世田谷小学5年生の不運?放射能汚染地域川場村への移動教室
放射線被ばくを避ける最良の方法は汚染源に近づかないこと!!!被害は放射性物質の摂取で起きる。
東京電力福島原発事故の放射能で汚染された群馬県川場村は、「汚染状況重点調査地域」に国によって指定された。1時間あたり放射線量が平均で0.23マイクロシーベルト以上ある地域として公式に確認され、大掛かりな放射能の除染が行われた。その一角に世田谷区と協定した世田谷区民健康村があり、世田谷区の小学校5年生の児童約5000人を「川場村移動教室」と称する自然体験を目的とした行事に原発事故後も毎年参加させている。宿泊施設周辺や自然体験コースの遊歩道などは除染されたとはいえ、これらに隣接する山林は汚染されたままである。
このような地域で授業を行うことに対して児童、特に保護者らが不安と危機感を抱くのは当然のことで、世田谷区に対し移動教室の行き先の再検討、または中止、開催場所の変更などを求める要望書を提出した。これに対し世田谷区は、除染を行なった結果宿泊施設の空間線量は大幅に低下した。また、2泊3日の移動教室での放射線の影響を子供達の日程に沿って計測し、専門家の助言等によって、健康や安全に問題がないとの評価も受けた、として保坂展人区長名で保護者らに理解を求める文書を送付し行事は途切れることなく実施され続けている。
しかし、川場村の放射能汚染が気になる保護者の不安は消えず、毎年のごとく区や教育委員会に移動教室の再考や全ての保護者に参加の可否を判断できるよう汚染に関する情報の提供、参加児童の被ばく回避処置の徹底などを求めて話し合いを続けている。しかしながら教育委員会においては保護者らの要望はなかなか実現せず、子供を移動教室に参加させるか否か、参加させてしまった不安などモヤモヤとした苦悩と葛藤が保護者の間で毎年繰り返されている。
https://kawaba-kangaeru-hogosha.jimdo.com/
世田谷区立小学校の5年生が体験する2泊3日の校外学習、川場移動教室。 しかし昨年の福島第一原発の爆発事故によって、川場村の豊かな自然は汚染されてしまいました。「放射能汚染状況重点調査地域」である 川場村。教育の名の下、学校が除染地域に子供たちを連れて行くことが果たして正しいのかどうかを考えてみてください・・・。
2013年4月の移動教室開催場所の放射線量
二宮金次郎の石像前で0.378μSv/h。去年、同じ時期、同じ場所で測定した0.443μSv/hよりは低いものの、依然として高い。SL広場の芝生では、初日に多くの学校がお弁当を広げる。保護者への公式発表では0.161μSv/h(地上1m)。
2014年、移動教室のハイキングコースの放射線量を測定した。コース両側は除染できない手付かずの山林が広がる。
●川場移動教室 「雨乞い山ハイキングコース」の放射線量を測定しました - 世田谷こども守る会
2014年5月28日、世田谷区議会議員の風間ゆたか氏に同行して、川場移動教室のハイキングコースの放射線量を測定しました。 向かったのは「雨乞い山ハイキングコース」。「なかのビレジ」に宿泊する学校のおよそ8割、児童数にしておよそ2000人が毎年、自然体験授業の一環としてこのコースを登っています。
2015年7月、世田谷こども守る会では三人の保護者が川場村の移動教室宿泊施設と周辺の放射線量を実際に測定した。
草をかき分け、いざ屋根の上の茂みへ。なかのビレジの屋根は、こんな風に自然と一体化した構造になっている。
お分かりかしら? ここ、屋根の上なんざます。
素敵ーーー!!!何という眺望!!!
ここから星を眺めたら最高だよね。
しかし、ここが区議会で問題になったスポットなの。
まだ除染をしていない、いわば原発事故後手つかずの「土」がここにあるわけです。
区が発表しているB棟屋根の上の土の数値は「80ベクレル/kg」。
ホントかな?
