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【洒落怖】山に魅入られる(山・長編)

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【洒落怖】山に魅入られる(山・長編)

Author:
ankouankou
Posted date:
【洒落怖】山に魅入られる(山・長編)

『山に魅入られる』

965 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/11 19:38 ID:R94aBabp
小学校5年生くらいの頃の話なのですが、私が祖母の家に遊びに行った時の話です。 

当時私は夏休みになると、祖母の家に何週間も泊まりに行くのが定例となっていて、 
地元の子供達とも、夏休み限定の友人として結構打ち解けていた。
その年も友達との再会に心躍らせ、例年通り朝から晩までそいつらと遊ぶ生活を送っていた。 
主な遊び場は祖母の家の裏手にある山で、いつも走り回っていた。 

その日も、私は友達と山に登り遊んでいた。 
お昼になったので一旦家に戻り、午後はその山の中腹にある神社に集合する事になり、
私も家に帰った。 
私は昼食を物凄い勢いで流し込むと、午後の集合場所に急いだ。 

神社にむかって山道を進む途中、小さな獣道のような道が目に付いた。 
山の斜面に垂直に伸びる道は、一直線に神社の方へと伸びていて、 
近道になってるのかな、と思った私は、その道を通ってみることにした。 

獣道を進んでいっても、一向に神社にでる気配がない。 
いつもの道を進んでたとしても、とっくに神社に着くだけの距離は歩いているはずなのに。 
不安になった私は、走るようにその道を抜けていったが、
それでも道は一向に開ける様子がなく、
私はもう半泣き状態だった。 

しばらく歩くと、水の流れる音が聞こえた。 
きっと、いつも水遊びをしている小川だ… 
やっと知ってる場所に出られると思った私は、小走りに歩を進めた。 
すぐに道が開けて小川に出たものの、知らない場所だった。 
私は、この恐怖から開放されると信じていた希望を打ち砕かれ、そこで泣き出した。 

966 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/11 19:40 ID:R94aBabp
しばらくメソメソと泣いていたが、ふと、川の向こう岸に女の人が立っているのに気付いた。 
透き通るように肌が白く、とても綺麗な人だったのを覚えている。 
その姿を確認したときには私は、その女の人に向かって走りだしていた。 
しかし、その人はするすると奥のほうに歩いて行ってしまう。 
いくら走っても追いつけない…… 
私は置いて行かれるのが嫌だという一心で、ひたすらその人の後を追いかけた。 

そうしているうちにパッと道が開けて、小さな集落に出た。 
その集落はもう人が住んでいないらしく、どの家も廃屋となっていて、 
酷いものになると、屋根が崩れ落ちているものさえあるようだった。 
女の人はその集落の入り口に立って、私が追いついてくるのを待っていた。 
私はその人にしがみつき、わんわんと泣き出した。 
どうしておいていっちゃったの、と。
その女の人はニコーっと笑顔向けると、私を抱きしめた。 

気が付くとあたりは暗くなっていた。 
廃屋の内の一つの中にいるらしかった。 
目の前には女の人の顔。 
私は膝枕をされた状態で眠っていたようだった。 
「僕寝ちゃってたの?」 
にっこりと女の人が頷く。 
この人に僕のママになってほしい、と思った。 
女の人は、私の髪を何度も優しく撫でてくれた。 
私はその女の人に体をあずけ、とても幸せな気分にひたっていた。 
なんとなく自分は、ずっとこの人と一緒にいるんだと感じた。

967 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/11 19:41 ID:R94aBabp
しばらくして、その女の人の顔が少しずつ苦しそうになっているのに気付いた。 
お腹痛いのかな、なんて思っていると、唐突に女の人の腕が落ちた。 
びっくりして顔を上げると、女の人の顔はグチャグチャだった、 
全身に蟲が湧いていた。
私は叫び声を張り上げつつ、全力疾走で廃屋を飛び出した。 
後ろから追いかけてくる音とともに、
「待って!!」 と言う声が聞こえたような気がした。 

どこをどう歩いたのかも覚えていない。 
気が付くと獣道を下っていた。 
少し道を進むと、神社の裏手に出た。 
もうすっかり夜だと思っていたのに、まだ夕方だった。 
『立ち入り禁止』の札の下がったロープを跨いで神社に出ると、祖母の家に帰った。 

泣きながら事情を説明すると、いきなり祖父にどなられた。
訳も分からずにいると、祖父は家の中の祖母に向かって、
「大変だ。坊さん(私のことです)がヤマっ様に魅入られたぞ!!」 
大慌てで奥から祖母が飛び出てきた。
その後、私は家の外で、祖父に髪を全部刈られて坊主にされた。 
泣いて嫌がったが、祖父は聞く耳をもたず、ずっと険しい顔をしたままだった。 
その後で祖母に塩を掛けられて、やっと家に入れた。 
そして、「二度と一人で山道に入らないように」ときつく言われた。 
私は女の人の見せた悲しそうな声が忘れられなくて、会って謝りたいと思っていたが、 
祖父が怖かったので、結局山には近づかなかった。 

