人を窒息させることに興奮?「自殺サイト殺人事件」前上博とは
自殺サイト殺人事件
自殺サイト殺人事件(じさつサイトさつじんじけん)とは、2005年8月2日に行方不明であった女性の遺体が大阪府河内長野市にある河川敷にて発見されたのを発端として発覚した殺人事件である。8月5日、当時堺市に住んでいた36歳派遣の修理工の男が逮捕された。この事件は、犯人の実父の元勤務先に捜査本部が設置されたことでも有名となった。当初、殺害容疑はこの女性1人だけだったがその修理工の供述によりいじめ被害者とされる男子中学生や男子大学生の殺害も発覚。その後の捜査でこの2名の遺体が山中で発見された。うち男子大学生の遺体遺棄現場は第1被害者の女性のそれと全く同じ場所のダム湖であって、遺体発見現場としては数kmしか離れていなかった。
登場人物
自殺志願者殺し
2005年2月23日、若い女性の遺体が大阪府河内長野市加賀田川の砂防ダム付近で見つかった。遺体は下着姿で、豊中市の無職・M子さん(25歳)と判明。M子さんは2月19日から行方がわからなくなっていた。同年8月5日、同府堺市の人材派遣会社員の前上博(当時36歳)が殺人・死体遺棄の容疑で逮捕された。
M子さんとはある自殺サイトで知り合い、2004年12月から20回近くメールのやりとりをしていたのだという。そして「練炭で自殺しよう」とM子さんを誘い、2月19日夜に合流。その際、証拠隠滅のためM子さんにやりとりしていたメールを削除するように求めていた。
レンタカーのライトバンの後部座席でM子さんの手足を縛ったうえで、シンナーを嗅がせたり、鼻と口を手で押さえて数回にわたって苦しませた末、殺害した。
「男でも女でも、口をふさいで苦しむ姿に性的興奮を覚えた。苦しむ顔が見たかった。自分は自殺するつもりはなかった」
自宅からは、女性を縛った上で口や鼻を圧迫して窒息させる映像が映った市販のわいせつビデオが多数押収された
前上はさらに「自殺サイトで知り合い、5月中旬に中学生、6月上旬に若い男性も殺した」と供述。「大阪府南部の和歌山県境付近の2ヶ所で崖から落とした」と話した
6日夕、和歌山県との境に近い和泉市の山中で捜索が行われ、神戸市北区の中学3年・X君(14歳)の遺体が発見された。
X君は5月21日に家出、行方がわからなくなっていた。同月4日にも置手紙を残して家出をしており、岡山県内で保護されていた。2度目の家出の直前には、「自殺サイトで知り合った大阪の男性と会うことになっている」と携帯メールを友人に送信している。
7日午前には河内長野市加賀田の林道斜面で、近畿大3年の男子学生・Yさん(21歳)の白骨化した遺体が発見される。
Yさんは三重県出身で、東大阪市で1人暮らしをしていたが、6月初め頃にアパートから姿を消して、家族から捜索願が出されていた。
X君とYさんとはやはり同じ自殺サイトで知り合ったのだという。X君は手足を縛られながらも抵抗し、命乞いをしたが、失神と覚醒を繰り返させて殺害した。
すべての犯行を自供し終えると、前上はこう語った。
「もう、すべて終わらせたい。自分で自分の欲望を止められないのなら、死刑になって、幕引きしたかった」
出典:自殺サイト連続殺人事件
自殺サイト殺人・前上博が中学3年(14歳)を殺したときに録音した内容
1分12秒 「やめて、やめて、やめて、やめて。なんでこんなことするの!なんでこんなことするんよ!やめて、やめて、やめて、こんなことやめて!
もう、やめてって!約束が違うじゃない!」
1分30秒 「お願い、だからやめて、やめて、やめて!お願いやから、やめて!
聞いて!だから、信じて!」
2分21秒 「人殺し!」
2分25秒 「人殺し!やめて!人殺しはやめて!」
3分16秒 「すー、ひー、ひゅるるるるるるるるる」
3分50秒 「お願い!ちょっとだけ話聞いて!お願い!」
4分06秒 「なんでこんなことすんの!」
4分56秒 「お願いします!このままの格好でいいから!なんですか!なんですか!
