スコットランド、独立への道-本日、住民投票開示 発表までに情報を整理 まとめ
スコットランドがイギリスから独立をするかも知れない。そんなニュースが一ヶ月前から盛んに取り出されるようになり、実際に住民投票までに発展した。
公式結果の発表は19日午前7時(同午後3時)ごろになると予想されている。
それまでに何故こんな事が起きたのか?独立が成立した場合はどうなるのか?をまとめてみました。
スコットランド独立投票 最新世論調査、反対派盛り返す
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現在のイギリス国旗は三つの国の国旗から作られた国旗
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では、スコットランドが抜けたらイギリス国旗はこうなるのか?
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スコットランドの住民投票開始 英国から独立、賛否問う
英国からの独立の是非を問うスコットランドの住民投票が18日午前7時(日本時間18日午後3時)、始まった。最新の世論調査では、独立反対の割合が賛成よりわずかに優勢だが、態度を決めていない人も一定数おり、情勢は流動的だ。
投票では、有権者登録した16歳以上の住民約430万人が、「スコットランドは独立した国になるべきか」という問いに「イエス」か「ノー」の二者択一で答える。午後10時(日本時間19日午前6時)に締め切られた投票は即日開票され、大勢は日本時間の19日午後にも判明する見通し。
独立運動を率いる自治政府与党のスコットランド民族党(SNP)は、独立後の非核化や高福祉社会の実現を訴えている。「英国政府は少数派のスコットランドの民意を顧みない」と批判し、草の根運動で支持を拡大してきた。
一方、キャメロン首相率いる保守党と労働党、自民党の英政界の主要3政党は、スコットランド自治政府に今まで以上の自治権の拡大を誓約するなど引き留め策を提案。スコットランドにもたびたび足を運び、英国にとどまるよう訴えてきた。
大接戦高い関心・独立賛成が49%、反対が51%
英北部スコットランドの独立の是非を問う住民投票が18日午前7時(日本時間午後3時)から全域で一斉に始まった。投票は午後10時(同19日午前6時)に締め切られ、即日開票される。公式結果の発表は19日午前7時(同午後3時)ごろになると予想されている。
直前の各種世論調査の総合結果によると、独立賛成が49%、反対が51%と依然としてほとんど差がない大接戦で、結果がどちらに転んでも不思議はない情勢だ。
出典:独立問う住民投票始まる=19日午後にも結果判明―大接戦高い関心・スコットランド (時事通信) - Yahoo!ニュース
スコットランドだけではない、ヨーロッパの独立運動
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スコットランドでは9月18日に独立を問う住民投票が行われる。カタルーニャでも同様の住民投票が予定されている。他にもジェマイティヤ、北イピロス、さらにはオクシタニアなど、ヨーロッパには数多くの独立運動が存在する。
スコットランドには、カタルーニャやバスク地方、フランドル地方とともに、歴史的に民族意識、自治意識が非常に深く根づいている。
9月18日、スコットランド人たちは、彼らの歴史で最も重要な住民投票において意見を表明することになる。自分たちがグレートブリテンから離脱して独立した国家になるべきかどうかを決定する投票だ。
スコットランドはなぜ、独立を目指しているのか?
