ザ・ウィッチ(原題)/The Witch 

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ザ・ウィッチ(原題)/The Witch


サンダンス映画祭で2016年もっとも怖いホラーとされ絶賛、全米2月公開の映画「the witch」。秀逸なホラー・スリラー映画で非常に良く出来ている。この手で久々に観入った映像も素晴らしい作品。監督は、長編初めてのロバート・エッガース(よく知りません)。内容は、17世紀イングランドの魔女狩りについても逸話・伝記・伝承を丁寧になぞり描いたという。村のキリスト教会から追い出され、森の近くで自給自足を強いられる敬虔なキリスト教信者家族の崩壊を描く。キリスト教で結束していた家族が、一人ひとり謎の死遂げる過程で、神の信仰心から善なる裏返しとして、邪悪なものの原因を家族の中に見出そうと疑いだし、些細なことから関係の亀裂。やがて主演である少女(この少女役、ビョークの若いころみたい。良い役者)を魔女とみたて、おぞましい結果に至る。確かに魔女は出てくる(これも恐ろしくおぞましい)。しかし、メタで捉えるならば、信仰の裏返しで魔女は作り上げられたのだ、ということをしっかりと、丁寧に描き切っている。アメリカにありがちな、善と悪の魔女とのCGでの戦いではない。たとえ家族愛が深い信仰に支えられているとしても、それぞれの思い込みから愛が崩れ去り、憎悪・狂気となる。17世紀当時の雰囲気を醸し出す映像と、シンメトリーを駆使し、ろうそくなどの光を微妙にとらえ、ゲーテならば「色陰の実験」を思わせる絵画的な画面・ショットも丁寧に撮られ、初めての監督には思えない力を感じる(相当いろんな過去のアート系の映画・映像のことを知ってると思う)。登場人物は少なく、非業な結果を演じる子供達含め家族それぞれの演技が非常に良いです。ついでに、ウサギとヤギも怖い。最後は賛否分かれるかもしれないが、伝記・伝承に沿った忠実な終わり方なのでしょう(劇場公開日 2017年7月22日に決定したようです)。


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