【死刑判決】マブチモーター社長宅殺人放火事件とは

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マブチモーター社長宅殺人放火事件


マブチモーター社長宅殺人放火事件(マブチモーターしゃちょうたくさつじんほうかじけん)は、2002年8月5日午後、千葉県松戸市にて発生した殺人放火事件である。犯人らはこの事件以外に2件の殺人事件を起こしており、一連の事件は警察庁広域重要指定124号事件に指定された。

出典:マブチモーター社長宅殺人放火事件 - Wikipedia

	

経緯

平成14年8月5日午後3時30分頃、千葉県松戸市のマブチモーター社長(当時)・馬渕隆一さん(当時69歳)宅から出火。焼け跡から、妻の悦子さん(当時66歳)と長女の由香さん(当時40歳)の焼死体が発見された。

悦子さんは1階のソファーで、由香さんは2階のベットで仰向けに横たわっていたが、それぞれ目と口には粘着テープの跡と紐で首を絞められた跡が判明したため、所轄の松戸東署は放火殺人事件として捜査を開始した。


マブチモーターは小型モーターで世界的に圧倒的なシェアを誇る会社で、玩具から半導体製造装置に至るまで様々な分野で使用されている。自宅が火事だという連絡を受けて駆けつけた馬渕社長と長男(当時43歳)は、猛火をただ見守る以外に方法はなかった。

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1本の電話情報


捜査本部は、捜査を本格的に開始したが手掛かりはつかめず捜査は難航した。事件から3年後の平成17年になって、捜査本部に匿名の情報がもたらされた。それによると、゛群馬県伊勢崎市に住む小田島鉄男(当時62歳)と同居している守田克美(当時54歳)の2人は服役中に知り合った。この2人から、馬渕社長宅への強盗に加わるよう誘われた゛というものだった。

小田島と守田は、平成17年1月18日に群馬県前橋市の老女(当時80歳)から現金7000万円を盗んだ容疑で群馬県警に逮捕されていた。そこで、捜査本部は群馬県警に出向き2人に対して事情聴取した。


更に捜査本部の調査で、馬渕社長宅放火殺人事件の2日前と事件当日、松戸市内の国道16号線を走行する守田の車が監視カメラに写っていたこと、事件後にフィリピンに渡航していたことなどが判明。このため、2人を更に厳しく追及した結果、犯行の一部を自供したため同年12月7日に千葉県警我孫子署と松戸東署の合同捜査本部は、2人を放火殺人容疑で再逮捕した。

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広域重要124号に指定


捜査本部は、2人の取調べで更に別の2件の殺人事件も小田島と守田の犯行であることを断定した。①平成14年9月24日、東京都目黒区の歯科医(当時71歳)を絞殺し金員35万円相当を奪った事件、②同年11月21日、千葉県我孫子市の金券ショップ店に私服警官を装って押入り、経営者の妻(当時65歳)を絞殺し指輪など70万円相当を奪った事件である。

このため、警察は一連の連続殺人(放火)を広域重要指定124号に指定した。いずれも老人ばかりを狙い、殺害してから金員を強奪するという残忍で計画的な犯行。歯科医を殺害した理由では、「電話帳の五十音別職業電話帳で最初の歯科医ページに広告が掲載されていたから」という供述と、殺害現場に落ちていた広告の切り抜きの遺留品と符合した。

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守田克実の裁判焦点

守田克実被告は2006年12月19日、千葉地裁で一審死刑判決。2008年3月3日、東京高裁で被告側控訴棄却。2011年11月22日、被告側上告棄却、確定。

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守田被告は逮捕段階で犯行を全面的に認めた。また、マブチ事件で逮捕後、2件の犯行を認める上申書を提出した。