0.27マイクロシーベルトを表示。
事故後4年経ったとはいえ、除染していないそのままの場所だけあって屋根の上は、RADEXだと0.25μSv/h前後ですね。
事故から6年たっても保護者らの不安は消えず、疑問も多く、なかったことにしたくないとして行なわれた大おはなし会。
大おはなし会のフライヤー
世田谷区の小学5年生が全員参加する2泊3日の川場移動教室。宿泊先の群馬県川場村は、原発事故以来、国から「汚染状況重点調査地域」に指定されており、実施を疑問視する声も〜〜〜〜あなたのモヤモヤをなかったことに、し・た・く・な・い。
当日は、世田谷こども守る会より、行政との話し合い経緯をご紹介した後、世田谷区の放射線アドバイザー、小豆川勝見先生(東京大学大学院総合文化研究科 環境分析化学研究室助教)より、川場村の現状などについてお話しいただきました。その後、参加者全員で日頃から抱いている疑問や不安を話し合い、充実したお話会となりました。中略
大おはなし会では、小豆川先生を囲んで、保護者、教員、区外の方々など、様々な立場から意見が交わされました。「子どもは参加しますが、親としては納得できずにいる」「川場村の実情を後から知り、驚く保護者もいる。事前に知らせてほしかった」「ハイキングコースの山の状態は?」「移動教室に参加する場合、子どもにはどのような注意をするべき?」保護者、教員、区議…様々な立場の方に発言していただき、活発な意見交換会となりました。
★お話会の詳しい内容は、こちらの議事録をご参照ください。
https://goo.gl/t3kJ2g
★川場移動教室で子どもたちが宿泊する「ふじやまビレジ周辺」・「なかのビレジ周辺」、また3つのハイキングコース「21世紀の森」「ヒロイド原」「鉱石山」の空間線量については、小豆川先生による測定値をご覧ください。
http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/users/user-10609/doserate.html
世田谷区放射線アドバイザー小豆川勝見先生の講演
川場村の最近の空気中の放射線量について解説された。
空気中の放射線量の測定だけではわからない本当の危険。健康被害は様々な微量放射性物質の摂取から起こることはすでに世界の常識。
2017年7月末、福島原発事故で生じた放射性物質が6年後の北日本で今だに漂っている、というショッキングな研究発表がアメリカの科学専門誌にあった。5年間の大規模なモニタリングでウラン、トリウム、ラジウム、セシウム、ストロンチウム、ポロニウム、テルル、アメリシウムの放射性粒子がまだ漂っていることがわかったというのである。
津波が福島第一原発を襲い3つの原子炉がメルトダウンを起こしてから6年以上が経過しても北日本全域ではウラン、トリウム、ラジウム、セシウム、ストロンチウム、ポロニウム、テルル、アメリシウムの放射性粒子がまだ漂っている。 これは、大規模な5年間のモニタリングプロジェクトを行った、世界有数な放射線専門家2人によって到達した結論だった。
科学雑誌:総合環境科学(Science of the Total Environment =STOTEN・2017年7月27日)に発表さた査読済みの論文。タイトル:ガンマ線分光法、オートラジオグラフィーによる北日本の粉塵や土壌から検出された放射性粒子(ホットパーティクル)と、SEM / EDS分析と放射線リスク評価。
著者アーニー・ガンダーセンはフェアウィンズ・アソシエーツの原子力技術者、元原発オペレーターで業界をよく知る権威者として内部通報者になった。2011年の福島原発メルトダウン時にはCNNで専門の解説者として登場した。マルコ・カルトフェンはウスター工科大学(WPI)で承認を受けた土木エンジニア、環境中の放射能汚染専門家の第一人者として有名。
2011年から2016年の間に、415件の「ダスト(粉塵)と表面土壌」サンプルを「ガンマ線分光法、オートラジオグラフィーおよびエネルギー分散型X線分析による走査電子顕微鏡法によって順次分析した」。サンプルのうち180件は日本からのもので、235件はアメリカとカナダから得たものである。明確には「日本の180の粒子状物質サンプルのうち、57が自動車用または家庭用エアコンフィルター、59は表面粉塵サンプル、29は街路粉塵(地表の土壌と塵埃の集積)、33は掃除機バッグまたはその他の粉塵サンプル 」だった(合計178で2個足りない)。
