スタバ1杯で砂糖25杯分!ラテやモカも人間の摂取基準超、危険な砂糖依存で病気に
ドリンク1杯で砂糖小さじ25杯を飲み干している――。そんな調査結果が大きな話題になっている。
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14141.html
「Thinkstock」より ドリンク1杯で砂糖小さじ25杯を飲み干している――。そんな調査結果が大きな話題になっている。 イギリスの研究グループ「アクション…
イギリスの研究グループ「アクション・オン・シュガー」が、同国内のコーヒーチェーンやファストフード店のホットドリンク類の砂糖含有量を分析したところ、最も多かったのはスターバックス コーヒーの「グレープ・マルド・フルーツ」で、特大サイズ(590ミリリットル)の中に約100グラム(小さじ約25杯)の砂糖が入っていたという。さらに、「ホワイト・チョコレート・モカ」(特大サイズ)が73.8グラム(同約18杯)、「バニララテ」や「キャラメルマキアート」(470ミリリットル)も31グラム(同約8杯)という結果だった。
世界保健機関(WHO)が公表している糖類摂取基準は、成人の場合で1日25グラム(同約6杯)だ。しかし、今回の調査では、98%に1杯で同基準の半分を超える13.5グラムの砂糖が含まれていたという。また、そのうち35%は50グラム(同十数杯分)にも達していたようだ。
これはあくまでイギリスでの調査であり、そのまま日本のコーヒーチェーンやファストフード店に当てはまるものではないだろう。しかし、缶コーヒーや清涼飲料水には意外に多くの砂糖が使用されており、無意識のうちに大量の砂糖を摂取している人も少なくない。
砂糖の過剰摂取には、どのような危険性があるのだろうか。以下、フードプロデューサーで一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事の南清貴氏が解説する。
砂糖の依存性が製糖会社の売り上げを伸ばす
砂糖の問題は、非常に根深いものがあります。それは、砂糖には依存性があるからです。アメリカのプリンストン大学で行われたラットを用いた実験では、砂糖を過剰摂取することによって、明らかに依存性が認められた上、砂糖の投与をやめて再び与えた際には、以前よりも摂取量が増加したそうです。さらに、砂糖の供給を絶たれたラットはアルコールの摂取量が増え、脳機能に変化が起きていることもわかりました。空腹時に多量の砂糖を摂取するラットの脳内では、コカイン、モルヒネ、ニコチンなどの依存性薬物による変化と同様の神経化学的な変化が起こることもわかっています。
ラットの実験がそのまま人間に当てはまるわけではありませんが、まったく無視するというわけにもいかないでしょう。こういったことを鑑みると、仕事の合間や息抜きに砂糖たっぷりの缶コーヒーや、缶ジュース、スポーツドリンクなどを飲み干す習慣はやめるべき、というのは自明の理です。しかし、そう簡単にいかないのは、依存性があるからです。
この依存性は、砂糖を販売する企業側にとっては都合の良い性質です。砂糖業界は、ここ数年の消費者の砂糖離れ、または砂糖に代わる人工甘味料や高果糖コーンシロップなどの存在もあり、売り上げを落としています。
しかし、それでも業界1位の三井製糖の売上高が約961億円(2014年度、以下同)、2位の日本甜菜製糖が約550億円、3位以下も日新製糖が約497億円、塩水港精糖が約263億円、フジ日本精糖が約190億円と多額を誇っています。
砂糖の害を知った一部の人が摂取を控えたり、砂糖以外の甘味料を使うようになったりしても、これだけの売り上げがあるのは、砂糖に依存性があるからです。つまり、日常的に砂糖を摂っている人は、なかなかやめることができない。そして、そういう人たちが製糖会社の売り上げに貢献しているということです。
砂糖がやめられない人の精神構造
さらに問題を根深くしているのが、砂糖好き、甘いもの好きの人たちに共通する「心のあり方」のようなものです。この人たちは、もともと依存心が強く、言い換えれば「甘えん坊」ということになります。子供ならまだしも、いい大人が社会に出て、そうそう甘えていられるものではありません。その不満が、甘い食べ物や飲み物に向いている、というのが私の見解です。
そのため、砂糖を断つのは相当難しいことなのです。まず、自分に依存的傾向があるということを認めなければなりません。そして、何か不満や不安が生まれそうになった時、他人に頼ろうとしたり、他人のせいにしたりしたくなりますが、それがかなわない時、甘いものを食べたり飲んだりすることで、気持ちを紛らわそうとしていることに気付かなければなりません。
砂糖が欲しくなるのはビタミンC不足?
砂糖の害としては、この依存性や常習性のほか、動脈硬化、高血圧、高脂血症などを引き起こすこともわかっています。また、免疫力低下をもたらすともいわれており、さまざまな感染症や花粉症などのアレルギーに関連しているほか、偏頭痛にも影響があるといわれています。さらに、神経機能攪乱作用があり、女性の場合は冷え性や生理不順の原因にもなるといわれています。そして、それが結果的に深刻な婦人病に結びついているとも考えられています。
アメリカの生化学者・分子生物学者で、1954年にノーベル化学賞を受賞したライナス・ポーリング博士の研究では、「砂糖を食べた後、4~6時間は体の免疫力が75%低下する」ということが判明しています。この免疫力低下をカバーしようとして、体はビタミンCを浪費してしまいます。それがまた、さらなる免疫力低下につながるという悪循環が起きるのです。
そもそも、「甘いものが欲しい」という欲求がある時は、体内のビタミンCが不足していることが多いのです。私たちは体内でビタミンCを合成できないため、体の外側から摂り込まなければなりません。人類は長い間樹上生活をしていましたが、その間食べ続けていた果物からビタミンCを摂取できていたため、体内合成の必要がなくなってしまったからです。
太古の時代、私たちは「甘いものが食べたい」と思ったら、すぐに木の上で熟している果物を食べることができました。つまり、「甘いものが食べたい」という欲求は、「果物が食べたい」という欲求に、そして、その先にある「ビタミンCが足りない」という欲求につながっているのです。
砂糖の強い依存性の背後には、慢性的なビタミンC不足があるのかもしれません。「自分が砂糖依存に陥っている」と気付いた人は、「甘いものが食べたい」と思った時に、果物を食べてみたらどうでしょうか。新鮮な果物が手に入らない時は、ドライフルーツで代用するのもいいでしょう。
体のメカニズムを知ることで、自分の裡なる欲求を理解し、その欲求を自分の力で満たすことは、本当の意味の自立心や自尊心を育てることにもなります。そして、それは潜在化している依存心から離れることにもつながっていきます。
(構成=編集部、協力=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)