規制委員会が全ての理解は不可とする関電美浜3号機の再稼動を承認。
原子力規制委員会が本日午前、審査において全ての分野をカバーし理解することは無理としながら関西電力美浜3号機(福井県)の再稼働適合審査書案を承認したことにグリーンピース・ジャパンはIAEAも指摘する「能力不足」の規制委に再稼働審査の資格なしと批判した。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2016/pr20160803/
2016/08/03 「能力不足」の原子力規制委に再稼働審査の資格なしーー美浜3号機の再稼働適合審査書案承認
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、本日、原子力規制委員会が「関西電力美浜3号機(福井県)は新規制基準に適合している」とする審査書案を了承したことを受けて、自ら「能力不足」を認めた規制委には再稼動を審査する資格はないと批判しました。田中俊一原子力規制委員長は、関西電力大飯原発の地震の最大の揺れの想定が過小評価されているという島崎前原子力規制委員長代理の指摘を巡る対応について、7月20日の記者会見で「5人の委員ですべての分野の詳細をカバーし、理解するというわけにはいかない」として、規制委の「能力不足」であったことを認めています。国際原子力機関(IAEA)は、日本の原子力規制に対し、人材不足、研修不足、権限の不足を指摘しています。IAEAの指摘は規制委の今回の一連の対応にも当てはまります。島崎氏の指摘は、同様の手法を使っている美浜原発3号機を含む関西電力の全ての原発にも当てはまります。特に、この12月で運転開始から40年となる老朽原発の美浜原発3号機には、大きな示唆を与えています。
グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当柏木愛は、「地震の最大の揺れの想定は、安全の要です。この問題を放置する規制委に、再稼働を審査する資格はありません。このまま審査を進めることは、過酷事故の際に被害を受ける数百万人もの人々の命と暮らしを脅かすことです」と批判しました。
現在、関西電力の全ての原発について、再稼動しないことを住民が求め、裁判が起こされています。美浜原発3号機に関しても、再稼働禁止を求めての本訴訟が行なわれています。また、運転開始から40 年を超える高浜原発1、2号機についても、運転期間の20年間延長認可の取り消しが争われており、グリーンピース・ジャパンの職員2人も原告に加わっています。なお、高浜原発3、4号機は大津地裁の決定により運転が停止しています。
高浜1、2号機に続く2例目の老朽原発再稼動合格は老朽原発を継続して利用する流れを本格化するものだが、重大事故時の緊急事対策所の設置など追加の安全対策工事に1650億円を投じる必要がある。
原子力規制委員会は3日、定例会合を開き、運転開始から40年の法定寿命が近づいている老朽原発の関西電力美浜3号機(福井県)について、新規制基準を満たしているとする「審査書案」を了承した。事実上の審査合格で、老朽原発では関電高浜1、2号機(同県)に続き2例目となった。規制委は4日から30日間、意見を公募した後、審査書を確定させ、正式合格とする。11月末の期限までに、さらに運転延長に特化した審査への合格などが必要だが、今回で大きなヤマを越えた形。老朽原発を継続活用する流れが本格化してきた。
美浜3号機は、全ての審査手続きを通過後も、審査で実施が決まった追加の安全対策工事が必要で、再稼働は平成32(2020)年春以降になる見通し。追加工事は、電気ケーブルの難燃化対策や、重大事故時の対応拠点となる緊急時対策所の設置が中心で、関電は約1650億円を投じる。全長千キロに及ぶ電気ケーブルの難燃化は、ケーブルの交換や防火シートで覆うことで対応する。
東京電力福島第1原発事故後に改正された原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限する一方、規制委が認めれば最長20年延長できるとした。高浜1、2号機は6月、延長審査に合格した。
グリーンピース・ジャパンは、2011年より計26回にわたり、福島県で放射線調査を行っています。最新の調査結果を『水に沈む放射能:東京電力福島第一原発事故から5年 淡水域および海水域の堆積物に対する放射能調査と分析』にまとめています。