【洒落怖】軍人御殿(海・中編)
『軍人御殿』
699 :本当にあった怖い名無し:2013/12/11(水) 21:29:06.58 ID:81rVLrLy0海の話です、かね?
漁村を見下ろす丘の上には、小さな林と『軍人御殿』と呼ばれる古いお屋敷がありました。
お屋敷は平屋ですが、別に土蔵もあり、白壁で囲まれていました。
後ろに林、前には海を一望しています。
その屋敷は、戊辰戦争の時に功績をあげた軍人が別荘として建てたものだと
言い伝えられていました。
その軍人が亡くなったあと、家族からその別荘は忘れされたように使われることはなく、
人手に渡りました。
地元の金持ちや代議士などが住みましたが、数年、長くても十数年住んだあと手放してしまいます。
別にその屋敷に住んだ者たちが短命というわけではないのです。
ただ、屋敷を逃げ出してしまいます。
数家族が住んだあと、地元の裕福な商人が別荘として入手します。
彼は女中や小間使いを引き連れて越してきました。彼らのための別棟を建てることもしました。
女中の一人はこの漁村の出身のものだったのですが、彼女が親族に語るに、
「あの屋敷には幽霊が出る。いや、幽霊というものとは違うのかもしれない。
普通の姿をした人間が、夜といわず昼といわず、いろいろな場所に出没する」
700 :本当にあった怖い名無し:2013/12/11(水) 21:30:24.52 ID:81rVLrLy0
何か悪さをするのか?
「それが、まったく何もしない。
まるで生きている人間のように、食事をしたり、廊下を歩いたり、
風呂にはいったり、応接間で歓談していたりする」
その幽霊は、男か女か?
「それが、いろいろなものがでる。若い男たち、女たち、老人ら、子供たち」
それでは、気が休まらないではないかw?
「そうだ、その商人の家族や使用人たちはとても恐れている。
現れる場所も時間もばらばら。その兆候もない」
皆がそれを見るのか?
「そうだ。全員が目撃している」
その主人は気丈な人であったようで、警察に届けて、
また、いわゆる探偵業者のような者たちにこの現象を調査させました。
警察官はそれを目撃しましたが、捕縛することもかなわず無力でした。
しかし、探偵は成果を出しました。
その屋敷に現れる老若男女は、どうもその屋敷に以前住んでいた人々だということが
分かりました。
では幽霊か?
そのとき他界していた人もいましたが、まだ別の土地で存命なものもいました。
701 :本当にあった怖い名無し:2013/12/11(水) 21:33:58.16 ID:81rVLrLy0
では生霊なのか?
そうとも言えない、ということが分かります。
存命中に人間に面会して話を聴いても、
別にその屋敷に現れる人間はその屋敷に執着もしていないし、なんの恨みもない。
ただ、言いづらそうに述べた、その屋敷から出て入った理由は、
「同じような幽霊?が出るので、気味悪いので屋敷を手放した。何の害もなかったが・・・」
という。
その家は、そこに住んだ人間とその生活を『記憶』していて、それを『思い出している』のだろう、
ということでした。
結局、その屋敷を商人は手放したそうです。
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