【解説②】映画「メメント」レナードはどうやってテディを殺した?時系列で振り返る【ネタバレ】

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クリストファー・ノーラン監督きっての難解映画「メメント」。


これを時系列に整理したもののうち

テディ殺しがはじまるまでのきっかけを前回記事で解説してみました。

 

本編の冒頭でテディが「やめろ!」と同時に射殺されますが、それがなぜなのか。


すべて見終えて時系列並べてみると分かりやすくなるということで、前回に引き続き今回は「テディが殺されるまでのレナードの動き」を時系列でまとめていきます。


これは単純に本編の最後から冒頭までを逆に観ていくだけなので、比較的易しいかと思います。

レナードのジョン・G探しがはじまる

出典:メメント (字幕版)

動画
レナードが「さて、どこだっけ?」というところが始まり。

彼の1つの嘘から、冒頭のテディ殺しへ繋がる。


誤ったテディ情報を書き込んだことを忘れたレナード。

入れ墨を施すため店前で車を停める。


刻むべき文字は、妻を殺した犯人の車ナンバー

 ※もちろん、これはテディが所有する車の情報。


入れ墨の施術中、テディが来店し「車は裏に回しとけ」と忠告する。

さらに「身分証を変えて服も着替えろ」と。


 ※レナードが乗っていた車は絞殺したジミーのもので、服もジミーから剝ぎ取ったものだから。


事情を知らないレナードに、テディはさらに説明を重ねる。

お前はデカにハメられている。モーテルに入れて電話をかけ、ヤクの売人ジョン・Gの話を吹き込んでるんだ。ジミー・Gのことだ。


 ※テディの話は、半分が嘘で半分が本当。

 テディの言う"デカ"はおそらく自分自身のことで、

 レナードがジミーを絞殺する前にさんざん電話をかけてきていたのがほかでもないテディ。


テディから新しい服を受け取り着替えようとするが、写真のメモには【やつの嘘を信じるな】とある。


さらに別のメモには【あとで来て。ナタリー】と。


レナードはテディの"嘘"に気付き、着替えもせず裏口から出て行く。

そしてメモにあったファーディーズというバーへ車を向かわせる。

ナタリーと出会うレナード

ナタリーの嘘

ところがナタリーはすぐに帰宅


いかにも切迫した表情でカーテンを閉め、

「もうドッドが来たわ。ジミーの金を私が盗ったと言う。ジミーはテディに会って大金を持ったまま消えたの。


ナタリーはレナードに「テディって誰?」と迫る。もちろんレナードには分からない。

さらに自分の身が危険にさらされているとして「ドッドを消して」とレナードに頼むのだ。


 ※"ジミーはテディと会ったまま消えた"

 ジミーを消したのは、ほかでもないレナード。

 さらにナタリーはその事実にとっくに気付いている


ナタリーはジミーやドッドの説明をしながら、部屋中のペン類をかき集める

それらをすべてカバンに詰め込むと、なんとレナードを侮辱し始めた。

レナードはすぐさまメモに残そうとするが、

(ナタリーがすべてカバンに詰めたので)どこを探しても書くものがない。


ナタリーは車の中で記憶のリセットを待っている

レナードに嘘をつき続けるナタリー

テディからの忠告

テディのことは信じられないが、1人で宿泊する場所は必要だ。

モーテル「ディスカウント・イン」に入室すると、雑誌にある電話番号から金髪の女性を"注文"する。


レナードは、妻との最後の夜を再現しようとしていた。

ドッドに狙われ、狙う

撮影した写真に、ドッドの名と【ナタリーに聞け】をメモ。

メモの通りテディを電話で呼び出したあと、レナードはそのまま眠ってしまう。

ドッドのモーテルで目覚める

目が覚めると、知らない場所にいる。

しかしモーテルであることは間違いないようだ。

ようやくテディが到着し、自分の状況を説明させる。

しかしテディもドッドのことを知らないと言う。


本来の目的であるジョン・Gとは何の関係もないことから、ドッドを車で遠くまで連れていき解放。


レナードはそのままナタリーの家へ向かい、ドッドが何者であるかを確かめようとする。


ナタリーの家に到着すると、ドッドの写真を見せて「こいつは誰だ」と迫る。


「片付いたのね」と笑みを浮かべるナタリー。

レナードはこのとき、無関係な男を殺そうとしていたことが恐ろしかったのだろう。

さらにナタリーとジミーが写った写真を見せて、自分の恋人が亡くなったことを打ち明ける。


 ※もっとも、このジミーはレナードが絞殺した、あのジミーのこと。

 とっくに記憶が消えているレナードには、悟られることすらない。


ナタリーは、レナードに同情の目を見せて「ジョン・G探しを手伝うわ」と寄り添う。


夜中、ナタリーとベッドを共にするレナード。

立ち上がってナタリーの写真を取り出すと、【彼女も恋人を亡くし、あわれみで協力を】とつづる。

ナタリーとの約束

出典:メメント (字幕版)

