【古いJホラーまとめ】ぞわぞわ鳥肌モノから衝撃作品まで!日本の古くて怖い映画特集
ホラー映画もさらに分類すればたくさんのジャンルが作れますし、日本国外の作品もあわせて考えると“ホラー”という括りには微妙に外れていそうなものもあります。そんななかから今回は、【日本の昔のホラー映画】に的を絞って、いくつか紹介していきたいと思います。具体的には、1959年~2000年に公開された作品たちです。
予告編などの動画を再生しない限りホラー描写はないようにしている(確実な保証はできませんが)ので、苦手なかたも自ら興味を掻き立てて覗いてみてください。
東海道四谷怪談(1959)
あまりにも有名な「お岩さん」誕生までのあらすじ
古いホラー映画紹介と言いつつ、この作品に限っては大まかなあらすじも説明していきます。お岩誕生からのネタバレはしませんが、ちょっとのネタバレもいや!という方は飛ばしてください。というのも、「お岩さんは知ってるけど詳しくは知らない」という人が多いなと感じたからです。かの有名なお岩さん誕生までのエピソードがいつまで語り継がれるのか楽しみですね。
江戸時代の中ごろ。備前岡山藩の浪人・民谷伊右衛門は、許嫁のお岩との婚儀をお岩の父・四谷左門に反対され侮辱されたことに腹を立て、左門を斬り捨ててしまう。
出典:東海道四谷怪談 (1959年の映画) - Wikipedia
斬り捨てるとはつまり殺してしまうということです。「貴様みたいな奴に娘はやれん!馬鹿者」と嘲笑され伊右衛門ブチ切れです。伊右衛門…もう今じゃ美味しいお茶の代名詞ですね。
お茶の話になってしまいましたが、このあと浪人・伊右衛門はお岩とその姉に「四谷左門は殺された」と嘘をつき、さらに「拙者が敵を討ちます」と男前宣言まで。カッコいいですね。”敵を討つ”っていつか言ってみたいです。
いもしない仇を討つ気など伊右衛門にはさらさらなく、あまつさえ伊右衛門とお岩の間には子供まで生まれて、浪人の貧困暮らしに喘ぐ毎日だった。
出典:東海道四谷怪談 (1959年の映画) - Wikipedia
そうです、敵を討つなんて嘘っぱちなのですから。お岩を自分のものにできて幸せ万歳!てなもんです。伊右衛門殿、綺麗な顔して案外やりますな。
生活に苦しむ毎日のなか、チンピラに絡まれる女性を助けます。たまたま助けたその女性は旗本・伊藤喜兵衛の娘・梅で、すっかり伊右衛門を気にいったお梅と喜兵衛は「婿にならないか」と猛アタック。旗本の娘の婿になれば豊かな生活間違いなし!なのですが、お岩にさよならすることもできないままずるずると引きずってしまいます。
伊右衛門に直助とお梅の乳母が、飲めば顔が二目と見られないくらいに変形するという毒薬の包みを渡し、旗本家に仕官する欲に取り憑かれた伊右衛門は「血の道の病に効く薬」と偽って、毒薬をお岩に飲ませてしまう。
出典:東海道四谷怪談 (1959年の映画) - Wikipedia
最低!けっきょく娘も殺すんかい!って感じですが、伊右衛門は伊右衛門なりに飲ませる瞬間かなりドキドキしてるはずです。当然といえば当然ですが。そして薬をもらったときの説明通り、お岩は「二度と見られない顔」へと変貌してゆくのです。
髪が抜け落ち顔が腫れあがり、見るも無残な姿になったお岩は伊右衛門の悪事を知り、首を斬って自殺してしまいます。これが、お岩さん誕生までのあらすじです。どうでしょう。ちょっとかわいそうですよね。というかかなりかわいそうですよね。伊右衛門最低ですよね。伊右衛門以外の人間も最低なので隅々まで見てみてください。
加速する恐怖と見逃せないラスト
お岩が自害してから、物語はクライマックスに向けて緊張感を増幅させます。なんといっても伊右衛門のダメ人間さが際立つところを見てほしい…。自分を守りたいだけの伊右衛門は、1ミリの迷いもなくどんどん人を殺めていきます。ここからはぜひ映像でドキドキしてください。現代とは違った音使いと言葉、お岩のメイクや風景、すべてに注目です。
地獄(1960)
有名すぎるジャパニーズホラー映画「東海道四谷怪談」の監督である中川信夫氏が、1960年に封切りした映画が『地獄』です。なんだかおどろおどろしいですね。
仏教の八大地獄の映像化がテーマとなっているが、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの『ファウスト』やダンテ・アリギエーリの『神曲』など、西洋思想における悪魔や地獄のイメージも盛り込まれている。
