【閲覧注意】私、リカちゃん・赤い部屋・血の伝言【怖い話】
血の伝言
その日、女子大生の美穂さんが先輩彩香さんの部屋でサークルのみんなと飲み会をしていた。しばらくすると彩香先輩が
「私、眠くなってきちゃってそろそろお開きにしない?」と言った。
先輩はかなり酔っているようだった。
飲み会メンバーは彩香先輩をベッドに寝かせ、電気を消して部屋をあとにした。
「美穂です、さっき忘れた携帯を取りに来ました」
携帯がないのに気づいた美穂さんが部屋に引き返してきた。
一応入るときに挨拶をしたが、返事はない。
カギがかかっておらず、ドアはあっさりと開いた。
真っ暗な部屋で彩香先輩はぐっすり眠っているようだ。
美穂さんは、電気を付けるのは悪い気がしたので、手探りで携帯を探し出した。
「携帯が見つかりましたのでこれで失礼します」
それだけ言うと自宅へ帰った。
翌朝、彩香先輩のアパート前にはたくさんのパトカーが止まり、進入禁止のロープが張られて警察官でごったがえしていた。
美穂さんは警察官に昨夜の事情を話すと、彩香先輩の部屋の中へと通された。
部屋は荒らされて血が飛び散っていた。
とくに彩香先輩の寝ていたベッドはすさまじく、血の水溜りが出来ていた。
「被害者は寝ているところを変質者に襲われて殺されたのでしょう」
警察官はそう説明した。
美穂さんはもし携帯を取りにきた時間がずれていたら自分も殺されていたかも、と凍りついた。
「これ何のことかお分かりになりますか?」警官が壁を指さした。
壁には彩香先輩の血で書いたと思われる赤い字で
でんきをつけなくてよかったな
あのとき、彩香先輩はすでに殺されており、変質者はまだ部屋の中に潜んでいたのだ!
赤い部屋
深夜、そのタクシーは赤いコートを着た女を乗せた。女が指示した所は、ここからかなりの距離がある山奥だった。
バックシートに座る女はうつむいて表情がわからない。
運転手は怪しんだが、言われたところで車を停めた。
ヘッドライトに照らしだされたのは人の気配がまったくない、うっそうとした森だった。
女はタクシー料金を払うと、森の奥のほうへ消えていった。
「もしや自殺では?」
運転手は不安とそれに勝る好奇心にかられ、女の後をつけた。
しばらく行くと目の前に一軒家が現れ、女はそこへ入って行った。
運転手はこんな一軒家で女が何をしているのだろうと興味を持った。
そして鍵穴から中をのぞき込んだ。
鍵穴から中をのぞくと、家の中は真っ赤だった。
女はどこだ?
何もかもが真っ赤で、他の部屋へのドアも見えない。
どういうことだ?
奇妙なその光景に恐ろしくなった運転手は急いでその場を立ち去った。
恐怖がさると空腹に気づき、山を降りてすぐのさびれた定食屋に入った。
運転手はさきほどの奇妙な女のことを店主に話した。
店主も女のことを知っていた。
「彼女はね、あそこで隠れるように住んでいるんですよね」
「ひとりで?」
「ええ、ひとりで。かわいそうに、病気か何かわかりませんが彼女、眼が真っ赤なんですよ」
私、リカちゃん
女の子は両親の仕事の都合で遠くへ引っ越すことになった。引っ越すときに、子どもの頃から大切にしていたリカちゃん人形を手放さなければならなくなった。
泣く泣くリカちゃん人形を捨てて、女の子は新しい街へ移り住んだ。
やがて新しい家や学校にも慣れた。
ある日の夕方、電話のベルが鳴り、女の子が電話に出た。
女の子の両親は共働きで、家には女の子しかいなかった。
「私、リカちゃん。いま神奈川にいるの。これからあなたのところに帰るわ」
電話の相手はまるでロボットのような声をしていた。
神奈川とは女の子が引っ越す前に住んでいた場所である。
それからしばらくたつとまた電話が鳴った。
「私、リカちゃん。いま大船にいるの。」
大船とは女の子が現在住んでいる家の最寄り駅である。
女の子は怖くなって電話を切ったが、すぐまた電話が鳴った。
「私、リカちゃん。いまあなたの家の前にいるの」
「あなた誰なの?」
女の子がそう言うと、電話は切れた。両親はまだ帰ってこない。
女の子は怯えながらカーテンを少し開いて外を見た。
人影はなくホッと安心した途端、また電話が鳴った。
「私、リカちゃん。今あなたのうしろにいるの」