日本のサンプルのうち108個は2016年に採取され、残りの72個はメルトダウン直後の2011年に収集された。 GundersenとKaltofenは、主に福島県と南相馬市の15人のボランティア科学者を手伝って粉塵や土壌の収集を支援した。「これらのサンプルの大部分は、日本政府が居住するために清掃した除染済み区域から集められた」と、この研究は明らかにした。 2016年に採取された108のサンプルについては、「国際Medcom観察官警報表面汚染モニター(放射線サーベイメーター)を使用して、低位置の地域と汚染された屋外表面からのサンプルの識別をした。
2012年のFairewinds Associatesのビデオは、東京全域の無作為な場所、歩道の割れ目、屋上庭園、すでに汚染除去された子供用遊び場などから表面土壌の5つのサンプルをガンダーセンが収集する特集をした。 サンプルは袋に入れられ、税関に申告され、テストのために米国に持ち込まれた。 5つのサンプルすべてが非常に放射性であったため、ガンダーセンによると、これらは「米国では放射性廃棄物として認定され、テキサス州に送って処分しなければならない」ものだと言う。これらの5つのサンプルは最近発表された研究には含まれなかったが、ガンダーセンが2016年にサンプルを集めるために東京に戻った。そのサンプルはこの研究に含まれ、放射性で、ガンダーセンによると、「[2012]に私が東京で見つけたものに似ている」と言う。
さらに、180サンプル中142サンプル(約80パーセント)がセシウム134とセシウム137を含んでいた。ウラン燃料原子炉での核分裂プロセスで最も広く知られた2つの副産物であるセシウム134と137が原発事故で大量に放出された。 セシウムは他の同位体に崩壊すると強力なベータ放射線を放出し、摂取または吸入すると非常に危険である。少しポジティブな記述は、この試験では、米国とカナダの235の分析された粉塵サンプルのうち4つだけが福島からの検出可能なセシウム・レベルを有することを示した。
セシウムは、その分子構造のために体内ですぐに模倣カリウムとなり、しばしば心臓に運ばれて止まり、その後心臓血管系疾患につながる心臓組織に熱傷を負わせたり突然変異させる。 他の同位体は同様に体内ですぐに栄養物質を模倣する。 ストロンチウム90は、例えば、カルシウムと同様な働きをし骨および歯に吸収される。
カルトフェンはEnviroNewsに電子メールで次のように語った。「人体のさまざまな部位(神経、骨、胃、肺)が異なった影響を受ける」。 「それぞれの細胞は数桁以上変化する異なった放射線感受性を有する。短時間または長時間に渡って受けた線量が同じでも体は異なった反応をする。 外部からのX線、ガンマ線、ベータ線またはアルファ線とは対照的に、ホットパーティクルは吸い込まれたり、食品に入って飲まれたり食べられたりする放射性元素の小さな移動体である。 これらの破片は身体組織に蓄積することができ、数ヶ月または数年にわたって高強度の電離放射線を発し、細胞に損傷やねじれを与えたりして、無数の病気や癌を引き起こす可能性がある。 この研究では、汚染された環境粉塵が屋内に蓄積し、吸入、経皮接触、摂取によるヒトへの放射線被ばくを引き起こす可能性がある」と指摘している。
この研究では、「ホットパーティクルの大きさ、活動性、発生の幅広い変動性を考慮すれば、 何人かは、平均化された環境データを用いて計算された線量よりも高いまたは低いホットパーティクルからの放射線に被曝するかもしれない」と説く。例えば、汚染地域に住む人は、リーフブロワー(落ち葉吹き飛ばし機)を使用したり、ホットパーティクルを多く含んだ粉塵を含む床を掃除し短時間に大きく被曝するかもしれない。その一方で、同じ地域でも環境中の平均と同じバックグラウンド放射線に被曝する他の人々は、床を掃除する家政婦ほどの大きな打撃は受けないかもしれない。 仕事で多くの粉塵にさらされる人々、または単なる不運や偶然に高い放射性粉塵を呼吸した人は、がんや病気のリスクが高くなる。 強風はまた、土壌表面の放射性物質を手当たりしだいに巻き上げるので空中に浮き上がらせ不運な人々が吸い込んで危険に晒すには十分である。
