永く日記を書き続けるには | 父の日記を読むという悪いクセ
日記・・・ふふ。なかなか続きませんよね。けど日記って後から読み直すと凄く面白い!映画何本分あるの?ってくらいの面白さがあります。だってねえ、簡単に言うと自分史ですもんね。私、ちょっとゲスい趣味がありまして、"実家に帰る度に父の日記を読む"のが趣味なんです。今はもう亡くなってしまいましたが、今も北海道に帰省すると膨大な数の父の日記の中から1冊手に取り夜中にお酒を飲みながら(間違えました、お酒に飲まれながらに訂正。※日記を読みながらの"飲み"は普段の3倍お酒が回るので注意)父の日記を読み耽るのです。可愛い日記、素晴らしいアイディアなどを交えながら、日記のプロかと思える様な父の日記をヒントに日記を書き続ける為のコツなどを探っていきたいと思います。
父の日記は、こんな感じの何の変哲もない手帳に書かれておりました。1ページに一週間の割り当てラインが入っていて、その線の中に小さくてとてもキレイな文字で五行日記が綴られているんです。私のこの悪趣味が始まったのは、、、"雪の為に峠向こうの水汲み場に行けなくなったのは去年のいつ頃だったか?"について家族で討論していた時の事です。"日記を見てみよう、確か書いてあるはずだ"と父が言い出し、両親と姉と私の家族四人で日記帳を囲み、姉が父の書いた日記を読み始めました。人の日記を見る事なんてありませんので、妙にコーフンしたのを覚えています。
出典:山崎絵日和 黎明編の画像
①自分の中でのニュース!(仲根家に待望の五つ子誕生!母子共に健康。)
②行動した事 (漬物石を拾って来いとの事。河原を少し見て歩く。)
③気になる出来事 (病院診察変わりなし。院で辺見さんに会い車に乗せてあげ帰宅。)
④歳時記 (朝、窓に霜が降りていた。)
⑤ゆみえと家族の事 (ゆみえお菓子屋を家に呼びご近所さんと共に大量購入 子供らに保管を任せる。)
歴史を刻む
自分の結納をして貰う為に実家に帰った時の事、いつものように父の日記を一冊手に取り、物置部屋と化した元自分の部屋で"飲みつつ"表紙を開きました。けれどこの日はいつもと違い、選んだ一冊は闇雲に手にした手帳ではなく父と母が結婚した年の手帳を選びました。結婚式が何月だったのか知りませんでしたので、手帳の端から読み始めると3月に父がプロポーズをして祖母に一度断られた事や、再度トライした事などが書かれてありました。ドラマのような激しい言い回しはありませんでしたが、大人しく色気の欠片もない父でもこんな頃があったのかと胸が熱くなりました。
〇月〇日
反対されたが意思変わらず。ゆみえさんとどうしても結婚したい。
くーーっ!若き日の父よ、諦めるな!
翌日、自分の結納が始まっても、堅物面をしている父が可愛くてひとり思い出し笑いを堪えきれずにおりました。こんな日記を見ちゃったら私の悪趣味が止まるわけがない。心の中で、早く結納終わんないかなー、日記の時間が待ち遠しいわい、今日は何の日を読もうかなー、っとね、自分が刻んでいる歴史そっちのけで魅了されました。
出典:男子高生と黒板はんこ
読み始める事数分。TOT 出てこない。もうすぐ生まれてくる私の話しが全然出てこない。お腹を蹴った!とゆみえは言っているんじゃないの?ゆみえご飯をモリモリ食べるとかないの?もうすぐ出産予定日だ、ゆみえは今日も元気だ、とかないのかよーーっ!
〇月〇日
次女無事生まれる。午前にて早退。
TOT お父さーーーん!早退なんてあり得ないほど、クソが付くほど真面目な父なんです。それが、子供が生まれたくらいで早退してくれたなんて!それだけで充分です。私を生んでくれて、いや、創ってくれてありがとう。あなたの子供で良かったわ。
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日記を分ける 花日記・旅日記
父の日記はこれの他にもう一つ絵日記がありました。絵を描く事が好きだった父の描いた(水彩画)花と旅の日記です。主に庭に植えてあった薔薇の絵とその年の出来栄えなどが書かれていました。その他にも旅先やドライブ中に見つけた花や風景を写真に収め、現像した物を見ながら描いた絵なども随所に出てくる素敵な日記です。正直売り飛ばしたいほどの秀作ばかりでした。
永山裕子 水彩画 | Watercolor... | 永山裕子 水彩画 | Watercolor, Painti... https://www.pinterest.jp/pin/864198615972491886/ This Pin was discovered by milktea. Discover (and save!) your own Pins on Pinterest.
