【洒落怖】山にまつわる話(Part2)
『収録話』
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■.遊び場にしていた木の穴 | /">遊び場にしていた木の穴">遊び場にしていた木の穴■.キヒサル | /">キヒサル">キヒサル■.加藤文太郎 | /">加藤文太郎">加藤文太郎
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『近づいてはいけない淵』
393 :橘:03/10/19 01:21
山の中に、近づいてはいけないと言われる淵があった。
ある男がその淵で魚釣りをしていると、
なにやら足がむずむずする。
ふと足元を見ると、小さなクモが足の指に糸をかけ、
淵の方へ戻っていった。
男は別に気にせず、釣りを続けていたが、
またも足がむずむずするので見ると、
先ほどのより少し大きなクモが、男の指に糸をかけていた。
うっとおしいと思った男は、
その糸を近くにあった切り株にかけ、釣りを続けた。
しばらくして、ふと先ほどの切り株に目をやると、
その切り株に、淵からやってきた何匹ものクモが、
糸をかけてはまた淵へ戻っていく。
みるみるうちに切り株は糸で覆われ、真っ白になってしまった。
すべてのクモが淵に戻ってしまうと、
淵の方から「それ引け、やれ引け」というかけ声が聞こえ、
その切り株は男の見守る中、ものすごい力で引っ張られ、
淵に沈んでいった。
恐ろしくなった男は、釣り道具もそのままに、
慌ててその場から逃げ去り、
2度とそこへは近づかなかった。
『猿・犬・猫』
509 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/15 21:55
雷鳥一号さんの話を読んでいたら思い出した私の父の話。
父(以降は兄)が子供の頃、
弟と一緒に近くの山に薪に使う木を拾いに行った時の事。
山深く迷信も多いその地域では、
『猿・犬・猫』などの言葉を、
山へ行く前や山に入っている最中には口に出さない様にと、
両親から強く言い付けられていたらしい。
が、ちゃんとその言い付けを守っていた兄とは対照的に、
弟は山に入ってしばらくするとふざけて「猿」を連発。
いさめる兄の言葉も聞かず、弟はずっと「猿」を言い続ける。
すると、にわかに山が陰り、驚いて空を見上げた兄は、
今迄快晴だったのが嘘の様に真っ黒な雲が生まれて、
自分達の頭上に集まり出しているのに気がついた。
辺りの雰囲気も妙にざわざわと落ち着きがなくなり、
不吉な物を感じた兄は弟を怒鳴りつけて黙らせ、
拾った木を放り出して慌てて家に逃げ帰った。
息を切らせながら戻って来た彼らを、
家に居た父(私の祖父)は説明される前に
「お前ら、山で要らん事言っただろう!!」と指摘。
何故分かったのかと聞いた兄に、
父は「庭先から山を見ていたら、
物凄い勢いで雲がある一部分に集まって行き、
しばらくすると消えて行った」
と答えた。
勿論、そのある一部分とは彼らが薪拾いをしていた辺り。
取りあえずひとしきり怒られてから事の次第を説明した兄は、
父に「お前が気が付いてなかったら、
帰って来られなかったかもしれない」
と言われたそうだ。
ちなみに、この弟と同じ事をやって大けがをしたり、
おかしくなって帰って来たりした人も居るらしい(父談)。
お陰で私も山に入る時は注意している。
513 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/15 23:59
509>なぜ猿・犬・猫がいけないんでしょうか?
山の神様が嫌いな動物なのかな?
本当にお父さんがいなかったら危なかったですね(^ー^;)。
536 :509:03/11/16 10:19
>>513
はっきりとした理由は聞いた事は有りませんが、
祖父と父の話では、四本足の動物全般を言わない方が良いとの事です。
猟師の場合、獲物の名前を言うのは仕方の無い事ですが、
みだりに連呼するのは未だに禁じられている様で。
確かに、山の神や山自体の雰囲気を壊す物として
受け止められているのかもしれません。
ちなみに509はもう50年程前の話。
大けがをした人は、犬とか猿を連呼した直後に片側が崖になっている
山道で足を踏み外し、何十メートルも滑落した結果、
折れていない場所を探す方が少ない程、
ありとあらゆる場所を骨折した状態で発見されたそうです。
私はこれらの事が偶然でも何でも単純に試すのが怖いので、
山に入ると自然と無口になります。
『1人山中宿』
885 :88kantai:03/05/03 00:49
これは、私が山で遭遇した不可解な体験なのですが・・・。
今より数年前の学生の頃、毎年恒例にしていた
『1人山中宿泊(登山、なんて本格的なものではないです)』
をした時の事。
食事も終わり、1人で焚き火を見つめながら、
ぼんやりしていました。
そんな感じで1,20分も過ぎた頃です。
886 :88kantai:03/05/03 00:54
そろそろ寝ようかと思い、何気なく周囲を見渡した時、
それは斜め後方の林にいました。
距離にして自分のいる場所から20mぐらいでしょうか?
