映画『花戦さ』あの呪文は「光明真言」お経は「観音経」など仏教的な解説

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大好評上映中の『花戦さ』ですが、仏教的な解説がパンフレットにもないので解説致します。

【1】専好が死者に唱えている呪文はなんですか?

『光明真言(こうみょうしんごん)』というものです。

光明真言

「オン アモ キャビロ シャナマカボダラ マニ ハンドバ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」

「真言(しんごん)」とは、「真実のことばで仏さまの真理を説き、その徳をたたえる短いお経」です。

大日如来

			

仏教(密教)誕生の地インドの古語「サンスクリット語」をそのまま音写したもので、短いものを真言といい、長いものを陀羅尼(だらに)と呼びます。

有名な真言 不動明王真言「ノウマクサンマンダ バザラダンカン」「ノウマクサンマンダ バザラダン センダン マカロシャダ ソハタヤ ウンタラタ カンマン」

大日如来真言「オンアビラウンケン」など

光明真言は「すべての災難が消滅する」という真言です。

また、死者の供養としてもとても大きな力を発揮すると言われる真言です。

その為、専好は死者に対してこの真言を唱えていたのでした。

ちなみに、天台宗系と真言宗系では、この光明真言の読み方が若干違います。

天台宗「オン アモ キャ ビロ シャナマカボダラ マニハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」

真言宗「オン アモ キャーベー ロシャノウ マカボダラ マニハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」

同じ仏教(密教)でも、インドから中国に伝わり、それが中国で分かれ、それが別ルートで日本の天台宗、真言宗に伝わったので、こうした違いが出てきています。

【2】専好が、動作の前に数珠を音を立ててするのはなに?

法要などで、始める時や終わる時に数珠をする動作をします。

天台宗の数珠

専好も、このそろばんの玉のような数珠をもっていました。六角堂は天台宗のお寺だったからです(現在は天台宗系単立寺院)

お経の終わりを周りに教えるために擦って音を出したのが始まりだと言われます。

【3】劇中で唱えていたお経は?

秀吉の元に向かう前に皆で唱えていたお経は「観音経」です。

観音経

			

正確に言うと、観音経の後半部分「偈文(げぶん)」です。観音経は、前半部分とほぼ同じ内容を後半でもう一回言います。これを偈文といいます。

観音経は、正式名称を「普門品(ふもんほん)第二十五」と言い、『法華経』という経典の第25巻目です。

【4】六角堂の仏像はなに?

如意輪観音です。

六角堂の如意輪観音(実物)

この本物の像を模して、映画では作られたと思われます。

ちなみにこれはお前立という増で、本尊はこの奥の廟の中にあります。聖徳太子が持っていた仏様と言われていて、普段は見せない佛(秘仏)です。ある特定の期間だけ御開帳して一般公開されます。最近では平成29年 3月11日(土)~4月10日(月)に公開されていました。

「如意」とは意のままに智慧や財宝、福徳もたらす如意宝珠という宝の珠のことで、「輪」は煩悩を打ち砕く法輪を指しています。その2つを手に持った観音菩薩ということで如意輪観音といいます。

以上の様な仏教的な事も解ると、より楽しくみれるのではないでしょうか?





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Sharetube