【閲覧注意】ホラー映画・ヒッチハイク・海辺の悲劇【怖い話】
海辺の悲劇
昭和30年7月28日。
三重県にある海岸で泳いでいた45人の中学生のうち、36名が水死するという痛ましい事故がありました。
この事故の原因にはさまざまな説がありますが、生き残った数名の生徒が口を揃えて言いました。
「防空頭巾をかぶり、モンペをはいた何十人もの女の人が、物凄い力で足を引っ張り水の中へ引き込んだ」と。
私はこのような話を信じないほうですが、実は私の兄弟がこの海辺で恐ろしい体験をしたのです。
兄はワゴン車に乗って、男4人で海水浴に来ました。
この海岸に来るのが目的ではなく、たまたまこの海水浴場が目につきワゴンを停めたといいます。
まだ夜だったので、車で仮眠を取って明日泳ごうということになりました。
夜明け前に尿意を催し外に出ていた友人が、皆を起こしました。
「海に妙な物がある」外に出てみると、夜明け前の海面は鈍い銀色をしています。
沖のかなり離れた所に、なにやらキラキラ光るものがあります。
「・・・ビニール袋かな?」確かにビニール袋が光を反射しているように見えなくもない。
しかし、月も沈んでまだ陽は昇っていないのに?
「……手、かな?」もうひとりがつぶやきました。
「溺れてんじゃねえのか、見に行くか?」
「あんな遠くにあるのに、なんで手首と断定できるんだよ」…でも、あれは一体なんだ?
皆で車に戻り、酒を飲んで無理に眠りました。
翌日、あたりの騒がしさに目を覚ますと、海水浴場は人であふれています。
昨夜のこともあって薄気味が悪いものの、ここまで来て泳がないのもしゃくです。
そこで、浅瀬で全員離れないようにと約束して海に入りました。
そのうち、ちょっとしたすきに離れてしまった仲間の一人が突然助けてくれと叫び、沈んでいきました。
「馬鹿やってんじゃねえよ」昨夜の出来事で、悪ふざけしていると思ったそうです。
さほど深くもないのに、溺れるはずはない。
しかし、彼はすでに沈んでおり、手だけを上に出してもがいています。
男3人で、急いで引き上げようとしましたが、逆に凄い力で引き込まれそうになりました。
兄が海の中を見たところ、砂が巻き上がり友人を包み込んでいます。
兄はその砂の中に無数の手があるのを見たそうです。
兄達は助けを呼びました。
近くにいた屈強な男たちが助けに来てくれ、大人7人がかりでようやく助け出すことができたそうです。
溺れた友人の体は、腰まで海底の砂の中に埋まっていました。
「なんなんや! これは!」加勢してくれた男たちも驚いていました。
この海岸、第2次大戦中空襲の死亡者二百余名を埋めた場所だと、後から聞きました。
ヒッチハイク
「町まで乗せていただけませんか?」「こんな山の中でどうしたんです」
「ちょっと…」
青木さんは、この娘は彼とドライブに来て、喧嘩でもしたのだろうと考えました。
町までの道もわかるというので、車に乗せました。
美人で道も知っているし、ラッキーと思ったそうです。
青木さんは専門学校生で、その頃人気のスペシャルティカー「セリカ」を中古で手に入れ、仲間2人を誘ってドライブを楽しんでいる途中でした。
京都から山越えして日本海へ、そしてUターン。
近道をしようと幹線道路から山道へ入ったところ、道に迷ってしまいました。
陽は暮れかかり、少々あせり気味で走っていたところ、白いスーツにパンプスという出で立ちの女性が手を上げて立っていたのです。
女性を後部座席に乗せ、車内は華やかになりました。
後部座席に座っていた青木さんの友人は、話題も豊富で3人の中では一番モテる人でした。
その女性は無口でしたが、決して陰気ではありません。
ジョークにほほ笑みを浮かべながら、的確に道順を指示します。
ところが、10分も走らぬうちに、青木さんはこれまで体験したことのない恐怖に襲われたのです。
ひざが震えてアクセルさえまともに踏めない状態だったといいます。
恐怖の原因は何だったのか。
それは、後部座席の女性でした。
何かに化けたわけでもなく、ミラーにもしっかり映っていましたが、それでも青木さんはその女性が「人間じゃない」と確信したそうです。
それは青木さんだけでなく、2人の仲間も同じように感じていたそうです。
「そこを右」
「真っすぐ」
「そこを左」
車内には道を指示する女性の声だけが響きます。
青木さんはハンドルにしがみつき、怯えながらもただ前を見て運転しました。
ハンドルを左に切った時、青木さんは助手席の友人と目が合いました。
恐怖に歪んだ顔をお互いが認めた瞬間、二人は悲鳴を上げました。
「キキキキーーーッ」
青木さんは急ブレーキを踏み、ドアを開けて真っ暗な山中を助手席の友人と一緒に逃げました。
「あれはなんだったんだ?」息を切らしながら言いました。
そして気付いたのです、一人足りないことに。
ツードアの車の後部座席から降りるには、前の座席を倒さねばならない。
後部座席の友人は車内に残っているはずです。
ふたりは震えながらも車に戻りました。
暗闇の中で、ヘッドランプとルームランプの点いた車を見つけました。
車からは奇妙な声がします。
残された友人は大股を広げて失禁し、ぐったりとシートにもたれていました。
体を小刻みに震わせて「オオッー」と獣のように唸っていました。
助手席のシートが倒れていたそうで、あの女性は車を降りて、真っ暗な山中に姿を消したことになります。
彼は入院しました。退院後も、魂が抜けたようになってしまいました。
ドライブに行ったことも覚えていません。
青木さんがお見舞いに行っても「君は誰だ」と言われたそうです。
ツ―ドアのセリカは廃車処分にしたそうです。
ホラー映画
『リング』って恐怖映画があったよね。
ホラーが大の苦手なんだけど、たまにはホラー映画で気分転換もいいかなと思って、僕は兄と見ることにした。
見始めて30分。
怖いシーンなど全くないのにもう耐えられないと思い、僕は部屋を出ようとした。
兄も「一度見てるから俺も見なくていいや」と、テレビを消して自室に戻ろうとした。
んんんっ?
その部屋の戸が動かない。出られない。
横にかるく滑らせるだけで開くはずの戸が、動かない。
兄がやってもムリ。軽くパニックになる僕と兄。
するとその時、
「パチンッ!」
テレビのスイッチが勝手にONになった!
また『リング』が画面に写し出された。
完璧にパニックにおちいった僕と兄は力任せに戸を開けようとするが、びくとも開かない。
叫び声をあげそうになったその時、
「どうしたの?」
両親が外出から帰宅し、戸を外側から開けた。
いま起こった出来事をワーワー言いながら説明し、テレビの方を振り返ったのだが…。
ついてないんだよ。画面。