歌舞伎から生まれた言葉〈おもしろい日本語〉
歌舞伎とは?
歌舞伎(かぶき)は、日本固有の演劇で、伝統芸能の一つ。重要無形文化財(1965年4月20日指定[1])。歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)は2005年にユネスコにおいて傑作宣言され[2]、2009年9月に無形文化遺産の代表一覧表に記載された。
「歌舞伎」という言葉の由来
1603年、出雲の巫女を名乗る「お国」が京で「かぶき踊り」を踊ったことが歌舞伎の始まりと言われています。長く続いた戦乱が終息したばかりの荒れ果てた街を「かぶき者(傾奇者)」が闊歩していた。
傾奇者とは、世の中の習俗や常識に従わず、異様な身なりや言動をする者の事です。
お国は男装をして、寸劇や歌、踊りで傾奇者が廓の女と戯れる姿を描写した。
お国の踊りは先端風俗の傾奇者を描いたので、かぶき踊りと名付けられた。
現在も使われている歌舞伎発祥の言葉
■愛想尽かし現代では、相手が嫌になってつれない態度を取る事を言う。
歌舞伎の世界では、相思相愛の男女が縁を切る場面。縁切場とも言う。
■板に付く
現代では物腰などがその職業・立場等によく似あっている。
歌舞伎の世界では、俳優の芸・演技が舞台に調和している。
■一枚看板
現代では、そのグループを代表する人物の事を言う。
歌舞伎の世界では、江戸時代、劇場の表に掲げられた大きな看板の事を言う。
外題、題名とその一座を代表する主演俳優の舞台姿が描かれていた。
その一座の売り物の俳優。
■市松模様
過去も現在も、色違いの正方形を互い違いに組み合わせた模様の事を言う。
寛保元年、若衆方(のちの女方)の初代佐野川市松がこの模様の衣装を着たことから、一般の女性たちもこぞってこの模様を使ったため大流行し、市松模様と呼ばれた。
■お家芸
現代では、得意とするものの事を言う。
歌舞伎の世界では、家に代々伝わる得意芸の事を言う。
■大立廻り
現代では、つかみ合いの派手な喧嘩の事を言う。
歌舞伎の世界では、規模の大きい立ち廻りの事をさす。少人数の写実的な争闘場面。
■大詰め
現代では、物事の最終段階の事を言う。
歌舞伎の世界では、長い作品の中の最終幕。
■十八番
現代でも過去でも、主に得意芸の事をいう。
特に歌舞伎界では、七代目市川團十郎が幕末に家代々の俳優が得意としてきた芸18作品を選び、歌舞伎18番と名付けたことから始まった。
■御曹司
現代では、身分や地位の高い人の子供をとくに敬って言う言葉。
歌舞伎の世界では、座頭(その一座を統率する最高の役者)級の名優の子孫の事を御曹司と呼んで特別待遇をした。
■御注進
現代では、告げ口の事。
歌舞伎の世界では、注進は歌舞伎の時代物で、合戦の状況を報告する役をいう。
派手な身振りで登場し、「御注進、御注進」というのでこの名がある。
■男前
現代では、見た目の良い男性、内面が男らしい男性の事をさす。
歌舞伎の世界では、動きのいい役者の事を言う。
■黒幕
現代では、陰で操る力のある人の事をいう。
歌舞伎の世界では、夜の場面を表したり、場面転換に使ったのが黒幕。
■だんまり
現代では、何も言わないこと。
歌舞伎の世界では、暗闇の場面で台詞を発せず、黙った互いを探り合う演出や場面をいう。
■泥仕合
現代では、醜い争いを差す言葉。
歌舞伎の世界では、泥まみれの立ち廻りの事。
■どんでん返し
現代では、物事が最後になってひっくり返る事。
歌舞伎の世界では、舞台で、大道具を90度後ろへ倒し、次の場面へと転換する事、またはその装置をどんでん返しといったのが由来。
■ドロン
現代では悪事・犯罪などが起きたとき、その首謀者が姿をくらます際に用いられることが多い。
歌舞伎の世界では、幽霊や妖怪などが消える際にどろんどろんと効果音がなることが由来とされている。
■差し金
現代では、裏で糸を引く「入れ知恵をする」的な言葉としても使われる。
元は人形浄瑠璃の用語という事ですが、歌舞伎では主に小動物を動かす際に持ちる棒の事を指します。
ここにご紹介したのはほんの一部です。歌舞伎が語源の言葉はまだまだたくさんあります。
是非普段使っている言葉の語源など、ちょっと気にしてみてください☆