【洒落怖】身体の主導権(不可思議・中編)
『身体の主導権』
86 :1/3:02/11/19 21:56私は小学3年の冬から4年の5月までの間、記憶がありません。
何故かそこの期間だけ、記憶が飛んでしまっているんです。
校庭でサッカーをして走っていたのが3年最後の記憶で、
それが突然に、学校の廊下の大きな鏡の前で立っている記憶に繋がります。
テレビのチャンネルが切り替わってしまったような唐突さに、
混乱してひどく驚いていた自分の様子が、
鏡に映っていたのをよく覚えています。
まず、ボーッと鏡を見ている、焦点のあわない自分の顔が見えました。
それがハッとしたように、鏡に映っている自分を見て驚き、
服や周囲を、何が起こったかわからないという顔で見回し、
多少成長してしまった自分の顔や身体を触って、
不安で泣きそうな顔になってました。
それから胸の名札『4年1組』の文字を見た途端、
少しずつ色んな情報が頭の中に浮かんできました。
4年生になった事、今は5月だと言う事、教室の位置は2階の左端にある事・・・。
何ていいますか、記憶が飛んでいる期間で知らない筈の記憶なのに、
それを『思い出した』。そんな感じなのです。
87 :2/3:02/11/19 21:56
チャイムが鳴ったので、とりあえずその記憶にある教室にいきました。
学年は2クラスしか出来ない人数なので、
メンツに大した替わりはなく、先生も3年の時と引き続き同じ先生でした。
授業が始まり、見た事の無い教科書やノートを開いてみました。
使われて多少汚れ、折り目やラクガキのある教科書は、
見た事は無かったけれど、授業の内容は何故か判りました。
ノートに書かれた字も確かに自分のものなのだけれど、書いた記憶はないんです。
何かの思い違いじゃないだろうかと考え、
それからしばらくは違和感をあるままで生活を送っていました。
その内ふと、「記憶の無い間、誰かが自分の代わりをしていたんじゃないだろうか?」
という考えが浮かびました。
その間に何があったのかを思い出そうとしても、
その間にあった行事の内容や、一般常識のような記憶はあるのですが、
私個人の生活に関わる記憶だけは一切思い出せないのです。
テレビで○○を見た、冬休みに誰誰と遊んだ、とか。
この事は、家族や友人を含め黙っていました。
普段からボーッとしていた私は、
自分の記憶に無い期間の自分の行動についての話題が振られると、
「忘れちゃった」と、ヘラヘラ笑って誤魔化してました。
その実、とても不安だったんですけど。
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それからそういう事態は起きていませんが、後になって考えると、
「別の人格とかに、身体の主導権握られてたんじゃないか?」と思ってたりします。
で、思い出せる記憶とそうでない記憶があったのは、
記憶を私と共有できる部分と、その誰かが秘密にしたい、
プライベートな部分があったからなんじゃないかと。
それが半年足らず、しかもそんな事を気にしなくても
生きていけた子供だったからよかったものの、
これが大人になってからで、
2~3年も入れ替わってたりしたら・・・と考えるとゾッとします。
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