堺市シンナー少年通り魔殺人事件とは
堺市シンナー少年通り魔殺人事件
堺市通り魔事件(さかいしとおりまじけん)とは、1998年1月8日に起こった殺人事件である。
逃げ惑う園児、母親らに、包丁を持った上半身裸の男が襲いかかった。98年1月8日、始業式の朝に大阪府堺市で起こった連続通り魔事件。
居合わせた人々は、わが子をかばう母親の背中に包丁が突き刺さった惨状を目撃した。
園児の大国加奈ちゃん(5ツ)はこの春小学校に入学する予定だった。
真新しいランドセルを自慢げに見せていた加奈ちゃんの遺体は同日夕、小雨の中、
無言で堺市宮下町の自宅に戻った。
加奈ちゃんの母親の佳美さん(35)は、他の園児、母親らと通園バスを待っていた。
女子高生の脚ノ(きゃくの)あいさん(15)が「助けて」と叫び走ってきた。
数㍍後ろから、包丁を握った若い男が何事かわめきながら追い掛けてきた。
悲鳴を上げる母子。目撃した母親によると、加奈ちゃんが転んでうつぶせに倒れ、男が後ろから刺した。
佳美さんは加奈ちゃんをかばうようにうずくまり「救急車を呼んで。救急車を」と叫ぶ。
背中には包丁、足元には血だまりができていたという。
近所の人の話では、普段からシンナーを吸う容疑者の少年には近づかないようにしていたという。
加奈ちゃんが運ばれた堺市の馬場記念病院には、自分の名前もうまく言えないくらい動揺した父親、勝彦さん(35)の姿が。
母親の佳美さんが手術を受けた同府大阪狭山市の近畿大付属病院では、勝彦さんのおば(59)が
「信じられない。せめて母親だけでも助かってくれれば」と言葉を絞り出した。
裁判
男性はシンナーによる幻覚状態であったとして、裁判では心神喪失を理由に無罪を主張したが、2000年2月24日、大阪地方裁判所堺支部は犯行当時の精神状態を心神耗弱と判断し、懲役18年(求刑無期懲役)を言い渡した。加害少年は心神喪失を主張し、控訴・上告したが、いずれも棄却された。2002年2月14日、加害少年に懲役18年の判決が確定した。
シンナー乱用による精神的障害
・幻覚・妄想
・無気力
・判断力の低下
・暴力的・攻撃的になる
・疲労
・情緒不安
・孤独感
有機溶剤には発がん性があります。慢性中毒は一度進むと大変治りにくいので、かかってからの治療よりも、かからないための予防が一番大切です。過度の麻酔作用による呼吸抑制、心室細動、肺水腫などによる死亡も報告されています。
またよく知られている通り、有機溶剤乱用者の歯は溶けてボロボロになってしまいます。 シンナーを乱用すると、背が伸びなかったり筋肉がつかないなどの発育を妨げる大きな原因になります。
出典:ドラッグ解説
民事訴訟
2000年4月、殺害された女児の両親が加害少年とその養父母に賠償を求めて大阪地裁へ提訴した。2001年1月12日、被告側が約5100万円を支払うことで和解が成立した。
少年に対する実名報道
1998年2月18日発売の月刊誌『新潮45』3月号(新潮社)は、ノンフィクション作家高山文彦による全16頁のルポルタージュを掲載。その中で、少年の生い立ちから犯行に至る経緯、家族関係に加え、中学校卒業時の顔写真並びに実名を掲載した。さらに記事の後には、実名と顔写真を掲載した編集部の見解も記した。少年の弁護団は重大な人権侵害行為であり、販売中止と回収を求める抗議声明を出した。東日本キヨスク、西日本キヨスク、一部書店では少年法に違反するとして販売を中止した。
2月20日の参院本会議の代表質問に対する答弁で橋本龍太郎首相は、「関係者の人権に好ましからざる影響を及ぼし、心の痛みを与える危険性がある。関係当局が必要な措置をとっている」と述べた。下稲葉耕吉法相も、「商業主義的な報道は憂うべきことだ。厳正に対処する」と述べた。
3月3日、東京法務局は発行元の新潮社に対し佐藤隆信新潮社社長あてで、「再び独自の見解に基づき同種の人権侵害行為をしたもので、人権尊重の精神の欠如、法無視の態度には甚だしいものがある」と指摘し、「少年法で保障されている人権を著しく侵害した」として再発防止策の策定や少年に対する謝罪などの被害回復措置を行うよう勧告した。これに対し、同社は勧告に応じない方針を表明した。
4月30日、男性と弁護団は少年法61条に抵触した記事で名誉を傷つけられたとして、新潮45の編集長と記事を書いた高山文彦を、名誉毀損の疑いで告訴状を大阪地検に提出した。また同日、2名と新潮社を相手取り、2200万円の侵害賠償などを求めて大阪地裁に提訴した。少年法61条違反をめぐる告訴、提訴は、全国で初めてとなった。
1999年6月9日、損害賠償訴訟について大阪地裁は、実名を報道した新潮45の記事が少年法に違反し、記事に公益性がないと指摘。さらに新潮社発行の『FOCUS』が神戸連続児童殺傷事件の犯人である少年の顔写真を掲載するなど過去に法務局から再発防止の勧告を受けていたケースをあげて実名報道したのは悪質であると判断。慰謝料に200万円、弁護士費用に50万円を算定し、計250万円の支払いを命じた。謝罪広告掲載の請求は棄却した。
2000年2月29日、大阪高裁は少年法61条について罰則を規定していないことなどから、表現の自由に優先するものではなく社会の自主規制にゆだねたものであり、表現が社会の正当な関心事で不当でなければ、プライバシーの侵害に当たらない、と条件付きながら実名報道を容認する判断を示した。そして今回の記事について違法性はなく、男性の権利侵害には当たらない、そして男性の更生の妨げになることを男性側は立証していないとして、賠償を命じた一審・大阪地裁判決を破棄し、男性側の訴えを棄却した。加害者が少年であっても、場合によっては実名報道できるとする初めての判決となった。
男性側は上告するも、「間違った行為を許す気になった」として男性が12月に上告を取り下げ、新潮社側の勝訴が確定した。
2001年1月9日、男性は編集長らへの刑事告訴を取り下げた。12日、大阪地検は2人を不起訴処分とした。
「新潮45」1998年3月号
大阪府堺市で起きた通り魔事件 の犯人である19歳シンナー少年の 顔写真及び氏名が載った
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