約8割の消費者が買いたい有機農産物・オーガニック商品、スーパーの品揃えは5%という現実!
オリンピック・パラリンピック大会の選手村で提供する食品を自然栽培や無農薬栽培の有機農産物・オーガニックでまかなうことが2012年ロンドン大会以来、今や標準的となった。ところが、「他国に比べ、日本政府の有機農家支援や農薬規制が立ち後れている」(国内の耕地面積に占める有機農業は0.4%)と環境保護団体グリーンピースジャパンは指摘する。2020年の東京大会を控えている中で、グリーンピースは有機農産物と農薬に関する消費者や小売店の意識調査を行い結果を発表した。
野菜の形が変でも約8割の消費者が買うと言い、スーパーの品揃えは7割が不満
調査の結果、消費者が有機農産物にもつ印象は「安全」(58%)、「健康に良い」(56.7%)と昨今の食の安全への期待を反映したものであり、「野菜の形は多少変」でも約8割(79.8%)の人が購買意欲を示すなど、有機農産物に対する消費者ニーズの高さがわかりました。しかしながら、身近なスーパーマーケットの有機農産物の品揃えについて「十分ではない」(16%)、「どちらかといえば十分である」(51.1%)と、約7割の消費者は不満を抱えており、現状とのギャップが浮かび上がりました。
出典:消費者の7割がスーパーマーケットの有機農産物の品揃えに不満 ーーグリーンピース、アースデイを前に、有機農産物と農薬に関する 消費者意識調査レポート発表
調査結果まとめ・身近な店で買いたいが品揃えと価格が問題、求められる小売店・スーパーマーケットの企業努力
1. 多くの消費者は安全な有機農産物を身近な場所で購買したい• 普段、有機農産物を購買する人の8割はスーパーマーケットを利用している。
• 有機農産物を頻繁に買う消費者は、安全と健康への関心が高い。
• 野菜の形は多少変でも、8割の人が条件によっては買いたいと回答。
2. スーパーマーケットが消費者の期待に応えられていない点は、品揃えと価格
• 有機農産物の購買を妨げる主な理由は価格だが、全体の7割はスーパーマーケットで有機農産物を購買できるならば、1〜3割の価格上昇を受け入れると回答している。
• 全体の7割が身近なスーパーマーケットの有機農産物の品揃えは「十分ではない」と回答。
•「十分ではない」と回答した人の7割は、品揃えが豊富になればスーパーマーケットで有機農産物を買いたいと回答。
3. 有機農産物を増やすことはスーパーマーケットの企業価値向上につながる
• 有機農家を応援したいと回答した人は9割を超える。
• 消費者は有機農産物の品揃えが豊富なスーパーマーケットに、有機農家を応援している印象を持つ。
• 消費者は有機農産物の品揃えが豊富なスーパーマーケットに、環境に良いことをしている印象を持つ。
有機農業の特徴の一つに無農薬栽培がある。調査では農薬に対するイメージも消費者に聞いている
農薬のイメージは「体に悪い」という回答が一番多く、全体の6割にのぼる。有機農産物を積極的に買う消費者は、普段スーパーで野菜を買う時も農薬の有無を意識している。一方、有機農産物を買わない消費者は、スーパーの買い物でも農薬を意識していない。
スーパーに不満を持つ消費者の7割は、品揃えが豊かになれば値段が1〜3割高くても有機農産物を買いたい
全体の約7割はスーパーの有機野菜の品揃えは十分だと思っておらず、そう思う人のうち約7割は、品揃えが豊富になればスーパーで有機野菜を買う意思がある。今後、増えて欲しいオーガニック商品として、野菜・果物を選ぶ人が多く、野菜が最も多かった。
大手小売業・スーパーマーケット6社に有機農産物の今後の品揃えについて聞いた
消費者の野菜などの農産物の購入先の9割がスーパーマーケットである。ところがスーパーの有機農産物の品揃えが十分ではないと考える消費者は7割に上った。そこでグリーンピースは大手スーパー6社に有機農産物の取り扱いなど、持続可能な農業への取り組みを評価するアンケート調査を行いその結果を発表した。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2016/pr20160531/
2016/05/31 グリーンピース「Goオーガニックランキング」発表 〜スーパーマーケット6社・生協の持続可能な農業への行動を評価〜 2020年までに有機商品の拡充を求める「Goオーガニック」署名開始
ミツバチの減少や子供の脳への影響が懸念されるネオニコチノイド系農薬使用にも注目した
◇ランキング結果(42点満点):1位コープネット事業連合(30点)、2位イオン(22点)、3位イトーヨーカドー (16点)・ライフ(16点)、5位ユニー(6点)、6位成城石井(4点)・バロー(4点)
消費者のニーズを反映し生産者の有機農業への転換を支援する生協がトップに立った
ランキングでは、上位企業と下位企業の間で⼤きく差がひらく結果となった。消費者の有機農産物に対するニーズを定期的に反映したり、⽣産者の有機農業への転換を⽀援し、有機農業という性質に合わせた柔軟な調達⽅法など、消費者や⽣産者といった「⼈」を中⼼におく⽣協の姿勢に点が集まった。直営農場やプライベートブランドなど、管理が⽐較的容易な状況下においてネオニコチノイド系農薬の⾃主規制や有機農業への転換をすすめる試みが、⼤規模⼩売店イオンとイトーヨーカドーの強みとして現れた。下位企業のユニー、成城⽯井、バローには共通して、ミツバチなどの⽣態系への影響を⾃らの問題と捉える姿勢が⾒られず、毎⽇⼤量の農産物を販売するためサプライチェーンを束ねる存在であるのに、その視野の狭さが低評価につながっている。現在、有機農産物が占める取扱品⽬の割合(年間平均)が 1%にとどまる企業もあり、7 割の消費者が抱える有機野菜の品揃えが⾜りないというニーズを反映しているとはいえない。世界がネオニコチノイド系農薬の規制に⾜並みをそろえつつあるなか、⽇本国内ではネオニコチノイド系農薬の残留基準の緩和、ミツバチへの被害は続いている。政府機関の指⽰を待っているのでは⼿遅れである。消費者は、⽇々農産物を⼿に⼊れる場所である⾝近な⼩売店の独⾃の取り組みに期待している。
有機農産物の品揃えの割合が1%にとどまるスーパーがあることがわかった
アンケート結果から、農産物の取り扱いにおける有機の割合が1%にとどまる企業もあることが分かりました。上位の生協や2位のイオン、3位のイトーヨーカドーですら5%という取扱量の低さが目立った。そこでグリーンピースは、①スーパー6社と生協へ2020年までに半分以上の商品に有機の選択肢を導入するという目標を発表する。②ミツバチや子どもの安全のために、まずはネオニコチノイド系農薬を使用していないほうれん草(2016年末まで)・お米に切り替える(2018年末まで)よう、消費者と共に求める「Goオーガニック」署名を同日開始した。
https://act.greenpeace.org/ea-action/action?ea.campaign.id=51212&ea.client.id=1980
スーパーと生協へ、わたしたち消費者から2つのお願い新鮮で安全・安心な、国産の有機農産物を、いつでも食卓で味わえるように、そして生態系に配慮した、農薬に頼らない有機農業が日本で広まるように、2つ、約束してください。
【 1 】 2020年までに、半分以上の農産物に国産有機を導入することを表明する。
【 2 】 ミツバチや子どもの安全のために、まずはネオニコフリーのほうれん草・お米に切り替える。