なんでこんなことするんですか!」
6分48秒 「ウー、ウー、わかったから!ちょっと待って!」
8分06秒 「アー、ウー、ウーン・・・・・・」
8分15秒 「もっとしっかり声を出さんかい」
8分20秒 「殺さないで・・・・・・」
11分34秒 「ウォーッ、ウォーッ、ウォーッ」
12分19秒 「南無妙法蓮・・・・・・南無妙法蓮」
13分46秒 「南無妙法蓮・・・・・・ウーウー」
16分49秒 「ブリブリブー」 (脱糞に伴う放屁)
17分24秒 「ハァ、ハァ、ハァ」
22分03秒 「アッ!」
22分27秒 「ハァハァハァハァハァハァ」
23分01秒 「ウッ・・・・・・・ザーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
あの小説の挿絵のように
前上は1968年生まれ。4人家族の長男で、父親は元警察官。大阪府堺市の高校から石川県の金沢工業大学に進んだ(1年で中退)。性格はおとなしく、近所の人は「目立たなかった」と口をそろえる。大学生のころ「眠れない」と病院に通ったことがあるという。地元に戻った前上はタクシー運転手などの職を転々とし、人材派遣会社に就職。04年5月からはカメラ製造会社に派遣されていた。ここでの評価も「おとなしい」「真面目」といったものだった。
前上が異常な性癖に目覚めたのは幼稚園の頃である。郵便局員のかぶった白いヘルメットに性的興奮を覚えた。(このことは法廷では話さず、面会した東海女子大教授・長谷川博一氏に語った)
前上は中学生の頃、推理小説の挿絵に子供が口を押さえられる様子が描かれているのを見て興奮した。やがてそうした絵を見て自慰するようになった。
以後、高校を卒業するまでに、薬品を染み込ませたガーゼで近所の児童らの口を押さえ、窒息させるという犯行を何度も繰り返した。
さらに2001年3月から6月にかけて、堺市の路上で通りがかりの女性ら2人にベンジンを染み込ませたタオルを押し当てるという事件を起こし、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受ける。翌年の4月にも男子中学生の口をふさぐなどして、傷害・暴行罪で懲役10か月の実刑判決を受けた。警察官だった父親は退職金を慰謝料に充てた。
前上は窒息の表情だけでなく、白いソックスにも異常な執着を示した。中学生の時、教育実習生がはいていた白いスクールソックスに興奮したのが目覚めだという。
郵便局で働いていた頃(1995年)、白ソックスを履いていた同僚男性に劣情を催し、スタンガンで襲って逮捕された。この事件では起訴猶予となる。元警官の父親が一千万円近い示談金を払っていた。
白ソックスについては後に殺害した3人の男女にも履かせていた。性の対象は高齢者でなければ、男女どちらでも良かったという。
前上は2001年頃から自身のホームページを開設。主人公が人を窒息死させるという内容の自作の小説を掲載する。それは偽装工作をして迷宮入りにするものだった。自身をブログで「窒息王」と名乗っていた。
「直美はうめき声を上げながら、必死に首を左右にふろうとして抵抗する。その苦しんでいる姿を眼に焼き付けながら、俺は満足感に浸っていた」(小説より)
前上は任意聴取の時は否定していたが、復元されたこのサイトをつきつけられると他の2人の殺害を認めたという。
前上は自宅向かいの白いプレハブ小屋で生活をしていた。ここには大量のビデオテープを保管されており、「観賞部屋」にしていた。
事件発覚直後、「遺体をカメラなどで撮影し、観賞するため画像を保存していた」との供述通り、パソコンには被害者が苦しむ様子を記録した画像や音声が「実行記録」として保存されていた。
なお、Yさんを殺害した後もネットカフェで4人目の標的を探して、自殺サイトで知り合った数人とメール交換していた。
出典:自殺サイト連続殺人事件
前上元死刑囚のIQは128もあった
前上元死刑囚のIQは128もあった事が明かされた。IQ128というのは、
非常に頭が良い部類に入る。
そして、
前上元死刑囚はその犯罪衝動ゆえに、
自己嫌悪に陥り、
懊悩の限りを尽くした。
それでも止められないので、
前上元死刑囚は犯罪抑止の為、
「窒息マニア」の小説を書いていたという。
この小説は面白がって書くというよりも、
自身の衝動を発散させる為に書いていた。
また前上元死刑囚は、
自分から精神科医の元へ行ったり、
カウンセラーの元へ行って、
「俺をなんとかしてくれ。」
