<Floret>10月の花・紫苑シオン・金木犀キンモクセイ・ガーデニング・カンデルシュテーク・エッシネンゼー(エッシネン湖)
★風
一年ぶりの秋を真っ先に感じるのは「風」。かつて繰り返されてきた秋の記憶が瞬時に蘇り、その時の風と一体化する。
風は、空気の地表面に対する水平方向の相対的な運動で、風速・風量・風圧で表され、その多くは海と陸との温度変化から生まれる。
特に日本は、季節風、台風、低気圧の去来等、風の強い地域だ。
都市部では人工の風にも遭遇する。
ムッとするエアコンの排気風、地下鉄の出入口の強風、高層ビルの間では、あらゆる方向から風が来る。
その上、それらの風に様々な臭いや埃なども混ざり、滅多に爽やかな心地よい風には出会わない。
風は、植物に重要な役割を果たす。
風が全くないと葉から二酸化炭素の吸収が出来ないらしい。
永い年月の間に同じ方向に吹く風や雪によって曲がった木々を目にすることがある。
この「偏形樹」が多く生えている地点は、風力発電の適地ともされている。
我々には全く感じない風もある。
地球は宇宙に吹く太陽風の凄まじい嵐の中を漂っているらしい。
★花暦「コスモス」
江戸時代に海を渡ってきた金木犀。
「桂」は日本では「かつら」のことですが、中国では芳香のある植物のことを指し、金木犀は「金桂」と呼ばれています。
華南の「桂林」の地域では金木犀が沢山見られる他、南宗の詩人陸遊の詩の中では、「月には大きな金木犀が生えていて、その木がなくなったら月の光はもっと明るくなるだろう。」など、中国には数々の伝説があるそうです。
ところで、金木犀は空気の汚れている所では花は付けないとも言われています。
人間がその原因であることは明らかです。
育苗箱などに蒔いた種子が発芽してきたら、混んでいる部分は苗を間引きします。
本葉が出て来た頃から根張りを良くし大きな株に育てるために、ビニールポットなどに移植を行ないます。(大きく育つものなどは、その後、一回り大きなポットにもう一度移植する場合もあります。)
品種にもよりますが、早春まで軒下やビニールハウスでポットのまま育てますが、霜の降りない地域では今月中に定植します。
移植を嫌うスイートピーやポピーなどは、ポットで育てた場合は根を痛めないように注意して定植しますが、寒冷地でない場合は花壇に直蒔きした方が元気に育ちます。
春から夏に花をつけた宿根草の株分けや根詰まりぎみの鉢物の植え替え、アサガオやヒマワリなどは種子を収穫し、乾燥させて来年まで冷蔵庫で保存します。
チューリップ、スイセン、ヒヤシンス、スノードロップなどの早春から開花する球根類の植え付け適期。
他の植物とのバランスを考えて、球根の大きさの3倍の深さを目安にして埋め込みます。
今月から生長が止まる庭木や生垣は、整枝を行なうと春まで美しい状態を保てます。
観葉植物は、そろそろ室内に取り込みましょう。
野菜は、間引きや追肥などの管理の他、ネギやシュンギク、ソラマメ、エンドウマメなどの種子蒔きも今月です。
4月に種子を蒔き、育てたトマトやナス、ピーマン、インゲンは、まだまだ収穫中です。苗を購入して植えたものより収穫期間が永くなります。
キンモクセイの香りが漂い、紅葉が始まる10月。
庭では、バラが咲きコスモスが揺れる。
サルビア類、シュウメイギク、ジニアリネアリス、アゲラタム、スイートアリッサム・・・
野菜の間にはマリーゴールド。
草花たちが目の前で秋を彩っています。
★消えゆく花たち「紫苑 シオン」
絶滅危惧種。原野の湿った草はらに生える大型の多年草。
茎は直立して高さ80cm〜150cm、栽培下では2mを超えることもある。
茎葉はザラザラした手ざわりがあり、下方のものは長楕円形で長さ20〜35cm。上に行くにしたがって小さく細くなる。
根生葉は大型で長さ60cmに達するが、花時には枯れる。
花期は8〜10月。茎頂の大きな散房花序に、径30〜35mmで淡青紫色の頭花を多数つける。
満鮮要素の一つで、日本では九州(阿蘇くじゅう地方)に分布するほか、本州(中国地方)にも稀産するといわれるが、後者については定かではない。
九州では、他の草原性植物の多くと同様、草地改良や観光開発などにより自生地ごと次々と姿を消している。
庭の花としてよく見かけるため少し意外な感じもするが、野生のものはほぼ絶滅寸前である。
「レッドデータプランツ−日本絶滅危機植物図鑑−発行:(株)宝島社 1994年 より」
地球上から姿を消してゆくものたちがいます。
紫苑(シオン)の花言葉|花の種類や季節は?別名は十五夜草? - HORTI ...
紫苑は、冬に地上部の茎葉が枯れつつも、春になると芽吹いて秋に花を咲かせる宿根草です。宿根アスターと呼ばれる仲間の1つとしても知られており、秋に紫苑の花が咲くことで、本...
★海を越えて
花畑と湖のアルペンリゾート「スイス・カンデルシュテーク/エッシネンゼー(エッシネン湖)」
ベルンから列車でアイガー、メンヒ、ユングフラウなどのアルプスの峰々を眺めながらインターラーケンに向かった。あまりにも多い観光客にうんざりしながら、ユングフラウの遠景と街中を流れるアアレ川の青だけを胸に刻み、グリンデルワルトやミューレンの花畑も人が多いと想像して諦めた。
列車を乗り継ぎ、カンデルシュテークに宿を取った。
翌日、フランスパンとチーズとワインをリュックに詰めて出発。
リフトで7〜8分後からハイキング。
牧草地を抜け、丘の緩やかな細い道を進むと、雪を頂く山々の懐に神秘的な山上湖エッシネンゼー(エッシネン湖)が現れた。
左側には高山植物の花畑が広がる。
人は少ない。
花を踏まぬよう花畑の中を歩いて、小さな岩の上にリュックを開けて宴を開始。
ワインが私たちをアルプスの少女ハイジとペーターに変えた。
湖で遊び、花を摘み、カウベルを鳴らす牛を追いかけ・・・、美しい花々と絶景の記憶は消えない。