【洒落怖】ヨウコウ(山・中編)
『ヨウコウ』
407 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/01 14:26オレのじいちゃんは猟師なんだけど、
昔そのじいちゃんについてって体験した実話。
田舎のじいちゃんの所に遊びに行くと、
じいちゃんは必ずオレを猟につれてってくれた。
本命は猪なんだけど、タヌキや鳥(名前覚えてない)も撃ってた。
その日もじいちゃんは鉄砲を肩に背負って、オレと山道を歩きながら、
「今日はうんまいボタン鍋くわしちゃるからの!」
と言っていた。(実際、撃ったばかりの猪は食わないが)
そのうち、何か動物がいるような物音がした。ガサガサって感じで。
オレは、危ないからすぐじいちゃんの後ろに隠れるように言われてて、
すぐじいちゃんの後ろに回って見てたんだけど、
じいちゃんは一向に撃つ気配がない。
いつもならオレを放っておくくらいの勢いで、
「待てー!」と行ってしまうのだが、
鉄砲を中途半端に構えて固まってしまっている。
オレはそのころは背が低くて、
茂みの向こうにいる動物であろうものはよく見えなかった。
オレは気になって、じいちゃんに「何?猪?タヌキ?」って聞いた。
しかし、じいちゃんはしばらく黙っていて、
茂みの向こうをじっ・・・と見ていた。
「あれは・・・」
とじいちゃんが口を開いた瞬間、急に茂みがガサガサと音を立てた。
「やめれ!」と言い放ち、じいちゃんはその茂みに一発発砲した。
そしてオレを抱えて猛ダッシュで逃げ出した。
408 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/01 14:27
オレは何がなんだかわからずひたすら怖くて、
今にも泣きそうになっていたが、
じいちゃんが撃ったのはなんなのか気になり、後ろを振り返った。
すると遠めに、毛のない赤い猿のような動物が、
こちらに向かって走っている。
じいちゃんはオレをかかえて走りながらも、鉄砲に必死で弾を込めていた。
弾を込め終わると、
じいちゃんはオレをかかえたまま振り向きざまに発砲した。
すぐとなりで発砲されたので、オレは耳が「キーン」ってなって、
いろんな音が遠く聞こえた。
じいちゃんは走りながらまた新しい弾を込めている。
オレは怖くてもう振り返ることはできなかった。
後ろで「ケタタタタタタ!ケタタタタタタタ!」という、
その動物の鳴き声らしい声が聞こえ、
じいちゃんが小声で
「助けてくれ・・・助けてくれ・・・この子だけでも・・・」
とつぶやいていた。
山をおりきってもじいちゃんはとまらなかった。
オレを抱えてひたすら家まで走った。
家につくなり、じいちゃんはばあちゃんに「ヨウコウじゃ!!」と叫んだ。
ばあちゃんは真っ青な顔で台所にとんでいき、塩と酒をもってきて、
オレとじいちゃんに、まるで力士が塩をまくように塩をかけ、
優勝した球団がビールかけやってるみたいに酒をあたまからあびせた。
その後、それについてじいちゃんもばあちゃんも何も話してくれなかった。
間もなくしてじいちゃんは亡くなってしまい、
その時ばあちゃんがオレに『ヨウコウ』について話してくれた。
「●●ちゃん(オレ)が見たのはのー、あれはいわば山の神さんなんよ。
わしらにとってええ神さんじゃないがの。
じいちゃんはあんたのかわりに死んだんじゃ。
お前は頼むから幸せに生きておくれよ」
じいちゃんが死んでから、ばあちゃんも後をおうように亡くなってしまい、
オレは20代後半でピンピンしている。
オレが見たのは、村で言い伝えられる妖怪の類いだったのかもしれないけど、
今でも親戚の人にこの話をするとしかめっつらをされる。
福井県の某村の話。
514 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/07 00:17
ヨウコウについてちょっとぐぐってみました。
↓コピペ
ユウユウ…動物の怪。
婦負郡桜谷村駒見のものが『越中旧事記』に紹介されている。
※ヨウユウ…動物の怪。狼の怪。野崎雅明『肯搆泉達録』
(こうこうせんだつろく)に紹介されている。
ある山伏が夜更けて呉服
(くれは)山の古阪を登ると、狼の群がつきまとった。
山伏が喬木によじ登ると、狼は打ち重なり、
その上に姥が跨って彼を引き下ろそうとした。
山伏が短刀を抜いて姥の肘を切り落とすと、下の狼も散った。
翌朝、駒見村に入り、少し休もうとヨウユウの家に入ると、
姥が傷の痛みに泣き叫んでいたが、
山伏の姿を見ると逃げ出して、行方不明になった。
柳田國男『山東民譚集』にも紹介。
↑コピペ
だと。富山県の山の怪らしいが、福井県とも近く北陸同志。
ヨウユウがヨウコウへと訛ったものかもしれない。
猿のような人型、それに山にでるという状況から、
コレがヨウコウだと思われますが、いかがなものでしょう?
525 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/07 01:03
>>514
またマイナーな本から持ってくるなあ(笑
ヨウユウは鍛冶屋の婆系の話ですね。
似たような話は、中世説話なんかにも残っています。
ユウユウは筋が載っておらず、原書を読んでいないため詳細は不明ですが、
ヨウユウと同じような話なんでしょうか。
この二者がヨウコウなのかはわかりませんが、
関連してても不思議ではないですね。
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