【死刑判決】宇都宮宝石店放火殺人事件の「篠沢一男」とは
宇都宮宝石店放火殺人事件
宇都宮宝石店放火殺人事件(うつのみやほうせきてん ほうかさつじんじけん)は、2000年6月11日、栃木県宇都宮市にあるジュエリーツツミ宇都宮店で、産業廃棄物処理会社相談役を自称する男(当時49歳)が指輪など293点約1億4000万円相当を奪った上、店長を含む当時店内にいた従業員全員を拘束した上で店内に放火し、6人全員を殺害した事件である。
経緯
平成12年6月11日午後7時30分頃、栃木県宇都宮市のジュエリーツツミ宇都宮店に自称産業廃棄物処理会社相談役の篠沢一男(当時49歳)が入店してきた。篠沢は以前同店で貴金属を購入した実績があり店長や店員らと面識があった。篠沢はこの日の午後5時頃に一度同店を訪れて「1億5000万円分の取引をしたい。現金で購入するから商品を用意してくれ」と店長に伝えていた。店長の荒井紀美子さん(当時49歳)は、以前も同様の取引を篠沢から持ちかけられたが、その時は篠沢がいう産業廃棄物会社の実体が無かったことから取引には至らなかった。だが、今回は現金で購入するという篠沢の言葉を信じて取引に応じた。
荒井店長は1億円以上の商品を揃えるには時間がかかるため、改めて7時30分頃に来店して欲しいと篠沢に伝えた。このため、篠沢は改めて指定時間に再び同店を訪れたのだった。この時、荒井店長の他、松山名美子さん(当時51歳)、堀美知子さん(当時51歳)、久野みち子さん(当時41歳)、立川正恵さん(当時24歳)、浅沼祥子さん(当時22歳)の5人の店員がこの取引のため残業をしていた。
篠沢は、大きなブランドのバックを持参して「この中に1億5000万円が入っている」と荒井店長らを騙して、バックの中に1億4000万円余りの貴金属類を入れさせた。その直後、篠沢は「動いたり、騒いだりすんじゃねぇぞ」と怒鳴りつけ凶悪犯に豹変した。その後、荒井店長ら6人を粘着テープで縛り上げ店舗奥の休憩室に押し込んだ。
すると、篠沢は持参したオイル缶からガソリンを6人の全身や付近の床などに撒いて放火して逃走した。同店はたちまち猛火に包まれた。通報で急行した消防車17台が懸命の消火作業を行ったが鎮火したのは翌日の午前0時15分頃だった。直後、消防署の現場検証で炭化した男女の区別もつかない6体の焼死体を発見。更にオイル缶が発見されたことで放火と断定した。直ちに栃木県警は放火殺人事件として捜査を開始した。
逮捕
出典:テレビにだまされないぞぉ
宇都宮宝石店放火殺人事件とは【篠沢一男】
栃木県警は篠沢が容疑者であると断定するには時間がかからなかった。それは以前、篠沢が貴金属の取引を持ちかけたとき「ジュエリーツツミ」本社が身元調査した結果、かなり要注意人物であると認定し宇都宮店に注意を促していたこと。だが今回は現金取引をしたいとの申し出があったことは本社でも確認していた。また、放火後にズボンの裾を燃やしながら同店から出てくる男の映像が商店街のカメラに映し出されており、その容姿が篠沢に酷似していたこと。このことから、栃木県警は篠沢が犯人であると断定し行方を追った。栃木県警は篠沢の身辺捜査をした結果、愛車である「ポンティアック」が東武宇都宮駅前の立体駐車場に駐車していることが判明。このため捜査班は同駐車場を監視した結果、翌日12日11:30頃、駐車場に現れた篠沢に任意同行を求め、取調べの結果強盗及び放火殺人容疑で逮捕した。
篠沢は栃木・小山市で出生。高校を中退したあと関西の蕎麦屋に就職。その後、地元に戻り父親の援助でうどん屋を開業したが長続きせず休業。その間、父親の脛をかじって外車を乗り回し、愛人を月10万円の手当で囲っていた。だが、無職の篠沢にいつまでも派手な生活が続く訳が無く、一攫千金を狙って犯行に及んだ。
出典:宝石店放火殺人
裁判
現場の焼失・被害者遺体の損傷により、物的証拠が少なかったため、防犯カメラの映像証拠および自白の信憑性に重点が置かれた。男は、強盗の事実は認めるが、「脅すつもりでライターの火を付けたところ、突然爆発した。殺すつもりはなかった」等と殺意を否認し、自白についても精神的動揺を理由に信用性が低いと主張した。2002年3月19日、宇都宮地方裁判所は「凶悪、悪質で他に類をみない」と求刑通り死刑判決を言い渡した。2003年4月23日、東京高等裁判所は「犯罪史上まれにみる凶悪な事件」として控訴を棄却し、2007年2月20日、最高裁判所は上告を棄却して死刑が確定する。確定死刑囚として東京拘置所に収監された男は、2008年に死刑廃止団体が行ったアンケートに「死刑になるのか、きもちの整理がつきません。死刑とはざんこくなものです」と答える。
刑執行
宇都宮市の宝石店放火殺人事件で犠牲になった立川正恵さん=当時(24)=の遺族は28日午前、報道関係者からの電話で篠沢一男死刑囚(59)の刑執行を知った。
栃木県内の自宅で取材に応じた遺族の女性は「死刑執行は当然」と言葉少ない。
正恵さんの霊前に「執行されたよ」と報告したという。
事件から10年余り経過しての執行には「長かったという感じです」とやりきれない
様子で語った。
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