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日記って、大抵は一日が終わり夜に書くのが普通だと思うのですが、一日も終わりに近づくと忘れてしまう事が多くないですか?父は日記を書く為に必ずメモを取っておりました。読み終えた新聞紙に赤いマジックで何かあると直ぐにメモを取るんです。どーでもいいような事をツラツラと書いているのですが、それが日記の原案だったのですね。日記を5行と決めているのだと鈍い私が気付いたのは日記を読み始めて何年も経った頃の事です。ふと新聞紙に書かれているメモが9つも10もある事に気付いたんですね。手帳を片手にソファに座り足を伸ばして老眼鏡の奥からチラチラと新聞紙に目をやり、ゆっくりと日記を書いていくわけですが、メモった中からキチンと抜粋していたんですね。ええ、新聞紙にもちゃんと"ゆみえ隣の奥さんとランチに出かけた"とか書いてありましたよ。で、"みのもんたの寒天流行"なんて言う自分的に興味が薄れたものが消えていくというシステムだったみたいです。
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日記を分ける② 新たなる日記登場 ふたりだけのInstagram
父が新しい日記を書き始めたと母から聞いて、次の帰郷が楽しみでなりませんでした。父の新たな日記は『ごはん絵日記』でした。その時父は認知症の初期でしたので直ぐに病気の進行防止なのだと気が付きましたが、本人久し振りに絵筆を取ったらしく楽しそうに描いておりました。定年後の事なので描く時間はたっぷりありますし、どのタイミングで描くかは勿論本人の自由です。題材は"その日美味かったごはん"のようで、たまに描かない日もあるとかで母が不貞腐れていました。美味しくてすぐに描き出す日もあれば、夜にじっと考えて描き始める時もあります。「朝ごはんが思い出せん。」なんて事も屡。
よく、ブログで忘備録的にご飯をUPしている方がいらっしゃいますが、それと同じで父のごはん日記もなかなか役に立つんです。ごはん作りに行き詰った時などに母がクックパッドでレシピ検索するようにして父の絵日記の中からごはんのおかずを探すのです。
そして一言。「同じような物ばっかり。」(それ、全部あんたが作ったんだよ。)そしてもう一言。「あ、ジンギスカン美味しそう!食べ行こうか!」料理が嫌いな母なので、父のごはん日記には外食したシーンもよく登場します。ふたりだけで楽しむインスタの様なものですね。ナカイイナ、コンチクショー!
どうして日記を書くのか
一度、父に「どうして日記を書くのか」訊いてみた事があります。「子供の頃からの習慣」と父は答えましたが、どうもそれだけではない気がします。と言いますか、父はその習慣の中から何かを掴んだのだと思うのです。父の日記の始まりは、父親から「一日半紙一枚の日記を書く事を命じられた」ところからスタートしています。子供時分の父には苦痛に感じる事もあったと思うんです。半紙一枚分の日記だなんて大人だって書くのしんどいですよね。大人になった頃には日記をしっかりと自分の生活の一部にして、言われてもいないのに書き続け、時に改良をしてやり遂げることが出来ました。やっぱこれって何か掴んでません?結局は娘の趣味にされてしまった父の日記ではありますが、私としてはアルバムを見るより遥かに父を知ることが出来る貴重な記録で、そして、かけがえのない財産です。
日記の目的を定める
■自分の振り返りのために書く
■思い出作りのために書く
■字を書く習慣づけのために書く
■日記自体を楽しむために書く
何でもいいと思うんです。「何のために日記を書くのか」明確な何かがあれば書き続ける事が出来るのではなかろうか、とそんな風に思います。そういう私は日記を書いていませんが、ただ、何かを書き続ける事はしっかり父から受け継がれているように思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。(長かったね)
ギンアンコ。