子供の思春期反抗期に悩んでいるお母さん。子供の本音、そして解決法まとめてみました
最近、わが子と会話が続かない。すぐ「別に」とか「うざい」……。何が気に入らないの? 反抗期の子どもを持つ親で、こんな思いを抱える人も多いはず。自分も通りすぎた思春期だけど、どんな気持ちだったか忘れちゃいましたよね。親に代わって、彼らの本音を聞きました。
■反抗期の子供は親にほっといて欲しい
「最近、親に腹が立ったこと」を聞くと、口をそろえて「ゲームやめろと言われるのがうざい」。ほかには?シン君(14)の家では、テストの順位でお小遣い額が変わる。少し前のテストで順位が大きく下がり、母に怒られて腹が立った。その次のテストでは成績が上がった。母は「ちょっと上がって良かったね」。ほめられたのに、また腹が立った。「小学生のころはほめられればうれしかったけど、今はほっといてくれって感じ」
なるほど。親からしたら、どうすりゃいいのってなるんじゃない? 「そうなんですよ。なんで腹立つのか考えても、理由は思いつかないす」
隣のチヒロ君(14)も、ほっといてほしいらしい。「友達んとこに遊びに行くって言ってるのに電話してきて、いつ帰るんだ、って。もう中学生なんだからさあ」
秋葉原のほか、原宿や池袋で声をかけた中高生たちのうち、「反抗期はない」という子もけっこういた。「親が共働きで帰ってくるのが遅いから、そもそも会話がない」という子も。一方、「腹が立ったことがある」子たちからは、こんな声が――。
〈今日どうだった?とか、同じことを何回も聞いてくる。2回目から無視=中3男子〉
〈私がアニメ好きだからと言って、興味ないアニメを録画して見せようとしないで=高1女子〉
〈お父さんが好きな車の話が長い=高1女子〉
〈勉強終わった直後に帰ってきて、勉強しろって。あんたが帰ってくるのが遅いだけだって=中3男子〉
〈かまわれすぎるのはうざい。でも、ゼロだとそれはそれでさみしいので、適度な感じにしてほしい=高1男子〉
〈部屋に無言で入ってきて、ゲームの主電源を切られた。引き戸になってるとこにタンス置いて開かないようにしてやった=中3男子〉
〈体を触ってきたり、ひっついてきたり。あんまりしつこいのが嫌だ。「ダルがらみ(だるいからみ)」って呼んでる=高1男子〉
〈勉強しろ勉強しろってうるさいけど、進学とかで周りが勉強し始めたら自分でやるから。信用してくれてないのかと思っちゃう=中3男子〉
■そんな反抗期もいつかは終わる
都内の私立中で2年を担任する女性教諭(32)によると、校内では中2の担任が最も大変と言われるという。反抗期に入る生徒が多いからだ。注意した時に目線を合わせなくなるのがサインだ。同時に、保護者からの「家で言うことを聞かなくなった。学校で厳しく指導してほしい」といった「丸投げ」が増えるのも中2の特徴。ただ、特別なことはしないという。「反抗期はいつか終わる。心配しすぎる必要はありません」
「中二病」という言葉もある。元々はラジオ番組で使われたことがきっかけで、思春期のころにありがちな自意識過剰な言動を自虐的に表現することを指す。「母親を『おかん』と言うようになる」「自分はやればできると思っている(でもやらない)」などが挙げられていて、反抗期の特徴と重なる部分もある。
ただ、ネットを通じて広まり、元々の意味が薄まった結果、今の中高生の間では、アニメキャラになりきってけがもしてないのに腕に包帯を巻くとか眼帯を着ける、「漆黒の闇が」などのセリフを言ってしまう、などの「ちょっとイタい子」という意味で使われているようだ。クラスで浮く、というよりむしろ「おもしろい子」という位置づけという。
■後から思えば
今度は、反抗期を通りすぎた高校生に話を聞いた。原宿の竹下通りでクレープを食べていた高3のコトノさん(17)。中2の時が一番ひどかったと振り返る。「ご飯できたよ」と言われるだけで「わかってるよ!いま携帯いじってんだよ」と言い返した。友達の家やカラオケボックスで朝まで遊ぶこともよくあった。「そのうち親もなんにも言わなくなって。諦めたのかな」
その後、自然と反抗期は終わった。今は、門限や「連絡は返す」など最低限の決まり事を守れば、あれこれ言われることはない。自分が母親になったら、あいさつや服装などの社会常識を守らせれば、自由にさせたいと話す。
コトノさんの友達・ミホさん(18)は、「親だから」という言葉が一番嫌だったといい、こう分析する。
中学になると行動範囲や交友関係が一気に増え、それに一生懸命ついていこう、合わせようとしていっぱいいっぱいになる。そこに、「親だから言っている、親だから心配してる」と言って口を出されると、「じゃ、私の気持ちは何なの?って思っちゃう。反抗期って、自分の意見がつぶされそうになったときに出る反応なんですよ」。(小林恵士、佐々木洋輔)
■水道橋博士さん「どうすればいいか、親はみんなわからない」