木立の間に何やら青白い塊が見える。
何だろう?と思い、凝視すること数秒。
思わず呟いた言葉が、
「なんで顔だけ?」
真っ暗な林から、男の顔だけがこっちをじっと見つめていました。
自分からの距離は先述しましたが、
その顔がある高さが尋常じゃありませんでした。
地面より確実に10mは上に、顔だけがぽつりと浮かんでいたのです。
通常、こういう時は慌てるとか、
思わず叫んでしまうとかあるんでしょうが、
不思議と自分は冷静だったのを憶えています。
単に疲れていただけかも知れませんが。
その時は恐怖より、疑問が優先していました。
887 :88kantai:03/05/03 00:58
そして、見つめ合って(?)
1~2分もした頃でしょうか?顔は突然、消えてしまいました。
何だったんだ、あれは?
そう思いながら、やはり冷静なまま焚き火に視線を戻したわけですが、
先程まで林の中にいたはずの顔が、
今度は焚き火を挟んだ向かいに現れていました。
歳は40位でしょうか?無表情な顔でした。
焚き火に視線を戻したら、もうそこに居たわけです。
さすがにそれには驚きました。
しかし、そこでも驚きはしたものの、
やはり口を突いて出た言葉は自分でも思いもしない言葉でした。
「なんだよ、お前」
思わず口走った言葉がこれです。
今から考えると、何を言ってるんだと思いますが、
その時はそれしか思い浮かびませんでした。
しかし、これが逆に功を奏したのかどうか、
その顔はすぐに消えてしまいました。
きっとその顔は何かを訴えたくて出てきたんでしょうが、
訴える相手を間違ったと思って消えたかも知れません。
『遊び場にしていた木の穴』
679 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/19 02:43
うち県境の山村で360度山に囲まれてるんで、
子供の頃は遊び場はいつも山だった。
小学生の時のある夕暮れ、悪さして親に怒られ、
外におい出されて玄関に鍵をかけられた。
しばらく玄関で泣きながら謝ったんだけども、
なかなか開けてくれないので、諦めて一人で山に入った。
いつも遊んでいた大きな木の根元の穴で丸まって一晩過ごした。
すぐに眠くなってしまったので、夜中の事は何も知らない。
でも朝になって目が覚めたら、入り口に栗が3ケ置いてあった。
誰がくれたのかわからないけど、お腹がすいてたので食べた。
甘味があって、すごくおいしかった。
食べ終わって家に戻ったら、親に心配かけた事をまた怒られた。
うちの親と近所の人達が、ひと晩中近隣を探し回ったらしい。
俺が遊び場にしていた木の穴も探したと言っていた。
が、そこにはいなかったんだそうだ。
俺、朝までそこで寝ていたはずなんだけど・・・
『キヒサル』
696 :643:03/11/19 15:06
【夢魔?】ヒサルキ/ヒサユキ【ネタ?】
ずいぶん昔に聞いた話なので、ところどころ記憶が曖昧なのですが、
『ヒサルキ』という名前と、>>217-219の話に共通点があると思うので、書いてみます。/">ヒサルキ">ヒサルキ』という名前と、>>217-219の話に共通点があると思うので、書いてみます。
村の年寄りから、
キヒサル(キヒザル)という話を聞いたことがあります。
聞いただけなので字は分からないですが、
話の内容からすると、『忌避猿』となるのかもしれません。
キヒサルは、群れからはぐれた猿を狙って、
体の中に入り込みます。
乗り移られた猿(以下キヒサル)は獣を殺し、
その肉を食うようになります。
また、その外見を利用して猿の群れに近づき、
手当たり次第に殺して食べます。
その食欲は尋常ではなく、
キヒサルが現れた山では獣の数が一気に減る、
とまで言われています。
結果、山には獣の死骸がゴロゴロ転がることとなり、
それで猟師や杣は、キヒサルの存在に気付くのです。
共食いをするキヒサルを、特に猟師は忌み嫌います。
ただ、トラバサミや柵で捕らえても、
キヒサルの本体(ヌシ)は乗り移った体(グヨリ?)
から逃げてしまいます。
(そんな時、残されたクヨリは抜け殻のように、
がらんどうになっているそうです)
また、鉄砲で撃っても、キヒサルはなかなか死にません。
697 :643:03/11/19 15:07
だからキヒサルが現れると、猟師と杣は手分けして山狩りをします。
人と違って、キヒサルは道を通るとは限らず、
その一方で、火や金物の音を恐れるので、
松明を持って銅鑼や半鐘、鍋などを叩いて、
山裾から山頂へ追いやるようにします。
キヒサルが近くにいる気配は匂いで分かるそうです。
(私が聞いた話では、キヒサルが近づくとサビのような匂いがする、
となっていましたが、
これは金気臭い匂いではないかと推測します)
キヒサルを見つけても、間違っても触れてはいけません。
(ただ、その理由や、触るとどうなるかは覚えてません)
山狩りに参加した人は、ひたすら山頂近くに設置した罠のところへ
キヒサルを追い込みます。
草を刈った平地に追い込んだら、
木の上に渡してある油を染みこませた布を、
キヒサルの上に落として捕らえ、すぐさま焼き殺します。
ヌシの姿を直接見ると目が潰れる、
と言われているので、このような方法を使うのだそうです。
キヒサルの起源は分かりません。
もしかしたら、
何らかの伝染病(狂犬病みたいなもの)に対する恐怖が、
このような怪物(妖怪?)を創造したのかもしれませんが、
猿を媒介する伝染病が当時の日本に存在したのかは、
私の知識ではなんとも言えません。