【死刑判決】品川製麺所夫婦強盗殺事件とは
品川製麺所夫婦強盗殺事件
平成14年8月31日、中国福建省籍の元解体工の謝依俤(当時25歳)は、東京都品川区のアパートの大家で製麺所経営の早川勇さん(当時64歳)宅に押し入り、早川さんと妻の蓉子さん(当時57歳)を持参したナイフで数回刺して殺害。現金4万7000円と指輪など貴金属を奪って逃走した。謝は、平成4年2月頃に中国から名古屋港に向かう貨物船に乗り込み密入国した。以降、職を転々としながら早川さんのアパートに住むようになった。だが、家賃の支払いは滞りがちで7月からはまったく支払っていなかった。一方、解体工の仕事は8月上旬には辞めていた。このため、密入国する際の借金や日本での不法滞在における数々の借金が膨れ上がった。そこで、謝は中国人仲間に「年寄り夫婦だから殺すのは簡単だ」と犯行を持ちかけたが断られたため、謝単独で犯行に至った。
謝依俤
事件当時年齢 25歳(2002年9月19日逮捕時)犯行日時 2002年8月31日
罪 状 住居侵入、強盗殺人、出入国管理及び難民認定法違反
事件名 品川製麺所夫婦強殺事件
裁判焦点
謝被告は「盗みをするつもりだった。誤って刺したが、殺すつもりはなかった」と強盗目的や殺意を否認している。論告で検察側は「金銭目的で何の落ち度もない2人の命を奪った身勝手で冷酷な犯行。反省も見られず、極刑をもって臨むほかない」と述べた。
成川裁判長は「被害者と会った際、いつでも鋭利なナイフを使用できる状態で所持しており、むしろ計画的な犯行」と指摘。その上で「ナイフで息の根を止めるまで執拗に突き刺し、強固な殺意に基づく犯行だ。その凶悪さには目を覆わしめるものがある。金銭的欲望を満たすため、何ら落ち度のない2人の命を奪った。遺族が極刑を望むのも当然。前途がある年齢で反省も示しているが死刑を回避する事情とまでは認められない」「自らの金銭的な欲望を満たすため、何ら落ち度のない2人の尊い生命をちゅうちょなく奪い、身勝手極まりない動機は酌量の余地が皆無。死刑をもって臨むことはやむを得ない」と述べた。
控訴審で謝被告は、殺意はなかった、一審が重すぎると主張。
判決で須田裁判長は、謝被告が犯行後もディスコで頻繁に遊ぶなどしていた点を指摘。また「ストッキングをかぶって侵入し、直後にナイフを抜き身にした」ことから、「(2人殺害は)強固な殺意のもとに行われた。落ち度のない被害者の生命を相次いで踏みにじった冷酷で残虐な犯行。非人間的で、極刑をもって臨むほかない」と述べ、謝被告側の主張を退けた。
2012年9月10日の最高裁弁論で、弁護側は殺意を否定して「窃盗と傷害致死罪にとどまる」と述べるとともに、「心から謝罪し、反省を深めている」と死刑回避を主張。また押収したナイフ1本を東京高裁が保管中に紛失した件について「ナイフを調べずに殺意は認定できない。重要な証拠を調べておらず、殺意を認めた二審判決は破棄されるべきだ」などと主張した。一方、検察側は「金欲しさに落ち度のない2人を惨殺し、改悛の情は認められない」と死刑を求めた。
判決で須藤裁判長は「東京高裁の管理態勢に問題があった」と指摘するものの、「紛失したナイフは凶器そのものではなく同種品。撮影、計測した報告書もあり、他の証拠から殺意を十分認定できる」と弁護側の主張を退けた。そして「生活費や遊興費に窮しての犯行で、動機に酌むべき点はない。殺傷能力の高いサバイバルナイフで被害者の胸や背中を多数回突き刺しており、強固な殺意が認められる。被害者を次々に殺害し、冷徹に金品を奪う目的を達しており冷酷で残忍。ナイフを事前に用意するなど計画的で、2人の命を奪った結果は極めて重大」と述べた。
出典:shaedy"