968 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/11 19:43 ID:R94aBabp
子供の頃の思い出です。 
何でも、山に魅入られると後ろの髪を引っ張られるから、坊主にするそうです。 
このままでは神隠しにあってしまう、との話でした。 
他スレで頭坊主にするって話を結構みかけたので、私のも書いてみました。 

ちなみに、私の母はこの時すでに亡くなってましたが、
この女の人とは全く似ても似つかないです。
何でママと言ったのかは分かりません。 

後日談というか、何年かしてその山にまた行った時に例の獣道を登ってみたけど、
すぐに神社に出た。 

ちなみに、神社の裏の立ち入り禁止の道の方も登ってみたけど、原っぱに出ただけでした。 
もう二度と会えないんだな~と子供心に思い、少しだけ爺さんを恨みましたw 

973 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/12 02:33 ID:Xq4RjEoY
>>965-968 
それ、俺の知ってる話によく似てますね。 
たしか、集落の名はマヨイガ。 
今となってはたしかめようもない、ヤマノタミの郷・・・w 

976 :965:04/05/12 10:09 ID:ASGFXSRz
えと、みなさん感想どもです。

文中にある通り、坊主云々ってのを、他スレのまとめサイトで結構見かけて、 
あらまー、俺も坊主にされたよ、てな事で書いたのですが。 
その話ってのは、指摘の通り自己責任シリーズです。 

ただ、一連の話では、女の人は物凄い怖いんですけどね。 
私は今では、あの人に悪意はなかった、と勝手に思ってます。 
思い出は美化されまくりです。

実際には、話自体は自己責任シリーズと関係はないのかもしれませんが、 
頭を丸めると言うのは、結構ポピュラーなのかも知れないですね。 

ちなみに、祖父母宅は、件のシリーズによく出てくる九州ではなく東北です。 
だから、じいさんの叫びは、実際には「魅入らっちゃ!!」ですw

973の話は、多分遠野物語かな。
友達に話したら薦められたんだけど、未だに読んでないです。 
遠野物語と言えば、祖父母宅は昔座敷童しがいて、
父が小さいとき一緒に遊んだとか語ってました。
私は見たことはありません。 
父は私の話を聞いて、
「童でなくなり家にいられなくなった座敷童が、
 昔遊んだ自分(父)に似ている私を呼んだのではないか」
と語ってました。 
何だか唐突だなー、童でなくなった座敷童って何だよーっと思ってたら、
酒の勢いでとんでもない事を暴露しやがりました、あの親父w

17 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/13 09:04 ID:/ssLzV2y
酒の勢いもあったのだろう。いつになく饒舌だった。 
しかし、その内容はあまり軽い話ではなかった。 
以前父は、
「私が山中で邂逅した女性は、自分が昔遊んでいた座敷童ではないか」と言っていた。 
その座敷童との思い出だった。 
不思議なようで、それでいて何の変哲もない子供の頃の思い出話にも聞こえた。 

今では懐かしい、昔ながらの遊びをしたそうだ。 
問題はそこではない。遊んでるぶんにはいいのだ。 
いや、ひょっとしたら、遊びの一環だったのかもしれない。 
子供の好奇心からなのか、単にマセていたのか、愛し合ってしまったのかは知らないが、
とにかくそれは起こったらしい。 
その後も、しばらくは少女は現れていたらしいのだが、
ある日ぱったりと現れなくなったそうだ。 
父はたいそう落ち込んだそうだ。

その話を、「このエロ親父が」などと思いつつ聞いていた私だが、 
父が不思議な体験をした私を、その少女と結び付けたがるのも分かる気がした。 
父にとって、掛け替えのないのと同時に、悔やまれる思い出なのだろう。 

18 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/13 09:07 ID:/ssLzV2y
私は考えた。
父の言うとおり、あの女の人がその時の座敷童なんだろうか。 
しばらく考えて、私はその説は認められないと思った。 
もし、本当にあの女性が件の座敷淑女だったとしたら、
嫌な仮説や想像が浮かび上がってくるからだ。 

一人であんな廃墟にいたのも、あの崩れ落ちた腕も、父との事のせいではないか? 
父の言うとおり、彼女は私が父に似ているから近づいたのか。
もしかしたら、ただ自分の子供に会いたかっただけなのではないか? 
私の中に、何か得体の知れない縁が潜んでいるのではないか。 

何より洒落にならない事に、私は彼女をママと呼んだ。 
そして、もしそうだったとしたら、
あの時逃げ出してしまった私を見て何を思ったのか。 
あの崩れ落ちる前に見せた、必死に何かを我慢するような苦しそうな顔。 
すがる様に後ろから届いた「待って!!」という言葉。 
全ての後味が何倍も悪くなる。悔やんでも悔やみきれなくなる。 
会って言いたいこと、聞きたいことは山ほどあるが、その道も絶たれてしまった。 

私はあの女性は、山の神様か何かではないかと考えている。

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ankou

怖い話を中心にしてまとめています。