 2006年2月23日の初公判で、守田被告は起訴事実を全面的に認めた。

 検察側は論告で「4か月で4人を殺害するなど犯罪史上まれにみる重大かつ凶悪な犯行」などとして、死刑を求刑した。

 弁護側は「いずれの事件も小田島鉄男被告が計画、主導したもので、守田被告の関与は従属的だった」とし酌量を求めた。

 守田被告は公判で「極刑でも罪を償うことはできない」と発言する一方で、遺族らへの気持ちについては「表現できない」などと謝罪の言葉は述べていない。最終意見陳述でも「ありません」と答えた。

 根本渉裁判長は「4ヶ月足らずの間に連続して行われた凶悪事件で、社会に与えた衝撃も大きい。罪責はあまりにも重く、極刑をもって臨むほかない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。

 根本裁判長は、共犯の小田島鉄男被告について、「対象の選定、計画立案など寄与度は大きい」としながらも、「マブチ以外の2事件は守田被告が持ち掛け、現場でも小田島被告と役割分担をしており、主従関係があったとはいえない」と指摘。弁護側の主張を退けた。


 2007年10月29日の控訴審で、弁護側は控訴趣意書で▽共謀とされた長女の殺害は、監禁して金品を奪う当初の計画を、小田島被告が勝手に変更しており事実誤認▽守田被告の精神鑑定を却下した一審は、訴訟手続きの法令違反▽死刑判決の量刑不当――などと主張。計画のほとんどを共犯の小田島鉄男被告が計画したとして、「守田被告は小田島被告の指示で動いていた」「従属的な立場の犯行だった」と主張した。また、「一審は必要不可欠だった精神鑑定を却下した。4人のうち2人の殺害は共犯者による独断で、共謀は成立しない」などと訴えた。一方、検察側は「小田島被告の誘いに乗って積極的に犯行に加担した」として従属的立場だったとの主張を否定。控訴棄却を求めた。

 判決で中川裁判長は「具体的な計画を立てたのは小田島死刑囚だが、被告は大金の魅力に惹かれ、積極的に小田島死刑囚に働きかけるなど、互いに利用し合う関係が成立していた」と指摘。「利欲目的で何の落ち度もない4人の命を奪うなど刑事責任は重く、小田島死刑囚と大きな差を見つけることはできず、極刑はやむを得ない」と述べた。


 2011年10月18日の最高裁弁論で、弁護側は「死刑制度は憲法違反だ」と述べた上で、犯行は共犯として死刑が確定した小田島鉄男死刑囚が主導し、殺害の一部も「事前の共謀範囲を超え、小田島死刑囚の単独犯行だ」と主張。深く反省しているとして無期懲役を適用するべきだとした。検察側は「大金を手に入れようとした動機に酌量の余地はなく、死刑で臨むほかない」と上告棄却を求めた。

 判決で寺田裁判長は、「大金を得て遊んで暮らすため、資産家宅に侵入して全員を殺害する計画を立て、4カ月の間に相次いで事件を起こし、犯行態様も残虐、冷酷だ。4人の命を奪った結果は重大で遺族の被害感情も厳しい」と指摘。さらに、「マブチ事件は小田島死刑囚から誘われたものの、殺害など実行行為の重要な部分を担い、同等の分け前を得ている」として小田島死刑囚との役割にも差はないと判断。「人の生命を軽んじる犯罪性向が顕著。死刑はやむを得ない」と結論付けた。

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畠山鐡男(旧姓:小田島鐡男)の裁判焦点


弁護側は「主犯格とした点などで一審の事実認定に誤りがある」と控訴し、2008年1月に初公判が開かれる予定だった。しかし、2007年11月1日付で小田島被告が控訴を取り下げ確定した。

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畠山鐡男(旧姓:小田島鐡男)

住居侵入、強盗殺人、現住建造物等放火、電磁的公正証書原本不実記録、同供用、有印私文書偽造、同行使、旅券法違反
小田島被告は逮捕当時犯行を否認。その後、供述調書として記録されることは拒否していたが、調べに対しては全面的に認めていた。