八大地獄をメインとして、西洋の悪魔や地獄も作品イメージとして取り入れているということですね。
この作品自体は、私たちが生きる現世と地獄との2つの世界で構成されています。様々な理由から人を何人も殺める主人公が、後半は地獄のなかでその苦しさを知るというものです。幽霊のこわさではなく、人間としてのこわさでもありません。死ぬまで知ることのない未知の世界、それでいて安易に想像できる世界…妙にリアルな地獄のこわさです。
地獄に興味がある人はぜひ見てみてください。1960年の時代だからこそ表現できるドロドロした恐怖心が楽しめる映画です。
鬼婆(1964)
鬼婆(おにばば)…なぜかフフッとなってしまいますが、この映画を観ては笑っていられません。物語の舞台は14世紀の日本で、あたりは草むらでいっぱいの田舎のお家です。
通りかかった侍を殺して、彼の身につけているものをすべて剥いで死体を深い穴へ捨てる女とその義理の娘
脅して奪うとかではなく、あっけなく殺しちゃうんですね…。残酷なことを繰り返しながらも姑と娘はいっしょに生活しています。
娘はお年頃なのでしょう。知り合った男の人とどんどん仲を深めていきます。姑は「このままでは私が1人になってしまう…!」と危機感を感じ、鬼に化けて娘を引き留めようと努力するのですが…。
モノクロな世界が、南北朝時代の雰囲気とホラー要素を際立たせています。鬼のお面って現代でもじゅうぶん怖いですが、(いい意味で)古臭い音楽と相性ピッタリです。幽霊の呪いではない昔ながらの古典的なホラーといえるでしょうか。ぞわぞわ系が好物な方におすすめです。
怪談(1965)
『怪談』か、ふーん。と通り過ぎてしまいそうな題名ですが、この作品はなんと構想に10年という年月を費やしています。しかも製作費は3億5千万…現代でいうとどのくらいになるのでしょうか。どなたか詳しい方教えてください。
しかし、興行収入は3億円には及ばず、これが原因でにんじんくらぶは倒産した。
…ま、まあそういうこともありますよね!半世紀以上にわたって取り上げられているのですから、名作には違いありません。10年の構想期間も製作費も決して無駄にはなっていませんね。
あまり知られていませんが、本作はカンヌ国際映画祭の審査員特別賞受賞作品でもあるのです。(その時代からカンヌ国際映画祭があったことに驚いたという話は内緒にしておいてください。)
「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」の4つの怪談話を映画化したオムニバス作品。
話が逸れてしまいましたが、耳無芳一(みみなしほういち)はみなさんよく知っているのではないでしょうか?そう、体にお経を書いて幽霊から逃れるアレです。アニメ「日本昔ばなし」で見たことある方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな子どもにも有名な「耳無芳一の話」と、他3作をあわせて1本の『怪談』という映画になっています。ひとつの物語が短いので、ストーリーが展開しやすく観やすいのがおすすめポイントですね。アニメで見たようなかわいい芳一ではなく、リアルでおどろおどろしい恐怖の世界を体験してみてください。
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藪の中の黒猫(1968)
黒猫のタンゴっ♪タンゴっ♪ではありません。あれも懐かしいですが、『藪の中の黒猫』にかわいい猫ちゃんが出てくるのはほんの一瞬だけです。平安時代、侍によって殺された女性の血を、猫がペロペロと舐めてしまいます。これが物語の始まりです。酷い殺され方をした女の血を舐めた猫は妖怪と化し、数年後に侍への復讐を繰り返していきます。
白黒映像の作品ですが、イチャイチャしてた女性が徐々に妖怪としての本性を現すシーンがけっこうこわいです。猫らしく(?)首に噛みついたりするシーンもありますが、白黒のおかげでそれほど”血感”はありませんので比較的見やすいです。女から侍への復讐劇。おすすめです。
震える舌(1980)
一気に1980年まできちゃいましたが、ホラーなようでホラーでない『震える舌』は病気系が苦手でなければかなりおすすめです。1975年に三木卓氏が発表した小説を原作としていて、破傷風に感染した女の子のお話です。
ある日、マンションの近くで泥んこ遊びをしていた女の子・三好昌子が、落ちていた小さな釘で手にケガをした。
これがすべてほ発端です。ここから女の子と両親は悪夢のような時間を過ごすことになってしまいます。