と頼み込んでいたという。
つまりIQが高く、
記憶力が異常に高かった前上元死刑囚は、
罪を犯す度に後悔し、
更生しようとしたものの、
過去、父親から味わった体験が忘れられず、
また罪を犯してしまう。
前上元死刑囚は、
そんなどうしようもないジレンマを抱えていた。
裁判
2007年2月に検察側は死刑を求刑した が、その際に被害者遺族も求刑に参加できるようにする、という初の試みがなされており、また前川自身も最終弁論において死刑になることを望んでいる。同年3月28日、大阪地裁で、前川は求刑通りの死刑判決を受けた。 その理由として、水島和雄裁判長は、以下のことを挙げた。
●被害者が被告と同じ自殺志願者であったことについては「直前に、被害者自身が殺していいという意思表示をした」という「刑法202条(自殺幇助及び同意・嘱託・承諾殺人、7年以下の懲役)を満たす、被告側に有利となるような要件」については、唯一の物証であるテープの冒頭部分を見る限りでは「あった」と立証できるものの、「練炭による安らかなる死、という偽りの殺害方法」を提示して誘拐しておきながら、「リンチもしくは拷問によって」これまでに数回自殺を図ったが死にきれなかったために味わった被告自身の「生き地獄の責め苦」を「自らの性的欲望を満たす意味合いも兼ねて被害者にも強要」し、被害者自身が「殺され方を選択できる余地がなく」本人の望んでいた、あるいは期待していた「最初に提示されていた練炭による安らかなる死」とは180度異なっており、同じ自殺志願者仲間のやるようなこととは到底思えず、結果の重大性を左右できるようなものでもありえないため、前述の「刑法202条に基づいた、死刑回避できるような減刑事由」に相当しかねること。
●男性2人の殺人については自首が成立するとともに、遺族に対しては反省や謝罪の言葉をしきりに口にしており、最終弁論の最後においては土下座もしているという言動を見る限り、法律の上では弁護側が主張したとおりの「減刑事由」に相当するものの、それ以前に被告は罪状の過少申告をして減刑を勝ち取ったり、また今回の事件について言えば下準備や証拠隠滅工作を重ね、完全犯罪をほぼ達成できていたという事実を見るに、完全責任能力を有していたばかりか、過去の連続(強盗)傷害罪の再犯・併合罪加重が立ちはだかっているという事実に加え、第1の殺人について言えば準婦女暴行致死罪が成立するような状況だったとの事実認定ができる以上は、自首や謝罪をしたとはいえ「死刑回避できるような減刑事由」に相当しかねること。
●1年以上にわたって行われた精神鑑定によると、被告人は両親、特に元警察官である父親からは独自の逮捕武術から派生した窒息によるリンチ・虐待を受けており、これが被告の言う「4つの性癖(白色スクールソックス、窒息、唯一効力のある「精神安定剤」が他人をいたぶることであること、そのことを苦にしたことで生じた自殺願望)」の根本となっていた。この事実を察するに、元々うつ病で騙されやすい体質の被害者全員はもちろんのこと、似たような境遇である被告もお互い何の非もなく悲劇的であり同情に値するが、この「4つの性癖」によって、本判決までに120人以上を殺傷して裁判所と塀の外を行ったりきたりして「非行歴も含めて、前科5犯の再犯者(しかも前科の内容は5つとも全く同じもの)」となっているという事実を見る限り非常に根深いものがある以上、手のほどこしようがないと断言することができ、さらには今回の殺害動機とも因果関係があると立証できた時点で、矯正・更生の見込みは極めて絶望的であり、最終弁論において被告本人自身もそうであると認めている以上、弁護側のみが主張した「死刑回避できるような減刑事由」に相当しかねるということは明白である。また被害者遺族及び関係者の処罰感情の峻烈さと相俟って、死をもって償わせるしか被害者・被告など当事者全員を救う方法はないこと。
弁護側は即日控訴したものの、前川が2007年7月5日付けで弁護人の控訴を取り下げたため、死刑が確定した。 前川は、「刑事訴訟法475条2項に則って半年以内、できれば3ヶ月以内に、少なくとも自分は宮崎勤もしくは宅間守の模倣犯であるので、遅くとも宅間のように1年以内に死刑を執行して欲しい」と話していた。
2007年7月7日に、控訴取り下げの無効を求める審理開始の弁護人の申し立てを大阪高等裁判所は受理した。
死刑確定
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