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「歌声に乗った少年」・パレスチナ抵抗の素晴らしい歌声、ムハンマド・アッサーフの実話に基づいた映画が公開

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「歌声に乗った少年」・パレスチナ抵抗の素晴らしい歌声、ムハンマド・アッサーフの実話に基づいた映画が公開

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AIOAIO
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Update date:2016年09月24日
「歌声に乗った少年」・パレスチナ抵抗の素晴らしい歌声、ムハンマド・アッサーフの実話に基づいた映画が公開
「この世は醜いけど、貴方の歌は美しい」・・・パレスチナのムハンマド・アッサーフを知ってほしい。アラブの「スター誕生」から、誕生したパレスチナ人抵抗の大歌手に育つだろう素晴らしい歌声・歌心の持つ主、ムハンマド・アッサーフは、もう27歳になる。彼が、エジプトで行われたアラブ・アイドルのコンテストに出演するため、パレスチナからどんな困難を乗り越え、番組出演まで辿りついたのか(この詳細、私は京都大学の岡真理さんから伺った)。M・アッサーフの素晴らしい歌声は、幼少の頃かららしいけれど、彼が今日に至るまでのドラマティクな生き様と丁寧に捉えたドキュメントのような映画が公開になる(本人はスターに成るべき要素を兼ね備えるイケ面の容姿でもある)。監督が同じくパレスチナ出身、「オマールの壁」のハニ・アブ・アサドであるから、より映画として、M・アッサーフの背景にあるパレスチナのイスラエルからもたらされる悲惨な政治問題、長年に渡りイスラエルに土地を奪われ、アパルトヘイトと呼ばれるガザを囲う、封鎖された悪しき高き壁、約2年前のイスラエルによるガザ・パレスチナ人への2300名近くの殺戮/虐殺行為が・平然・行われてしまう今日パレスチナの背景・現実を一番理解し体現している描かれ方には信頼を寄せられる。M・アッサーフは2014年、イスラエルのガザ・パレスチナ人への空爆からの攻撃・殺戮の際、7月にパレスチナ人としての「抵抗の唱」も披露している。

監督にインタヴューによれば・・・
――これまでの代表作は、自爆テロが題材の『パラダイス・ナウ』や、怒りを抱えたパレスチナの若者を描いた『オマールの壁』など痛烈な社会派ドラマでした。今回は希望を与える音楽ドラマですが、本作を作ろうと思ったきっかけは?

芸術の本質は醜さから美を作ることだと気づいたのです。中身が醜い物語であっても美しく描かれ感動できる芸術作品に人は魅了されます。だから私の仕事は悲しい物語を美しく感動的なものにすることなのです。

――ムハンマド・アッサーフは醜さから美を作ろうとしていた、だからあなたは彼の実話を映画化したいと思ったのですか?

ムハンマドの物語には2つの段階があります。希望と不屈の物語、そして成功の物語です。パレスチナではこの60年間、敗北の物語しかありません。勝利の物語もなければ、サッカーで勝てるチームもなく、1960年代の革命も失敗に終わりました。しかし今、我々パレスチナ人が待ちに待った、成功の物語を手にしたのです。興味深いのは、ムハンマド・アッサーフの物語は、勝利の物語ということなのです。

――映画の中には夢を叶えるという要素もありますよね?

それも非常に重要ですね。これは姉と弟の物語であり、二人の関係性を表現しています。姉は弟に自分の夢を託し、その一方で弟は姉のために腎臓を手に入れようとするが間に合わない、その償いとして弟は姉の夢を実現しようと思う。だからこそこの映画は感動的で面白いのです。

――ムハンマドと初めて会ったのはいつですか?

2014年ヨルダンで初めて会いました。製作側にこの映画を監督したいかを聞かれ、私は彼に会いにヨルダンへ行きました。会ってみると、誰もが惚れこむほど素晴らしく立派な青年だなと真っ先に思いました。

――演出のために、どのくらいストーリーを脚色し、どのくらい真実を残しましたか?