 裁判では「公判前整理手続き」が適用された。2006年9月12日の初公判で、小田島被告は罪状認否で起訴事実を認めた。争点は(1)犯行の経緯と動機(2)被告の人間性(3)死刑の合憲性の3点に絞られている。

 検察側は2006年12月21日の論告求刑公判で「犯罪史上まれにみる凶悪犯罪」として死刑を求刑した。

 弁護側は2007年2月23日の最終弁論で「死刑制度は違憲。たとえ死刑を言い渡すべき罪を犯したとしても、不遇な生い立ちだった小田島被告の人生を死刑で終わらせることは非人道的」として、情状酌量を求めた。

 小田島被告は最終意見陳述で「ありません」とだけ述べた。

 根本渉裁判長は、「被告は前回の服役で更生の機会を与えられながら仮出所直後に犯行に及んでいる」。「金のためなら殺人もいとわない反社会的で冷酷非情な犯罪性向は根深く、更生の余地を見いだすのは困難」「極めて冷酷、非情で残虐。人間性の片りんもうかがえない犯行」と指摘した。判決理由で根本裁判長は、三事件すべてで小田島被告の主導的役割を認定。弁護側の「マブチ事件後の二事件は守田被告が積極的に持ち掛けた」とする主張を退けた。動機について、判決は「海外で楽に生活しようと思った」と指摘。計画段階から殺害、放火の手順を具体的に検討したとして「自己中心的かつ利欲的で、生命の尊厳に全く思いを致していない」と断罪した。被害者が4人に上ったことにも言及し、「被害者らの受けた恐怖感、絶望感は筆舌に尽くし難い」とした。


 弁護側は「主犯格とした点などで一審の事実認定に誤りがある」と控訴し、2008年1月に初公判が開かれる予定だった。しかし、2007年11月1日付で小田島被告が控訴を取り下げ確定した。小田島被告は一審で起訴事実を認め、判決前には弁護人に「(言い渡し通りの)刑に服そうと思う」などと話していた。弁護人によると、小田島被告から「遺族の激しい怒りが鋭い槍(やり)となって私の心に突き刺さってきます」「自分が犯した重大な罪に、謝罪の方法も分からない。遺族の願いは犯人の処刑だけで、自分の命でしか償えない」などと書かれた同日付の手紙が届いた。接見は拒否されたという。

 弁護人は「本人の誤解によるもので無効だ」として控訴審の開始を求めた。東京高裁(中川武隆裁判長)は7日付で、本人による控訴取り下げを有効と認める決定を出した。決定は「本人は取り下げの意義や法律効果を十分理解していた」と認定した。

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備考


小田島被告は1990年、2人組で東京都内の社長一家7人を2昼夜監禁し、現金3億円と貴金属を奪った。約3ヶ月後に香港から帰国したところを逮捕され、懲役12年の実刑判決を受け、2002年6月に仮出所していた。守田被告はタイ人女性殺人事件で懲役12年の判決を受け、89年に入所していた。

 マブチ事件では、遺族らが事件から2年目の2004年8月、有力情報者に1000万円の謝礼金を贈ると発表。二人を名指しした情報が捜査本部に寄せられていた。遺族らは、容疑者2人の逮捕につながる有力情報を提供した男性4人に謝礼金計1000万円を支払った。

 守田克実被告は2006年12月19日、千葉地裁で一審死刑判決。2008年3月3日、東京高裁で被告側控訴棄却。2011年11月22日、被告側上告棄却、確定。

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マブチモーター社長宅殺人放火事件後


馬渕さんはその後、自宅跡地を松戸市に寄贈。「安心して住める町づくりに活用してほしい」という意向を受け、市内で初めての安全安心ステーションの建設が決まった。建設費約2700万円のうち、1500万円を馬渕さんが寄付した。

出典:このページは削除されました|四国新聞社

	

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