ホットパーティクル、時には「内部放射線放出粒子=internal particle emitters」呼ばれるそれは、胸部X線と比べて対照的でユニークな疫学的リスクも有する。 放射線からの危険性は、被験者が受ける線量によって計算されるが、その線量を受け取る方法もまた、人の健康に害を及ぼす大きさの重要な要因となる。
「体内のホットパーティクルと外部放射線を比較することは不適切な類推です」とガンダーセンはEnviroNewsに電子メールで語り、 「ホットパーティクルは、その周辺を取り巻く非常に限られた範囲の細胞群に多くのエネルギーを与えるので、極めて限られた範囲の細胞に損傷を引き起こす原因となる。 外部放射線は拡散する。 例えば、ピンヒールの靴(ハイヒール)からの重量は、ローファーを履いている場合の重量と同じですが、その力は局所的であるため高いヒールは大きなダメージを与える。
KaltofenはEnviroNewsとの追加的電子メールで彼自身のアナロジーを詳述した:線量は組織によって吸収されるジュール単位のエネルギーの量です。歯科医院のオフィスにいて生涯で全身に1ジュールのガンマ線を被ばくしたフレッドに対して、 ホットパーティクルから肺に全く同じ線量のアルファ線を吸収したロンダを想像してください。 標準的な健康物理学の理論ではフレッドはほぼ確実に問題ないと言うが、線量が同じでもロンダが肺癌で死ぬ確率は約10%です。
外部放射線と内部ホットパーティクルは、異なる種類の生物学的損傷を引き起こすものの、全く同じ健康物理学の法則に従う。 私たちのデータは、両方を測定することなく放射線リスクを理解することができないことを単純に示している。
プルトニウムのようないくつかの同位体は、体内の組織に危険をもたらすだけである。 プルトニウムが発するアルファ線は皮膚によって遮断され、身体組織の深部まで浸透するほど強力ではない。 しかし、吸入または摂取されると、プルトニウムのイオン化アルファ線は細胞をひねったりズタズタに細断し、地球上で最も発癌性が高く突然変異誘発性の物質の1つになる。
「放射性粉塵被ばく線量の測定は、暖炉のそばにいるようなものです。」とKaltofen博士はプレスリリースで説明した。 "火の近くでは少し温かくなるが、たまに、その火は実際にあなたが火傷する火花を放つことがある」。Kaltofen氏は、「我々は誰かの机上理論の平均的結論を確認しようとしたわけではない」と述べた。 「私たちは人々が実生活の中ででどのように放射性粉塵に実際に遭遇したか調べた。微量分析法と伝統的な健康物理モデルを組み合わせることによって、一部の人々が将来の健康問題に苦しむリスクが実際に増加するには十分な放射性粉塵を呼吸または摂取していることがわかった。 これは特に、大人に比べて粉塵を多く吸入または摂取する子供および若年者に当てはまる」。
「汚染地域内と地図上の汚染地域外でも可能性のある人々は、放射性が強い粉塵や土の粒子の吸入または摂取により、環境データの平均から計算された平均線量より高い線量を受け取ることがある」とこの研究は要約で述べている。 したがって、正確な放射線リスクア評価には、均一な環境放射能レベルの被ばく線量だけでなく、ホットパーティクルによる被ばく線量のデータが必要となる。
詳細はこちら: ENVIRONEWS VIDEO SERIES:ARNIE GUNDERSENと今日の世界の原子力
世田谷区×世田谷こども守る会 第三回ミーティング 2017年8月30日、世田谷区役所にて教育委員会と毎年恒例の意見交換会を行いました。 意見交換会 参加者: ●世田谷区教育委員会:志賀教育次長、内田学務課長、我妻学務課学校運営係長、末竹学校健康推進課長、泉区民健康村ふるさと交流課長 ●世田谷こども守る会:保護者 6名 ※2015年夏 第二回ミーティングの様子はこちら ※2014年夏 第一回ミーティングの様子はこちら
https://goo.gl/Xh3U7e