現在の英国の形が作られたのは、1707年の連合法によりスコットランドがイングランドと合併し、連合王国の誕生と同時にその一員となったことに遡る。形式的には対等とされた合併だが、スコットランド議会は閉鎖されてウェストミンスター議会に一本化され、主な機関もイングランドに置かれたことから、スコットランド側には不平等なものと受け止められていた。
また、宗教や文化などイングランドとは異なる独自性を持つことから、独立や自治の拡大を求める声は古くから存在した。無論、1970年代より北海油田の開発が進んだことなど、経済的自立の展望も開けてきたことが、独立の気運を高める要因となったことには違いない。歴史的にはイングランドに虐げられ続けたという思いも強く、独立をすることはスコットランド住民の長年の悲願ともいえるであろう。
1995年に制作されアカデミー作品賞を受賞した映画「ブレイブハート」の中で、メル・ギブソン扮するウィリアム・ウォレスは、イングランドからスコットランド独立のために戦った実在の人物でもある。
出典:賛成、反対、どちらが勝つか予断を許さず もしスコットランドが独立したら何が起こる――大和総研シニアエコノミスト 菅野泰夫|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
独立の住民投票に至るまでの経緯
独立を問う住民投票に至った背景は、スコットランド国民党(SNP: Scottish National Party)が、スコットランド議会選で勝利した2011年5月まで遡る。この選挙でSNPのアレックス・サモンド党首は、SNPが勝利したあかつきには、スコットランドの独立を問う住民投票の実施を公約に掲げていた。選挙の結果、SNPは予期せぬ単独過半数を獲得し、独立を問う住民投票に必要な法律を制定することが可能となった。
正式にスコットランド自治政府首相となったアレックス・サモンド氏は、2012年10月に独立への賛否を問う住民投票を、スコットランドで2年後に実施することで英国政府と合意に至っている(いわゆる、エジンバラ協定)。2013年2月には、スコットランド自治政府は一連の資料を発表し、住民投票の結果、独立が支持されれば英国政府と新たな協定が締結され、独立までのスケジュールや、最終的な独立合意に向けた交渉のプロセスが確定されることとなった。その際に、2016年3月に独立、同5月に独立スコットランドとしての最初の議会選を行うことも合わせて表明している。
出典:賛成、反対、どちらが勝つか予断を許さず もしスコットランドが独立したら何が起こる――大和総研シニアエコノミスト 菅野泰夫|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
独立後のスコットランド、英国、EUへの影響は?
仮にスコットランドが独立したとなると、新首都となるエジンバラや石油精製のハブ都市であるアバディーンなどはさらなる企業誘致や、それに伴う賃金等の上昇も期待できる側面もある。一方、懸念点としては、大き過ぎる金融業、石油・ガス業などと比較して労働力人口が少ないことが挙げられる。また、移民政策により人口が着実に増加するイングランドに対して、スコットランドの労働力人口は減少の一途を辿るといわれ、年金等の社会保障の継続性などが疑問視されている。
さらに、今後数十年後には北海油田が枯渇するとの観測も根強く、独立後の安定税収を懐疑的に見る識者も多い。現時点でも、スコットランドの財政状況は英国より悪く、独立早々、緊縮財政を強いられる可能性も否定できない。
無論、北海油田からの収入が無くなるなど、英国経済に及ぼす影響も甚大であろう。仮に独立が達成できなくとも、社会保障などの多くの権限が委譲されることを英国議会は明らかにしており、英国議会がスコットランドに課税する機会が減少することとなる。それに伴い、調達していた国債に関してもリスクプレミアムが加算され、投票結果にかかわらず通貨ポンドなどにも影響が出る可能性が高く、金融街シティでは警戒感が高まっているといえる。ただし、これまで行われてきたスコットランドへの多額の財政移転が減少することや、多くの銀行・保険といった金融業が登記上の本社をスコットランドからロンドン等のその他英国に移すことを示唆するなどプラスの面も多い。
一方、EU内においては、独立を切望するスペインのカタルーニャ自治州や、ベルギーのフランダース地方などへ飛び火する可能性が十二分にあるといえよう。3年前の想定外のアレックス・サモンド氏のスコットランド議会選挙での大勝が、英国全体を大きく揺るがすことになるか、全英のみならず欧州全体がその結果に注目している。
出典:賛成、反対、どちらが勝つか予断を許さず もしスコットランドが独立したら何が起こる――大和総研シニアエコノミスト 菅野泰夫|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
スコットランド独立:英国の連合体制の終焉か?
