スターバックスのプラスチックストロー廃止!?背景にあるのは海のゴミ問題!
大手コーヒーチェーンのスターバックスは、2020年までに世界中の店舗からプラスチックストローを廃止すると発表しました。ストローの廃止は間違った認識と話題性で、各国さまざまな反応が取り沙汰されています。
背景にあるのは深刻化する海洋ゴミの問題。ストローを廃止するのではなく、使い捨てプラスチック製品の廃止に真意があるのです。
◆ 深刻化する海のゴミの問題
環境破壊が危惧されている海のゴミ問題。研究機関の発表では毎年800万トン以上のゴミが海に流れ出していて、特にプラスチックゴミに至っては、2050年に魚類の総量を上回るほどと警笛を鳴らしています。
海に漂流しているゴミは、水質汚染はもちろんのこと、生態系にも大きな影響を及ぼします。レジ袋やペットボトル、スプーンやストローなどのプラスチック製品は、自然界で分解することはなく、半永久的に海を漂います。
これらのゴミを誤飲してしまった動物たちが、次々と命を落としていきます。中にはゴミの誤飲が原因で絶滅の危機に扮している種族までもいるのです。
またプラスチックに含まれる有害物質が海中に溶け出し、プランクトンや魚を浸食することで、それらを捕食する海洋生物から人間にまでも健康被害が広がっています。
◆海のゴミの正体とは
海のゴミには、海面に漂う「漂流ゴミ」、海底に溜まる「海底ゴミ」、海岸に漂着する「漂着ゴミ」があります。「漂着ゴミ」のほとんどはプラスチックだと言われています。
人間により捨てられたペットボトルやレジ袋、使い捨てプラスチック用品、ポリタンク、発泡スチロール、プラスチック製品を作る時に用いるレジンペレットなどが主なものです。
なかには、注射針や薬瓶などの危険な医療廃棄物が漂着するケースもあります。
海のゴミは、浜辺で捨てられたものだけではなく、山や平地、市街地で捨てられたゴミが川から流れ込んできたり、プラスチック粒子を用いた歯磨き粉や洗濯洗剤を含む生活排水が流れ込んできたりしているケースも多くあります。
特に環境破壊が危惧されているのがマイクロプラスチックと言われる5mm以下のプラスチック粒子です。これは工業用研磨材、洗顔料、化粧品などに含まれているマイクロビーズともいわれる原料や、廃棄されたプラスチック製品が波や紫外線などにより破壊され、細かい粒子に分解されたものなどがあり、目に見えないほど小さなものまでも存在します。マイクロプラスチックを摂取してしまうプランクトンや魚などの海洋生物と、それらを捕食する私たち人間にも大きな健康被害を及ぼすと問題視されています。
◆世界的な産業改革
日本では環境保全や自然保護に関する意識が低いのですが、環境大国フランスやインド、アメリカの一部の州などでは、プラスチック製のレジ袋を法律で禁止されています。また、フォークやスプーン、コップなどの食器類もプラスチックでは作らない取り組みが世界中に広がっています。
話題になったスターバックスのプラスチック製ストロー廃止には、このような世界的なムーブメントがあったのです。
ストローをはじめとした使い捨てプラスチック製品は、安価で大量に生産することができます。使い捨てという発想は、大量生産、大量消費の上に成り立った資本主義経済の象徴とも言えます。
これまでのプラスチック製品を、自然に帰依する素材に変えることは、莫大なコストアップに繋がり、消費の縮小や販売業者の衰退に向かうかもしれません。
しかし資本主義が産みだした負の遺産を次世代に遺さないためにも、経済性を優先した消費サイクルの見直しが世界中で行われているのです。
いまの子どもたちが大人になった未来、ゴミだらけで人が近づけない危険な海と、白い砂浜と青い海が広がる生命の海。どちらになるかは、今現代を生きる私たちの選択にかかっているのです。
◆需要なのは問題意識
日本中のサーフポイントや海水浴場では、ビーチクリーンと言われる清掃活動が定期的に行われています。最近ではきれいな海を守る意識が高くなり、毎日のように環境団体や地方自治体、地元の有志などが海岸のゴミを拾っています。
また、サーフィンの世界的な大きな大会や国内で開かれている大会でも、選手たちが海から上がる時に片手のゴミを持って上がってくる姿を見ることがあります。
「サーフワンハンド」「ワンハンドビーチクリーン」などと呼ばれる活動で、サーフィンをして帰る時は、片手にひとつゴミを持ち帰ろうという世界中のサーファーが実践している運動です。
このような活動が世界中で行われているにもかかわらず、一向にゴミが減った実感はありません。毎日、毎月、次々とゴミが流れ着くからです。では、清掃活動は無意味な運動なのでしょうか。
「サーフワンハンド」も「ビーチクリーン」も少しでも海をきれいにしたいという意識から行われていることです。
その意識が海のゴミ問題を考えることになり、ゴミを出さない、ゴミを捨てない、ゴミになる製品を使わないなどの啓発活動や生活改善へと繋がっていきます。
人類が利己的な経済発展により汚してしまった海を、少しでもきれいにしたいと願う意識が連鎖し高まることで、諸問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
事実、問題意識が世界中に広がりを見せることで、新たなテクノロジーを生み出し、これまでもさまざまな環境改善への研究、開発が進められています。
人間が汚してしまった海をきれいにするのは我々人間の責務です。地球のきれいな自然を次世代に遺すためにも、海を、山を、自然を愛し、地球上に存在する全ての命へのリスペクトを忘れずに、一人一人の生活を見直すことも急務なのではないでしょうか。