本日は3人の保護者の声を聞いていただきたい。【保護者①】
区内のT小に子どもがいる。震災以降、放射能の勉強をし、とても怖いものと考えている。息子には、放射能の危険性も話している。川場村にはホットスポットがあるため移動教室には参加させたくはなかったが、5年生という思春期の入口に立つ息子に、親の思いで「行かないで」とは言い辛かった。
校長先生と面談をした。面談の印象は被曝を避ける行程を考えているなど誠意があるように思え、行かせることにした。しかし、学校から全世帯向けに川場村についての情報提供はなかった。校長先生からは、全世帯には言わない、心配だと申し出た家庭に個別に対応すると言われた。不誠実だと思う。
移動教室中、子どもたちの様子が学校のブログにアップされていたが、被曝体験だらけの内容にびっくり。喜ぶ保護者もいたが、実はホットスポットなんだよと伝えたら驚いていた。その家庭では、非常に気をつけて放射能対策をしているが、学校では人の目を気にしたり、学校ともめたくないと思って本音を表に出さず、相談をしていない。
このような、「家では対策をしている家庭」に対して、川場がホットスポットであることを伝えないのは不誠実ではないか?普段、家で気をつけているのに、学校から何の情報もなく、結果、無用な被曝をする。危なくないのか?危ないと思ってないのか?
NHKも報じたホットパーティクル(放射性粒子)は微細なガラス玉にセシウムが閉じ込められ長期間残留する。
原発事故から6年 未知の放射性粒子に迫る - NHK クローズアップ現代+
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3986/
2017年6月6日(火)放送。福島第一原発事故の際、過去の事故では見つかっていないタイプの放射性粒子が放出されていたことが明らかになった。大きさは11000ミリ以下から0.5ミリほど。微細なガラス玉に放射性セシウムが閉じ込められている。水に溶けないため、体内や環境中に長期間、残留する懸念がある。従来、考えられてきた放射性セシウムとは影響が異なる可能性があるという。「さらなる研究が必要」としつつ、研究者たちは、今、分かっていることを伝えようしている。未知の放射性粒子とは、どのようなものなのか?影響と対策は?探っていく。
修正・大きさは1000分の1ミリ以下
ビー玉のように丸い粒子、小惑星のようなゴツゴツとした粒子。今、研究者たちが注目しています。
ホコリから見つかった不溶性放射性粒子
計測した結果、200マイクロメートルほどの粒子の中に、放射性セシウムが合わせておよそ60ベクレル含まれていることがわかりました。
ごく小さな粒の中には放射性セシウムが含まれています。そのため、「セシウムボール」と呼ばれるものもあります。東京電力福島第一原発事故の際に放出された放射性粒子です。最近になって存在が明らかになり、調査が続けられています。研究者が注目する理由は、水に溶けない性質にあります。「不溶性放射性粒子」と呼ばれています。そのため、環境中に長い間、留まると考えられています。吸い込んだ場合、体内に長期間、残留する可能性がありますが、影響はまだ完全には分かっていません。避難指示が解除されていく中、研究者たちは今、分かっている情報をしっかり伝えるべきだと声を上げ始めました。
水に溶けない不溶性放射性粒子。この性質が健康影響を考える際に、大きな違いをもたらすといいます。これまで、原発事故で放出された放射性セシウムは、大気中のエアロゾルと呼ばれる水溶性の粒子に付着し、運ばれていると考えられてきました。水にふれると粒子は溶け、セシウムは拡散、薄くなります。呼吸によって肺に入った場合も同様で、水溶性のセシウムは体液に溶け、全身に薄く広がります。その後、代謝活動によって徐々に排出され、成人の場合、80日から100日ほどで、半分に減ると考えられています。一方、不溶性放射性粒子は体液に溶けません。例えば、肺の一番奥にある肺胞に付着すると、排出されるまでに年単位の時間がかかることがあるというのです。水溶性の場合と比べ、同じ量のセシウムでも、肺の被ばく量は大人でおよそ70倍。影響を受けやすい幼児では、およそ180倍になるとされています。