海外でちゃっかり不動産の巻(2)
あまり人が教えてくれない受け渡しやBIR登録
【予約はいつも2万-5万ペソ】これは決まっているのかどうかわからないが、物件の予約金は2万-5万ペソと相場はきまっているように思われる。
【新規購入の支払い方法はいろいろある】
支払い方法はいろいろある。
一度にドッカーンと全額支払うのを「スポットキャッシュ」という。
この場合、約15%くらい割引がある。
「ダウンペイメント」つまり頭金を入れて、2年後に残金を一括で支払うパターンもある。
あるいははじめに5%を頭金として支払い、残金を3年で毎月分割で支払うと言うパターンもある。もちろん金利はない。「インハウス」というらしい。
これらの他に様々な支払い方が用意されているが、トータルでスポットキャッシュが金額的に一番少なくて済む。
【要注意の資金移動】
物件を買った時に大きな動きを見せるのは資金移動だろう。
例えば日本の銀行から1000万円を外国に送金すれば、当然ながら根掘り葉掘り質問ぜめにあうことは間違いない。それに備えて、物件の計算書などを持って行くと良い。というか持っていかざるを得ない。こういうことですったもんだするのだ。
こんな時に永住権を取得して向こうに行きますよ。こんな日本にはいられませんからねぇ。ガハハ」などと言ってはならない。あくまでも言葉少なに適確に答えておけばいい。
銀行から税務署に通知が行く。これは仕方がない。大事なことは金の出所が明らかである証拠つまり資金がどう流れてこの物件にたどり着いたか説明ができればいい。
【受け渡し=ターンオーバー】
いよいよ物件ができた。そうなると受け渡しと相成る。
これを「ターンオーバー」と呼ぶ。小生はターンオーバーとは肌の細胞が生まれ変わることだと思っていた。
会社の人間と担当部署の人と一緒に部屋を見て故障部分がないかをチェックする。もしおかしな部分を見つけたら、この時指摘すれば、無料で修繕してくれる。
それがなければ決められた日に、「ターンオーバー」をする。
受け渡しとは非常に大事なことだと思うのだ。会社によってこの日の捉え方が違う。フィリピンを代表する財閥企業のA社と華人系財閥企業F社は実に対照的である。
A社はちゃんと「歓迎◯◯様」(英語で)とボードが作られて、そこで鍵の受け渡しと様々な説明がなされる。鍵も綺麗なケースに収まっている。
そして、鍵についての説明と、ゴミ出しの説明がある。次に別の担当者が来て部屋のレイアウトで使って良い色調についての説明がある。好きな色を使っていいというわけではない。このコンドミニウゥムの外観で使われる色がベージュや茶色、白系なので、カーテンなどの内装も使用すべき色調に制限をもうけているてぇ寸法だ。
F社は素っ気ない。お客にとって自分の物件が完成し、今日を境に自分が自由に出入りできる嬉しさを理解していない。仮にこちらが貧乏人であるとしても、あまりにお粗末と言わざるを得ない。まるで賃貸で部屋を貸した不動産屋みたいな感覚だろうか、「はい、これ、鍵」みたいな感じで鍵を渡されて、用意された紙に署名して終わり。本当に味も素っ気ない。こういうイマイチな会社が抜群の一等地を押さえているから皮肉なものだ。A社とF社の鍔迫り合いは今後も続いていくのだろうが、F社はもっと顧客満足度について考えて欲しい。
【物件の受け渡しが終わったらBIRに登録せよ】
最初のコンドミニアムを購入し受渡しが終わったら、BIR(内国歳入庁=日本でいう国税庁のようなものか)で自分の名前と住所(購入物件の)を登録する。この時顔写真を持参する。するとBIR Cardができると同時に自分の納税番号が決まる。このカードはIDカードとして通用する。
自動振替制度などという有難いものはない
【電気や水道&温水シャワー】電気や水道は管理組合がやってくれるので、請求書を見て自分で支払うだけだ。
物件により、電気と水道をそれぞれの会社に支払うやり方と、管理事務所が建て替えるので入居者は管理事務所に支払えば良いとするやり方がある。
なお、フィリピンでは電気料金と電話料金はかなり高い。
現地の人にいろいろ聞くと参考になる。一番参考にあるのは温水シャワーである。
「あぁ、旦那様、温水なんていらねぇでがすよ」と言う言葉を信じると水シャワーを浴びることになる。慣れかもしれないが小生にとってはこれが思いのほか寒い。小生は3ヶ月我慢したがついにたまらず温水シャワーを購入して取り付けてもらった。設置には1万-1.2万ペソもあれば何とかなる。
