っていた唾液から犯人の血液型はO型であると判明しており(一家にO型の人間はいない)、個人を特定する指紋も検出された。
母親喜保子さんの状況
>山田さん一家は母親の喜保子さん、次男の雅樹さん、三男の勲さんの三人で住んでいた。>三男の勲さんが1日の夜8時ごろに帰宅。友人との飲食に出かける際、喜保子さんは自宅にいた。
>喜保子さんは事件発覚の翌3日の午後、1階玄関西側の和室の押し入れ下段で見つかった。
>体の前面を奥に向け、頭を東側にして斜め上を見るようにして倒れていたという。
>上から毛布が掛けられていた。着衣は肌着1枚だけだったという。
>肌着姿で押し入れの入り口に背中を向けて座るような姿勢で
>2人はともに顔が腫れ皮下出血があり、何度も殴られたとみられる。
>凶器はスパナとみられ、頭蓋骨が割れるほど頭を何度も殴られていた。
>喜保子さんの後頭部の骨が激しく折れていたほか、ひも状のもので首を絞められたあともあった。
>喜保子さんには、両腕には抵抗した際にできた打撲痕があった
>刺し傷とみられた背中の傷は、鈍器による擦過傷などだった。
>司法解剖した結果、死因は頭蓋骨骨折による外傷性脳障害。
>喜保子さんの遺体を隠すため、毛布に乗せて押し入れのある和室へ運んだとみられている。
>喜保子さんの胃には夕食のタケノコやサヤエンドウが残っていた。
>1日午後9時ごろ友人と電話で話しており、その後間もなく襲われたとみられる。
>喜保子さんは午後9~10時に1階和室で就寝するのが日課で、就寝直前に襲われたとみられる。
>鉄製スパナは、新潟県三条市の「トップ工業」が製造した「ワイドモンキーレンチ エコワイド」。
>スパナは、畳まれたパーカと一緒に玄関付近に置かれていた。
次男雅樹さんの状況
>雅樹さんの遺体は和室の布団の上で見つかったが、遺体を別の部屋から移動した形跡はなく、>帰宅直後に玄関脇の和室で襲われたとみられている。
>和室では雅樹さんが上半身裸の状態で背中を刺され、うつぶせで倒れていた。
>周囲には血だまりが広がり、すでに息絶えていた。
>雅樹さんの首には、素手で相当強く絞められ爪の食い込んだ跡まで残っていたということです。
>雅樹さんは、背中の刺し傷のほか、首に手で絞められたような跡があり、
>顔にも激しく殴打された跡が残っていた
>司法解剖の結果、雅樹さんの死因は左肺動脈切断による出血性ショックだった。
>洗面台で見つかった包丁は、刃が柄から外れた状態で、刃の部分は水を張った洗面台に浸され、
>柄は蛇口の近くに置かれていた。水道水は出しっぱなしで、血を洗い流したとみられている。
>包丁は強い衝撃で刃の根元から外れており
>包丁はもともと喜保子さん方の台所にあったものだ
>雅樹さんの胃には固形物が残っていなかった
>9時半に自宅まで車で約15分の勤務先を出た時と同じズボンをはいていた。
>雅樹さんは約8キロ離れた職場に車で通勤。1日は午後9時45~50分頃には帰宅したとみられる。
>雅樹さんの勤務先の同僚が1日午後10時ごろに雅樹さんの携帯電話に電話したところ応答がなく、
>この時間帯に既に殺害されていた可能性が高い。
>雅樹さんの携帯電話に電話したのは勤務先の洋菓子店の同僚女性。
三男勲さんの状況
>勲さんは1日午後7時50分ごろまで勤め先の清涼飲料関係会社で仕事をして、同8時ごろに帰宅。>服を着替えて友人との飲食に出かけ、2日午前2時過ぎまで飲んだ後、同2時半ごろ帰宅。
>勲さんは帰宅したが、すぐに外出。自宅には喜保子さんしかいなかったとみられる。
>勲さんは1日午後9時半頃から2日午前2時頃まで名古屋市内で友人と飲酒し、タクシーで帰宅。
>勲さんの上着をまくり上げて頭を覆い、別の衣類をかぶせたうえ、
>首のあたりに粘着テープを巻いて固定するなどした
>口を粘着テープでふさがれたと話している。テープは意識を回復した際に自力で外した
>2人の遺体が見つかった1階和室に寝かされたという。
