福島原発事故被災者がGE社を米国ボストン連邦裁に集団で提訴

著者:
投稿日:
更新日:

米国の原発メーカー、ジェネラル・エレクトリック社(GE)に対し15万人の原告が5億ドル(約560億円)の賠償を求めて提訴

放射能汚染事故を起こした福島第一原発を設計し建設した米国のメーカー、ジェネラル・エレクトリック(GE)社を事故で損害を被った人々が約5億ドルの損害賠償を求めて11月17日に米国のボストン連邦裁判所に提訴した。

ボストンに本拠地を置く巨大多国籍企業GE社が福島原発事故の原因企業として日本の被災者たちに訴えられたのである。訴えたのは原発事故被災地で影響を受けた住民、企業経営者、医療従事者などの15万人からなる集団で、GE社に経済的被害を被ったとして5億ドルの賠償を求めているとボストンの地元ニュースなどが伝えている。

第一報は地元紙ボストンの「ビジネス・ジャーナル」。GE社、福島原発災害の連邦訴訟に直面

ボストンを拠点とする巨大企業ゼネラル・エレクトリック(GE)社は、2011年におきた日本の福島原発事故の当事者として連邦訴訟に直面している。

GEに対する5億ドルの集団訴訟は、世界最大の災害となった福島原発被災地で影響を受けた住民、医療関係者、企業経営者を含むグループがボストンの連邦裁判所に金曜日に訴えたもの。

「紛争の対象は全面的に崩壊した福島第一原子力発電所をGEが設計し大部分を建設したことにある」と訴えは主張し、「長年にわたり、直接的または間接的に関係会社を通じて、原発の維持管理に責任を負っていた。今日まで、GEはその行動や失敗が引き起こした大規模な経済と事業の破壊に対して文字通り何も支払っていない」

出典:GE faces federal lawsuit over Fukushima nuclear disaster ...

	
として、1960年代にGE社は「商業用原子力産業を支配するために危険な賭け」である福島に原発を建設し大惨事の種を植えつけた。原子炉を設計したGE社はその安全性を偽り、それを販売することで原子力発電から利益をえてきたがこの破壊に対して何の賠償も負っていないとして訴えたのである。

出典:GE sued for Fukushima disaster

Boston Herald

訴訟の争点のいくつかを地元のボストン・ヘラルド紙などが要点を伝え、主に「設計が安全でなく、コスト削減」が原因と主張

Boston Herald
GE社は福島で6基の原子炉すべてを設計した。そのうちの2基を現地で建設し、残りの建設について助言をした。当初の原発の設計では、崖の海抜115フィート地点に建設することが求められていたが、GE社はお金を節約するために80フィートまで崖を下げ(海の近くに建設したため)「洪水の危険性を劇的に高めた」からだ訴状で述べている。

出典:GE sued for Fukushima disaster

原告のGEへの基本的な非難は、欠陥のある原子炉設計や、福島原発が破損した場合に放射能の拡散を防ぐための十分な防護措置をそこに講じなかったことである。

出典:GE faces lawsuit over role in Fukushima nuclear disaster ...

	

原子炉の設計に欠陥があることは1975年にGE社の時術者が指摘していた報道がある

ABCは 、2011年に3人のGE社の科学者が原子炉の設計が事故につながるような欠陥があると信じていたため、35年前に辞職したと報道した。

「1975年に確認された問題は、格納容器の設計において、冷却材を失うことで経験する可能性のある強力な負荷を考慮していなかったことです」とGEの従業員デールG.ブリドンバウは当時のABCニュースのインタビューで話した。 「この非常に急速なエネルギーの放出によって格納容器が受ける衝撃荷重は、格納容器をバラバラに引き裂き、制御されない放出を生み出すことがある」

出典:GE faces federal lawsuit over Fukushima nuclear disaster

	

原発事故の致命傷となったものは、“メイド・イン・アメリカ”

日本では報道が少なく訴訟の詳細が分かりにくいが、在米ジャーナリストが伝える主張の詳細がある。どうやら、GE社は原発の競争に勝つために小さくて安全性の低い格納容器を設計して福島に提供しコストを削って建設したことに原発惨事の原因がありそうだ。
 “フェアウィンズ・アソシエイツ”のチーフエンジニアを務める原子炉専門家アーニー・ガンダーセン氏は、この提訴について、

「フェアウィンズは、事故直後から、1965年~1970年にGEが設計した原子炉が原発事故の原因だと主張してきました。サンノゼにあるGEとマンハッタンにあるGEのエンジニアリング・パートナーEBASCOが福島第一の1号機の設計を手掛けたのです。その設計は、2号機~4号機にも適用されました。格納容器の設計、津波の高さの想定、原発の海抜の高さなど、福島第一原発事故の致命傷となったものは、“メイド・イン・アメリカ”なのです。ゆえに、GEはアメリカで訴えられるべきです。日本の損害賠償法は弱く、“アメリカの設計”の被害者となった日本の人々は、日本の裁判では、あまり多くの賠償金が得られないでしょうから」

と被害者たちがアメリカで訴訟する正当性を主張。

 GE側は提訴に対し「日本政府と調査機関は、福島原発事故の原因は、原子炉の設計ではなく、津波と、それにより海水ポンプと全電力が喪失したことにあると結論を出した。訴えは、日本の原子力損害賠償法の下で解決されるべきだ」と回答している。

 訴訟の行方が注目される。

出典:福島原発事故の被害者団体がGEに対して“500ミリオンドルの集...

	

著者プロフィール
Sharetube