映画「ロリータ」1962年/1997年どちらを先に観るべき?【おすすめ】
叶うはずのない奇抜な恋がテーマの「ロリータ」
出典:ロリータ (字幕版)
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映画「ロリータ」では、性的嗜好とされる"少女愛"がテーマになっていますが、誤解を恐れずに言うのであれば『本物のロリコン』です。
もっとも、ロリコン(ロリータ・コンプレックス)という和製英語がこの映画の原作小説「ロリータ」に起因しているのですが。
筆者は小説を知らずに映画に先走ってしまったのですが、同名作品がすでに2作公開されています。
1作目はスタンリー・キューブリック監督によって1962年に、
2作目は、エイドリアン・ライン監督によって1997年に公開されました。
どちらも基本的なストーリーは同じですが、2作目のほうが小説に忠実なようですね。
1962年「ロリータ」のあらすじ
出典:ロリータ (字幕版)
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主人公の男が、とある男の家に押し入りピストルで射殺。
直後の光景を目の前に、かつて過ごした日々の思い出を振り返る。
主人公は大学の教授を勤めていた。
夏の間の下宿先として訪れた豪邸で、庭でたそがれる少女(通称:ロリータ)にくぎ付けになる。
そのまま流れるように下宿先を契約し、ロリータと母親、3人での生活がはじまる。
主人公はロリータに夢中の毎日。
しかしロリータの母親は主人公に惚れている…という奇妙な三角関係ができあがった。
母親は主人公にラブレターで想いをつづる。
ロリータのことが諦められない主人公は、ロリータ目当てに母親と結婚するのだが…。
1997年「ロリータ」のあらすじ
大学で教授として働く主人公は、幼いころ恋人を亡くしたことで恋心を失っていた。そんなときに訪れた下宿先に、当時の恋人とそっくりな少女の姿が…。
出典:ロリータ (1997年)
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中盤から登場する謎の男のタイプも正反対。しかし気味が悪いというところは同じです。
個人的には1962年製のほうが(いい意味で)嫌いです。
一途なおじさんの恋
出典:ロリータ (1997年)
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ロリータは14歳。中学生に大人の恋を強いるなど無理があるのです。
しかし主人公のおじさんは本気。相手の年齢はともあれ、本当に恋に落ちたのですね。
その想いを果たすために母親と結婚するのは賢明ではありませんが、かといって主人公が望むようなロリータとの関係が正当化できるわけでもありません。
一種の偽装結婚をしてまでロリータのそばにいたいと願う気持ちは、これ以上一途な恋はありません。まさに真正のロリータ・コンプレックスなのです。
どちらの「ロリータ」を観るべきか?
今日でもいたるところで見かける言葉の「ロリータ」…の、もとになった映画「ロリータ」。日本語をつくった名作を、一度は観ておくべきでしょう。
しかし上映時間が1962年製は152分、1997年製は137分となんとなく気が重くなるのも否めません。
ということで、どちらか1作を優先するならばどちらにするべきか?という観点で両作品の特徴を挙げてみます。
モノクロ・単調好きなら1962年製
ロリータの感情が激しいのは1997年製
出典:ロリータ (1997年)
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冒頭で主人公が一目惚れするシーンにはじまり、書斎で仕事をする主人公を誘惑するように見つめたり、母親の前で甘えるようにくっついてみたり…。
「このおじさん、私に惚れているに違いないわ」と確信しているとしか思えない行動が山ほど登場します。
それが1997年製の魅力でもあるのですが、かえって現実的でないと感じてしまう人もいるかもしれません。
さらに、ロリータは終始情緒不安定気味。
旅のシーンの荒れっぷりにはさすがに疲れてしまうでしょう。
「思春期の女の子は難しいなあ…」と腕を組むシーンも盛りだくさんです。
※ちなみに、14歳のロリータを演じた女優さんは当時17歳でした。