連合体制の放棄は、スコットランドにとっては過ちであり、残された国にとっては悲劇に
スコットランドの兵士や政治家、思想家やビジネスマンがその建国や繁栄に貢献したにもかかわらず、英国はスコットランドの民族性を守り育てず、逆に押しつぶしていると考えるスコットランド人がますます増えている。市民全体のわずか7%しか参加しない投票により、この偉大なる多民族国家が、一夜にして崩れ去ってしまうかもしれないのだ。
かつては想像もできなかったその結末は、スコットランドにとっては散々な結果、あとに残された英国にとっては悲劇となるだろう。
スコットランドが独立したとしても、経済問題は解決はしない
だが、スコットランドの相対的な経済衰退は、英国政府に無視されたせいではなく、製造と輸送の拠点がアジアに移った結果だ。英国政府がグローバル化とハイテク化の悪影響の軽減に失敗しているとしても、それは単に、そもそも軽減することが不可能だからだ。民族主義を掲げる側もそれを知っている。ゆえに彼らはこっそりと、英国政府の既存政策の多くを継続するだろう。
代わりに、あちこちに細かい修正を加えるはずだ。その一例が、補助金受給者を必要以上に広い住宅から追い出すために英国政府が最近導入した「寝室税」の廃止だ。そんなささいな、ごく最近の不快な施策を理由に国を分裂させるなど、正気の沙汰ではない。
経済面でも、民族主義者の主張には不備がある。スコットランドが独立しても、実際には今よりも豊かにはならないだろう。
スコットランドはたとえ独立しても英ポンドを使い続けると言っているが・・・
英国政府は独立後のスコットランドとの通貨同盟を拒絶している。スコットランドの民族主義者が赤字を増やす財政浪費を主張し、スコットランドの銀行資産が国内総生産(GDP)の12倍という危険な水準にあることを考えれば、これは正しい判断と言えるだろう。
英国政府側が態度を軟化させる可能性もあるが、それもあくまでスコットランドが厳密な管理下に置かれることに同意すればの話で、その場合、独立する意味はほとんどなくなってしまう。
スコットランドの民族主義者は、通貨などを巡る問題は穏便に解決されるはずだと主張している。新しく生まれた北の隣国を敵に回しても、英国にとっては何の利益にもならない、何しろ(彼らがそれとなく匂わせているように)スコットランドは国家債務の分担を拒否することもできるのだから、というのがその根拠だ。
スコットランドが独立したら、ポンドや国債にはどのような影響がある?
スコットランドには、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドやロイズ・バンキングなど複数の大手金融機関が本拠を構えていますが、これらの金融機関は、独立となった場合にはロンドンに本拠を移すとしています。英ポンドを使うことができなくなり、大手金融機関がスコットランドからイングランドに移転してしまった場合には、スコットランドの金融市場は混乱することになります。一時的かもしれませんが、金利が高騰したり、物価が上昇するかもしれません。英国の金融市場にもかなりの余波があるでしょう。
英政府の債務引き継ぎについても、問題が山積しています。スコットランドは英国全体の3分の1の面積を占めていますが、人口は約500万人と少なく、全体のわずか8%です。英政府は現在、1兆4600億ポンド(約255兆円)の債務を抱えていますが、人口比で割り当てた場合には、スコットランドは約1200億ポンドの債務を引き継ぐことになります。
イングランドとスコットランドでは経済に対する信用度が異なりますから、独立した場合には、スコットランド国債の金利は上昇するといわれています。したがって、独立したスコットランド政府の利払い負担は現在よりも多くなる可能性が高く、独立派が主張するように、社会保障などを手厚くすることは難しいかもしれません。
独立派は英ポンドを利用できない場合は、債務引き継ぎを拒否するとしていますが、これが認められる可能性は低いでしょう。また、日本の公的医療保険に相当するNHS(国民保健サービス)の分割など、社会保障政策にも、現実的課題があります。
こういった事情から、仮に独立となった場合でも、スコットランドはポンド圏に残留し、現在の形式に限りなく近い形で妥協が行われるのではないかと予想する市場関係者もいます。
はたして本当に「スコットランド経済の奇跡」は起こるのか?
北海油田は、1970年代にスコットランド沖で発見された大規模油田で、英国の石油はほとんどそこから来ている。埋蔵量は依然豊富とされ、独立派はその石油など資源収入を独占することで、英国や日本などを追い抜く「スコットランド経済の奇跡」を起こしたい考えだ。英メディアによると独立の場合、石油は歳入の10~20%を占める可能性があるという。
出典:スコットランド住民投票 北海油田で綱引き 英首相最後のお願いも「脅しには乗らない」 +(1/2ページ) - MSN産経ニュース