循環する放射能:東京電力福島第一原発事故の生態系への影響

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Radiation Reloaded

			
そこから引き出された結論は、過酷事故が起これば汚染された広大な地域の「除染」や「修復」は不可能だということだった。生態系に入り込んだ放射能は堆積し、循環し、消えることはない。

出典:循環する放射能

	
グリーンピースによる調査は、避難指示がすでに解除、または解除されようとしているいくつかの区域の放射線レベルが、人々が安全に帰還できるほどは下がっていないことを明らかにした。この問題は、国が人々の健康より政治を優先していることを示している。国は現在人が住んでいる場所よりも、今は住民のいない避難区域の除染を優先しているが、現在人が住んでいる場所にも高線量の場所はあるし、人が住んでいる場所の除染こそ、被ばく低減に効果がある。

出典:循環する放射能

	

森への影響

東京電力福島第一原発事故以降、環境中の放射能レ ベルは低下しているものの、この低下傾向は、森林生態系、淡水の水生生態系のどちらも、ほぼ5年で底をつく見込みだ。その後、かなり「安定的な」汚染継続状態に達する。この状態に入ってからのさら なる放射能レベルの緩やかな低下は、長寿命核種の崩壊によるものが中心となる。

出典:循環する放射能

	
東電福島原発事故由来の放射能に汚染された地域の モミの木に生育異常が発見されている。放射能レ ベルと、梢の先端部 ー つまり木が垂直方向にまっすぐに成長するのを可能にし、やがては木の幹とな る樹頂における年々の新たな芽生えの部分 ー が 欠落するという発育異常の発生率とのあいだには、 顕著な相関関係が見られた 。

出典:循環する放射能

	

モミの木の生育異常

新たな芽生えの部分が欠落するという異常発育

森の生き物への影響

野生生物への影響については、汚染濃度が高い地域で採取されたヤマトシジミという蝶、ゴー ル形成アブラムシの異常、ミミズのDNA損傷などが、いくつかの研究によってすでに指摘されて いる。さらに、2011年から2014年までの4年間にわたっ て、福島第一原発から50キロの圏内で57種の鳥類を調べたある研究では、放射能レベルが高くなるに ともなって種の多様性が低下することが報告された。その上、調査した鳥類の90%は、繁殖力への影 響の可能性が考えられるレベルの放射能に、慢性的に被ばくしていた。

出典:循環する放射能

	

森から川へ

2011年から2111年までの1世紀における放射性セ シウムの排出予測によると、集水地域を主として福 島県内に有している大きな河川(阿武隈川、荒川、 那珂川、阿賀野川、只見川)は、東電福島第一原発 から流出するのと匹敵する量のセシウムを、太平洋に排出する可能性があるという。「除染」が現在 のペースで進んだと仮定した場合でも、事故発生からの1世紀間に阿武隈川という一つの川が排出する量だけで 、セシウム1 3 7 が1 1 1 テラベクレル( 1テラベクレル=1兆ベクレル)、セシウム134が44テラベクレルにのぼるとの予測だ。

出典:循環する放射能

	

川からダム、湖へ

大雨が降ったり、台風に襲われたり、春の雪解けの時などには、森林、山地の斜面、氾濫原にとどまっていた放射性セシウムが、再び動き出し、下流が汚染される。その中には、事故直後には放射性雲からの降下物が降らなかった地域や、除染が実施済みの地域も含まれる。沿岸域の生態系と海洋生態系に対する放射能汚染の影響は、現在も重大であるし、今後も重大であり続ける見込みだが、淡水の水生生態系への影響は、それらよりも深刻かもしれない。たとえば、放射能で汚染された淡水魚の体内に蓄積されている放射性 セシウムが、海水魚の体内の濃度よりも約100倍も高いことがあった。

出典:循環する放射能

	
森林にいわば貯蔵された大量の放射能は、超長期的な汚染源となり、沿岸や海洋を含む低域へ流れ込み続ける。

東京電力が起こした事故により、ふるさとや暮らし、安寧を奪われ、自らを守るために日々さまざまな判断を迫られている東電福島原発事故被害者には、正確で包括的な情報を得る権利がある。このレポートを、忍耐と希望と勇気を持って原発事故という困難に立ち向かっているそうした人々に捧げる。

出典:循環する放射能

	







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Sharetube