要素としては100%フィクションですが、ストーリーは100%真実です。ムハンマドには姉がいて、2人はとても仲が良く、一緒に歌をうたったが、姉はギターを弾かなかった。ですがウマルのキャラクターは事実とは違い、完全にフィクションです。アッサーフには他にも兄弟姉妹がいますが、印象を強めるため姉1人に設定しました。

──確かに日本では、パレスチナ、特にガザ地区についてはネガティブなニュースにしか接しないので、監督の作品を通して、パレスチナに住む普通の人々の現状や生活を知ることができます。

監督:それこそがアートの力です。一本の映画は、どんな大使よりもその国のことをより多く伝えてくれる。私も黒澤明、小津安二郎、溝口健二監督をはじめ、最近では北野武監督、是枝裕和監督などの作品を通して日本を知ることができました。アートは人間同士、文化同士、大陸同士をつなげてくれる。そんな力があるのです。

──青年になったムハンマドが、タクシーでアマルを送るシーン。美しい声音と、破壊された景観の映像が重なり、胸に迫るシーンでした。

監督:喪失を経験したムハンマドが、自分の声を取り戻した重要なシーンです。外に見える破壊された建物は、彼の心の内の風景を写したものでもあります。彼の歌声は、破壊された廃墟の中から生まれ、再生しているわけで、言い換えれば、この映画で描きたかった、「醜いものから美が生まれる」ということです。破壊された景観のなかで、彼が自分の声の持つ力に気づいた瞬間、ターニングポイントだった。一度死んだことによって立ち上がることが出来た、キリスト教的な考えに近いかもしれません。

──前2作のラストシーン、エンドロールに変わる瞬間が秀逸でした。今作はまた違う余韻に浸ることができる、サプライズプレゼントのような感動がありました。

『歌声にのった少年』 

監督:エンディングはとても重要です。記憶に残る良質なものでなければ忘れられてしまいますからね。今回は、実際の物語に沿っているので、結末はこうなるしかないと決まっていた部分もありますが、その演出については色々考えました。

 誰しもが様々な障壁を乗り越えて生きている、その集約的なもので、一人の人間の成功体験ではあるけど、たくさんの人が喜びを分かち合うことができる。あの優勝したときの反応や、その時にみんなが感じた喜びは、ものすごく強烈でリアルなものなので、実際の記録映像を使いました。豊かな人も貧しい人も、老いも若きも、観終わった後に居心地の良い余韻を感じてもらえると思います。
(監督:は、シネマトリヴューンより)

監督:ハニ・アブ・アサド

監督のインタヴューによれば、これまでパレスチナの社会現実・暗部を抉るような社会派の内容からではなく、パレスチナから一人の少年が、亡くなった姉と共にその願い・夢を現実にした、いわば生活・営みから立ち現れた・希望・の映像・映画なのだろう。少なくとも、パレスチナの実情、内情、現実を知らなくとも理解と感動を共有できる映像・映画だ。けれども、この映画がきっかけとなり、パレスチナの現実・実情・内情・歴史に興味をもたれ、西側社会がイスラエル側の情報のみを垂れ流し、鵜呑みにするのではなく、パレスチナの抵抗に対し少しでも寄り添い、・沈黙・ではない・声・が、やがてやまびこのように連なり、西側で大きな動き、うねりの・共声・なる事を願う。ムハンマド・アッサーフの素晴らしい歌声と共に・・・。
	
2014年、イスラエルのパレスチナ・ガザ空爆・攻撃でパレスチナ人が虐殺される最中、7月にムハンマド・アッサーフが「ガザ・ウォー」を歌った。
アラブ・アイドル、ムハンマド・アッサーフの素晴らしい歌声
アラブ・アイドルのムハンマド・アッサーフ
アラブ・アイドルのムハンマド・アッサーフ

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