【洒落怖】大震災の夜(名作・中編)

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『大震災の夜』

363 :ぼっき丸 :2001/03/27(火) 10:34 

残念ながら作り話じゃないです。オレが経験した実話です。


6年前の阪神大震災のとき、ホストスナックで働いてた俺は、

そのとき一緒に閉店作業をしてたカズってやつと二人で、

潰れたビルに閉じ込められた。

閉じ込められたというより二人とも気を失ってて、

ふと気が付いたときには、

カウンターにもたれかかるように倒れたボトルラックの下の隙間に、

二人並んで寝てた。

例えるなら、形の歪な二人用の棺桶みたいなもんかな。


俺はカズの「おい!起きろ!大丈夫か!?」の声で起きたんだけど、

二人ともどうすることもできんので、

「爆弾おちたんかなぁ」とか、「みんな死んだんかな・・・」とか、

異常に落ち着いて話してました。

真っ暗で寒かったけど、全然怖くはなかった。

アタマの中では、

「俺らが生き残った最後の人類」みたいに思ってたからかな。


何分か何時間か、ず~っと二人で話してると、ふいに頭の上でかすかに、

「誰かおるかー!」って声が聞こえてきた。

(助かる!!)急に元気になって、

ここに閉じ込められてることを知らせようと大声で叫ぶんやけど、

どうやら気づいてくれない様子。


365 :ぼっき丸 :2001/03/27(火) 11:05

結局気づいてくれないままどっか行ってしまったんで、

どうしようかと考えてると、

横のカズが、怪我をした足がひどく痛むと言い出した。

最初は俺も「大丈夫か」とか言ってたんやけど、よっぽど痛いらしく、

「イタイイタイイタイ!」とか叫び始めた。

俺は時間の感覚はなくなってるけど、

少なくとも怪我してから数時間経つのに、

なんで急に痛がるんやろうとか思いながら、

「大丈夫大丈夫」とか言って励ましてた。


イタイイタイの叫び声が、そのうちに「ギャア」とか、

「ウオォォ」とかになってきて、

冷静だった俺もイライラして、

「こんな狭いとこでうるさいねん!

 お前は!もうすぐ助かるからだまっとけや!」

と怒鳴ると、

「んなもん痛いもんは痛いねん!

 お前にこの痛さがわかんのか!」

とか言いながら、全然叫ぶことを止めない。

よっぽど痛いんだろうなとか思いながらも、俺のイライラも限界に達して、

「やかましいわ!」

と言いながら、そいつの口を手でふさごうとして、口に手を当てた。

(カズは、俺の胸の横ぐらいに顔があった)

でも動いていない・・・唇が動いていない。

声は聞こえる。


全てを悟った俺は、そのあと救助されるまでずっと泣きながら、

「大丈夫、大丈夫」と言い続けました。


3日後。

カズの実家の滋賀県より両親が遺体を引き取りに来たときに、

さすがにその話はできなかった。


371 :ぼっき丸 :2001/03/27(火) 11:52

後日談


カズの両親から聞いたんやけど、カズは首の骨を折っていたそうです。

(恐らくボトルラックがあたったのかも)

あと、左足が電子レンジの下敷きになって、

骨が飛び出ていたそうです。

両親曰く、

「警察が言うには首折って即死やったから、

 苦しい想いはしてないみたい。それが救いやわ・・・」

何も言えませんでした・・・


地震直後に即死してたというのを聞いてから、

実は全く非科学的なことは信じない俺は、

カズと話してたのもカズが叫んでたのも、

俺の精神的な疲労による幻聴だろうと思っていました。

でも、俺を助けてくれた人たちによると、

(警官一人、ビルの管理人、通りすがりの兄ちゃん二人)

この下に人がいるって気づいたのは、

カズの叫び声が聞こえたからだそうです。


もう一つ。あとから思い出して気になったのが、

叫び始める前にカズと話してた内容。

やたらと昔話をしてました。

そんときは、

「こいつ、こんなときになにをゆうとんねん」

とか思ってましたが・・・


◇ 心霊ちょっといい話VER.8 ◇


258 :こっち向きっぽいからコピペ:02/09/02 11:14


28 :震災の夜 後日談 :ぼっき丸 :2001/07/13(Fri) 01:46

カズの両親が遺体を引き取りに来た晩のこと。

その夜はかなり余震が激しく、

半壊になった家にいるのは危険だということで、

家族4人で車の中で一晩過ごしたんだけど、

そのときに夢をみたのよ。

間違いなく夢なんやけど、あまりにも生々しくてね。

働いてた店のカウンターでカズと二人で飲んでる夢だけど、

そのときの会話は多分死ぬまで忘れないので、以下再現します。


俺 「あ~お前ホンマに死んだんか?」

カズ「そうやねん、まぁしゃーないわ。色々ありがとな」

俺 「なんやねん、それ。んなこと言うなやぁ(泣)」

カズ「もう、しゃーないねんて。死んだんやから・・・」

俺 「そーか・・・」

カズ「・・・そやけどめっちゃ待たせるな、腹立ってきたわ、俺」

俺 「なにが?」

カズ「ちゃうねん、今回めちゃめちゃようけ死んだやろ?

   そやから受付がごっつい混んでんねん」

俺 「なんやそれ?死んだ人の受付とかあんのか?」

カズ「うん、整理券もらった」

俺 「嘘つけ!お前アホか!!(笑)」

カズ「いや、ほんまやて!

   だから時間空いて今お前と飲んでるんやんけ」

俺 「ふーん、なんかややこしいなぁ」

カズ「あぁ、そうやお前ユミちゃんておぼえてるか?

   去年の夏よう飲みに来てた娘」

俺 「あ~覚えてるよ、住吉に住んでる娘やろ?」

カズ「そうそう、あの子もあかんかったみたいやで、

   受付け並んでるとき会ったわ」

俺 「マジで!?・・・かわいそうになぁ」

カズ「待ち時間にお前に会いに行くって言うたら、

   一緒に来たがってたけど、

   なんか妹に会いに行かなあかんって言うとったわ」

俺 「ふ~ん残念やなぁ・・・まぁよろしく言うといて」


みたいな会話をしてたのですが、

起きてからもあまりにナマナマしさが残ってたので、(特に酒の味)

気になって死亡者名簿を近所のボランティアの人にもらって調べると、

しっかりユミちゃんの名前も載ってました。

悲しかったけど、死んであともああやって元気(?)でいる

カズに会えて少し気が楽になりました。


1周忌のときに墓参りに行った晩も夢に出てきて、そんときは、

「お前、線香とか、花とかいらんっちゅうねん!(笑)」

と言っていました。

それからは出てきませんが、

天国でも楽しくやってるんやと思います。

	

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