>勲さんは首の後ろに2カ所の刺し傷と肩甲骨辺りに数カ所の切り傷を負っていた。
>首の後ろ側に深さ5センチと3センチの傷を負った。小刀の形状はこの刺し傷と符合する可能性がある
>駆けつけた消防隊員は「(三男は)首の後ろですね、後頸部(けいぶ)に2カ所と、
>肩に近い状態のところに4カ所ぐらいありましたので」と話した。
>刃物で襲われた際、男が金を要求したのに対し、勲さんが「うちには金はない」と答えるなどのやりとりをした
>男は勲さんに「2人殺した」「金はないか」と言ったという。
>男に襲われた際にもみ合いとなり「男が持っていた包丁を奪ったら、相手の足に当たった」
>夜が明けた後には、新聞配達と次男の勤めるケーキ店従業員が玄関のチャイムを鳴らすなどしていたが、
>「出ていいか」と尋ねる勲さんに、犯人は「駄目だ」と言って黙らせたり、頭から布団をかぶせたりしたという。
>勲さんは母親と兄雅樹さん(26)が殺害されたことについて「犯人から聞いた」と話している
>勲さんは「男の顔を一瞬見た」と話しているが、もみ合った際に意識を失ったため、
>男の特徴や服装などははっきり覚えていないという。
>勲さんは「見知らぬ男で、外国人のようなイントネーションだった」と話している
>犯人は犯行の目的について、金目当てでたまたま襲ったという趣旨の説明をした
>襲われて意識を失ったが、その後、目が覚めて『早く帰ってくれ』と言った」と説明
>犯人は「まだやることがある」と現場に居座り続けた。
>次男雅樹さんの上司と同署地域課の男性巡査が2日午後0時20分ごろ、山田さん方を訪れると、
>両手を電気コードで縛られた勲さんが自力で玄関から出てきて
>「強盗に遭いました。中で2人死んでいます。犯人は逃げました」と助けを求めた。
>玄関のチャイムが鳴った際、近くに犯人がいないことがわかったため、力を振り絞って起き上がり、
>玄関の鍵を開けて外へ出た
>1階和室から、血の付いた小刀が見つかった。小刀は洗ったような形跡はないという。
>自宅にあったものではなく、犯人が持ち込んだ可能性が高いという。
>三男を襲うのに使ったとみられる凶器は、大阪府のメーカーが製造する切り出しナイフで
>大阪府のオルファ社が約30年前から製造しているステンレス製の切り出しナイフとわかりました。
容疑者の逮捕
2012年12月7日、別の自動車窃盗事件で逮捕されていた中国国籍の男(29歳)のDNAが本件の遺留品と一致したため、強盗殺人および強盗殺人未遂の疑いで逮捕された。動機については「生活に困っていた」と供述し、ひったくり等で金を得るため当時住んでいた三重県から名古屋市へ向かったが、都会の雑踏で犯行を断念し、戻りの急行電車が最初に停まった近鉄蟹江駅で降りたという。空き巣狙いに切り換えて周辺を物色していたところ、被害者宅に飼い猫が入っていく様子を目撃し、玄関が施錠されていないことに気付いて侵入先に選んだ。凶器のスパナや小刀は事前に準備していたとみられ、「侵入し、見つかったら殺すつもりだった」と述べているという。
三男のみ生存させたまま長時間滞在した理由は「命乞いされたため」と話しており、金のありかを尋ねたり血のついた衣服の洗濯など証拠隠滅を図る間に言葉を交わしたりするうち、殺害をためらうようになったと見られる。
死刑判決
<2015年 2月20日>愛知県蟹江町で2009年5月、会社員山田喜保子さん(当時57歳)ら親子3人を殺傷したなどとして、強盗殺人罪などに問われた中国籍の元三重大留学生、林振華被告(31)の裁判員裁判の判決で、名古屋地裁は20日、求刑通り死刑を言い渡した。
松田俊哉裁判長は「犯行は強固な犯意に基づく冷酷なもので、極刑を回避する特別な事情はない」と述べた。
出典:Yahoo!ニュース
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