現地の人は当たり前に水でシャワーを浴びることがこの時わかった。いや、シャワーも使わず柄杓で水をかける人が何と多いことか。
【毎月の管理料はバカにならない】
物件ごとに、管理料が発生する。「マンスリーアソシエイションフィー」という長い名称だ。マンスリーフィーでも通じる。この金額は1平米いくらで決まる。これを銀行の自動振替で払うことができれば便利なのだが、そういうサービスは存在しない。電気代にしろ水道代にしろ、いわゆる自動振替という制度は日本の伝家の宝刀と言っても良いほど便利な制度だということをこういう時に思い知るのだ。
重要な登記簿謄本
【謄本について】さて、フィリピンでコンドミニウゥムを購入してから、その物件がちゃんと自分の所有物であると主張できるものは「タイトル」と呼ばれる謄本だ。
3、4枚が1組になっている。
フィリピンでコンドミニウゥムを売買しようとした時に、こういうことを言う人がいる。「フィリピンは米国と全く同じ法体系だから、謄本なしで売買契約書さえあれば売買できるはずです」
私は聞いた。「で、それで実際に売買は出来ましたか?」
相手「いえ、理論的にはそのはずです。」
案外こう言う人が多い。経験なく勝手に自分で決めている。別に経験が全てとは言わないが、それも状況による。こういう時は経験して人の意見を重視した方が良さそうだ。
現実の話をすると、売買に必須なのはこの「タイトル」のほうだ。
所有したらいきなり固定資産税がかかるが、その納付の際にも市役所の窓口で「タイトルのコピーありますか?」と聞かれる。固定資産税はタイトルに記載された場所の価値価格で計算するからだ。
さて、前回「ターンオーバー(受け渡し)」の場面で、会社によって対応が違うことは書いた。このタイトル受け渡しも会社によって扱いが全く違う。もっと言えば、唖然とするくらい違う。日本で司法書士がささっと手続をしてくれるイメージを抱いていると見事に打ち砕かれる。
A社は購入資金支払いの時にタイトル費用が含まれている。そして受け渡しの時に、なんとタイトルも同時にオーナーに渡してくれる(受け取る場所は違うが)。
これは購入者の不安を消し去る素晴らしい流れを作り出している点で良心的だ。
一方のF社はターンオーバーの少し前(時期はバラバラ)にタイトル申し込みをするなら費用を支払うようにと言ってくる。それで支払うのだが、問題はその先だ。
待てど暮らせど出来上がったと言う知らせはない。苦情のメールを入れても完全無視。4回メールしても色よい返事がないので、代理人(強硬にモノを言う女性=こう言う時、フィリピン女性は強烈にやる)に頼んだら知り合いの弁護士を連れて怒鳴り込んでくれた。それでわずかに前進し、牛歩のような速度でことが進み、結局2年かかった。「大変お待たせして申し訳ありませんでした」と言う言葉はついぞ聞かなかった。
日本であれば会社のそれなりの肩書きの人間がきて「お詫び」するものだが、かの国ではそういう意識はないようだ。「だっていい買い物をしたんだからいいじゃん」みたいな。
A社は対日本人用の営業対策をしている会社だ。F社はそのような対策は取っていない。「日本人で興味のある人いませんか?紹介してください」とF社の営業統括に頼まれたことがあるが、「そう言う時の通訳は用意されているのか?」聞いたら「ノー、サー」だ。
登記費用は概ね1平米あたり2700-2800ペソくらいだろうか。結構高い。
フィリピンのコンドミニウゥムはフィリピンに住まなくても買える。つまり日本にいながら購入できる。そこで投資用物件としてどうですかと言われて買うとする。「タイトルは費用がかかるから取らなくていいですよ。必要な時は言ってください。こちらでやりますから。」
一見親切に感じるが、悪いことをしようと思えば別の人にも同一の物件を売りさばいてダブルで金を稼ぐ輩がいるかもしれない。
恐ろしいのは、謄本さえも偽造だったら、、。なーんて、これはあくまで想像の話だが、、。
だから現物またはコピーを市役所に持って行き見せるのである。
その時に名前の確認もしてくれる。
ついでに言えば、年払いで納税すれば割引が効く。
そして「あなたは良い人だ」と言われる。
ちゃっかり外国で不動産はこれで終わり。