家の外では「はい」「思います」と敬語を使うのに、僕には「ああん」「うん?」だし。何か親との接点でのボキャブラリーがなくなる感じ。小3の長女はまだ大丈夫だけど、いずれ口をきかなくなるとか想像したら、もうね。自分がこんな、4コマ漫画に出てくるような典型的父親の感情を持つなんて、思ってもみなかった。ゲーム好きの長男とは「やりすぎはやめよう」という話は、ママと一緒に何度もした。僕が出演したラジオ番組で、識者がゲームの弊害を語ってた。聞かせると「自分だって体に悪いのに酒飲むじゃん」。それで、僕の禁酒と引き換えにやめるとか、取引を繰り返しました。6年になって、自分で中学受験を選んだので危機感はあるようで、今はゲームをやめています。
僕の中高生時代は、親には干渉されなかったけど、自我に目覚めてから内向的になり、親との距離は自然と離れた。いまの僕と子どもとの関係とはリンクしないです。
だから思春期のバリエーションって色々あるわけで、親の立場としても、強い父権を振りかざして「ダメなもんはダメだ!」という家もあっていいと思う。逆に子どもを信頼して自主性に任せるとか、家庭の数だけやり方があるはず。
正解は一つじゃなくて、「今どうしたらいいかわかんないよ」ってことを、親は誰しもそう思ってるんだって想像することが、一番安心するのかもしれないですね。
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すいどうばし・はかせ 1962年、岡山県生まれ。漫才コンビ「浅草キッド」結成後、コメンテーター、文筆業でも活躍している。著書に「芸人春秋」(文芸春秋)、浅草キッド名義で『お笑い 男の星座』(同)など多数。
子供が反抗期になる一般的な年齢や期間とは?
愛媛大の研究データを紹介
この研究は、100名を対象として行われました。100名のうち「反抗期があった」と回答したのは60名。その内訳としては、男子が24名、女子が36名となっています。統計データ:反抗期の時期
小学校時代 5名(8.3%)
小学校~中学校にかけて 2名(3.3%)
中学校時代 30名(50%)
中学校~高校にかけて 12名(20%)
高校時代 7名(11.7%)
小学校~高校にかけて 1名(1.7%)
小学校~現在にかけて 1名(1.7%)
中学校~現在にかけて 1名(1.7%)
時期不明瞭 1名(1.7%)
以上から、半数が中学校時代に反抗期を迎えており最多、続いて中学校から高校にかけて反抗期が持続したという人が2割、高校時代が1割強となっています。
反抗の理由を考える
同じく愛媛大学教育学部が研究したデータを用いて、反抗の対象、理由について解説します。反抗期の意味を考える上で、反抗の詳細について知っておくことは重要です。統計データ:反抗の対象(N=60、複数回答可)
母親 46名(76.7%)
父親 29名(48.3%)
教師 11名(18.3%)
祖母 2名(3.3%)
祖父 1名(1.7%)
その他 4名(6.8%)
反抗対象は圧倒的に母親が多く、子どもと接する時間が長い人物ほど対象になりやすいことが分かります。要するに、より信頼関係が構築されている、あるいは子どもを守っている相手に反抗しているわけで、反抗期の意義が「自立心の獲得」にあるという考え方を後押しする結果と言えるでしょう。
統計データ:反抗の理由(N=60)
自立心の芽生え 12名(20%)
親の性格、態度 10名(16.7%)
相互理解の欠如 7名(11.7%)
思春期の必然性 6名(10%)
自身の不安定 6名(10%)
自身の未熟 4名(6.7%)
信頼関係の不足 3名(5%)
その他の理由 8名(13.3%)
無回答 4名(6.7%)
やはり、反抗の理由として最多だったのは「自立心の芽生え」でした。一方、親の態度に問題があったと回答する人も多く、反抗期の難しさが表れています。
統計データ:反抗期が終わった理由(N=60)
自身の成長 14名(23.3%)
感謝の心 13名(21.7%)
自然消滅 11名(18.3%)
親と疎遠になった 10名(16.7%)
家族が親密化した 4名(6.7%)
親への諦め 2名(3.3%)
その他の理由 1名(1.7%)
無回答 5名(8.3%)
反抗心が低下した理由として、精神面の成長が最も多く挙げられました。一方で、あきらめや疎遠といったものも挙げられています。こういった部分に関しては、今後の親子関係を築く上での課題になってくるかもしれません。
出典:子供が反抗期になる一般的な年齢や期間とは? そもそも、成長の一過程であることを受け入れれば「反抗するのは普通のこと」と考えることも可能になりますから、慌てることなく見守る姿勢を取りやすくなるはず。まず、親がこの段階まで成長し、子どもを静かに見守れるようになるべきです。 ただし、反抗的な態度は認めても、子どもの要求をすべて受け入れる必要はありません。自立のために必要性が認められる部分はある程度、子どもの自由意志に任せつつ、理不尽なことは毅然とした態度で拒否する、という姿勢を維持しましょう。