【洒落怖】家への電話(不可思議・中編)

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『家への電話』

800 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/04/15 21:21

ある年の夏の終わり頃の事でした。

私が住宅街の中にポツンとあるカフェバーで働いていた時の話です。

その店はあまりお客も来ず、私と友人達の恰好の溜り場となっていました。


ある時、いつものように開店準備をしている所に、友人が彼女を伴いやってきました。

普段は私達の笑いの中心にいるとても明るい奴なのですが、

その日に限り妙に無口で、顔色も悪い様に見えたので、

少し心配になったのを覚えています。

とりあえず私は声をかけました。

「どうした?元気無いじゃん。何かあったのか?」

「ああ、すげぇー怖い事があった・・・」

「何だよ、怖いことって。また幽霊か?」

「・・・・・」

しかし、それっきり彼は黙り込んでしまいました。

彼女もまた、彼に口止めされているらしく、何も話してはくれませんでした。

彼は霊感が強いようで、

これまでにも何度か自分の不思議な体験談をしてくれていたので、

私としては『あぁ、また幽霊なんだな』という感じでした。

ただ、今までと違っているのは、

いつもは無理にでも聞かせようとする位だったのですが、

今回は何も話そうとせず、じっと頭を抱えて黙り込んでいるのです。

私は段々好奇心を抑えられなくなり、

どうしても聞き出してやろうという気になりました。


その後、何とかその話を聞き出そうと、彼とその彼女にしつこく尋ね続けた結果、

彼はやっと重い口を開き、不思議な体験を語り出したのです。

それは、このような話でした・・・。


801 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/04/15 21:21

その日、彼は専門学校の研修旅行を終え、自宅のある駅に到着しました。

ふと家の鍵を忘れてしまっているのを思い出し、

念の為、家に電話を入てみる事にしました。

人の居なくなる事が稀な家なので、やはり数コールで誰か出ました。

「もしもし、俺だけど。いま××駅。鍵がないから、鍵開けといてよ。お願いねー」

と、一方的に喋ると、電話を切ってしまいました。

そしてバスに乗り、家路についたのです。


家に着くと、困った事に鍵が開いていませんでした。

彼は不信に思い、家の廻りを見て回りましたが、

家の中には人の気配がなく、静まり返っていました。

しかし、数分前までは誰かが電話に出ていたので、

何所か窓から見えない所に居るのだろうと思いました。

もう一度電話をしてみようと思い、

近所のタバコ屋の店先にある公衆電話へと向かいました。


電話をしてみると、また数回のコールで誰かが出ました。

『ガチャッ。・・・・・・・・・・・・・』

「もしもし、俺だけど」

『・・・』

「もしもし!もしもし!!」

『・・・・・・・・』

「もしもーし!!もしもし!俺だってばっ!!」

『・・・・・・・・・・・・・・・』

なぜか相手は黙ったままです。


その後、数分置きに電話をしてみたのですが、

どうしても通話が出来ない状態なので、

電話の故障だと思い、家の前で家族を待ってみることにしました。


しばらくは家の前で途方にくれていたのですが、

ふと玄関脇に予備の鍵を隠してあったことを思い出し、

やっと家に入ることが出来たのです。


802 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/04/15 21:22

しかし、家の中は静まり返っていて、どの部屋にも人の気配はありませんでした。

また、電話にも異常はみられず、きちんと使用できる状態だったのです。

これはおかしいと思った彼は、もう一度だけ、

公衆電話から電話をかけてみることにしました。

そして、きちんと鍵が掛かっているを確認し、

先程の公衆電話へと急ぎました。


少し緊張しながらダイヤルすると、先程のように誰かが電話に出るのたのです!

驚きながらも、まだ家族のイタズラの可能性を捨てきれなかった彼は、

電話の相手に呼びかけたのです。

「もしもし」

『・・・・・』

「もしもし、姉ちゃんなんだろ!答えろよ!!」

『・・・・・』

「なぁ、誰なんだよ!」

『・・・・・』

「オマエ誰なんだよ!!答えろってば!!」

『・・・・・・・・・』


しばらく呼びかけていても、一向に相手が応答しないので、

彼はこれで最後だと、こう呼びかけたのです。

「オマエ誰なんだよ。そこにいるのは分かってんだよ!誰かいんだろ!!」

すると、長い沈黙の後、

『・・・・・ダレモイナイヨ・・・・・・・』と、

初めて相手が答えたそうです。

今まで一度も聞いたことの無い、

どこか遠くの方から聞こえてくるような雰囲気の声でした。

彼はびっくりして受話器を叩きつけると、家へと急ぎました。


そして家に着くと、すぐさま家中を見て回ったのですが、

鍵の開いている窓もなければ、人の気配もしなかったそうです。

しかし、一つだけ彼を再びゾッとさせた事がありました。

それは、居間の電話の受話器が外れて、床に置いてあったそうです。


私は未だに、この話をしたり聞いたりすると鳥肌が立ち、

体中の毛が逆立つのを感じるのです。

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