動画
メモを見ると、どうやら自分に協力してくれているらしい。
ナタリー車のナンバー、友人に聞いてみるわ

太ももに刻んだ入れ墨のナンバーを見たと言う。そのまあ13時に会う約束をして、レナードは家をあとにする。


車を走らせようとすると、テディがそれを止める。

笑顔で接してくるテディに「俺の記憶のことは知ってるな」と笑顔で語りかける。


そのまま2人でレストランへ入り、並んでランチを注文。

テディはここでもレナードに忠告する。


「気をつけろ。お前はこの前、誰かにハメられて他の奴を殺すかもしれないと言っていた


 ※レナードには当然身に覚えもないことだが、"他の奴"とはドッドのこと。

 "誰か"はほかでもないナタリーのことで、

 テディはそのことも知ったうえでこんな言い方をしている。


あくまでもジョン・G探しは続行すると宣言したレナード。

テディに宿の場所を聞かれてディスカウント・インの写真を見せるが、どうやらカギをなくしてしまったらしい。


部屋にあるのだろう、とモーテルへ向かう。

管理人と話していると、【13時 ナタリーから情報】のメモを見つける。


そのまま約束のレストランへ向かい、ナタリーらしき人物に声を掛けられる。

向かいに座ったレナードに、ナタリーは大きな封筒を渡す。


レナードが探し求めるジョン・Gの車のナンバーから探し出した人物だ。

 ※ナタリーが提供した情報は、もちろんテディのもの。

 これはレナードの脚に刻まれた情報がテディのものであるから。


 さらに、住所に記載された街外れの廃屋はレナードがジミーを殺した場所

 "知り合い"はジミーのことで、"取引"はレナードが殺した日のことを言っている。


最後に「私の部屋に忘れていたわよ」とモーテルのカギを取り出して、ナタリーは去って行く。

レナードが見つけたジョン・G

レナードはレストランのトイレで手を洗っていた。


どこか知らない場所で手を洗っている。

トイレから出ると、そこがレストランであることが分かった。


店員から「忘れ物ですよ」と大きな封筒とモーテルのカギを受け取る。


ディスカウント・インに戻ると、ナタリーからもらった封筒を開ける。

そこにはジョン・ギャメルの顔写真や車のナンバーが記載されている。

レナードは、すぐにテディに電話する。

「ジョン・ギャメルか?」と聞くと「テディだ」と答える男。


レナードからの問いには答えず、「すぐに行く」と告げて電話を切る。


鏡の前に立って、刻まれた入れ墨を見返す。


やつを見つけて殺せ」「妻は強姦されたあと殺された

レナードの殺意や憎悪がよみがえる。

テディのメモを取り出し、【やつが犯人だ】と書いたあと、すぐに【殺せ】と加えた。

「お前は昔の自分しか知らない。"テディ"の名前もメモしただけで本当の名前じゃない。教えてやるから、地下室へ一緒に来い


 ※地下室にはジミーの死体がある。

 それを見せれば、レナードのジョン・G探しが終わっていることを説明できると考えたのかもしれない。


しかし、憎悪に満ちたレナードの心を変えることはできない。

テディの要求もむなしく、レナードはジョン・Gの頭を打ちぬいた

ややこしい人物相関図

かえってややこしくなっていますが、こちらが「メメント」の大まかな人物相関図。


テディがレナードを利用しているのは解説①でのことで

テディが殺されるまでのあいだはレナードに何度も危険を忠告していることがわかりますね。


それが本当にレナードを守るためなのか、

テディ自身を守るためなのかは定かではありませんが…。

しかしレナードは、自らテディを犯人にするようメモに残しました。

すべては自分の妻を殺した(と思い込んでいる)犯人に復讐するため


こうして、レナードのジョン・G探しは幕を閉じました。

そしてここからまた、新たなジョン・G探しがはじまるのです。

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Sharetube