【洒落怖】階段を昇ってくる(ほんのり・中編)
『階段を昇ってくる』
557 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/06/01(金) 17:37高校のとき仲の良い友人が「週末、家に泊まらない?」って誘ってきた。
「親もいなしさ、酒でも飲もーぜ」って。
特に用事もなかったけど、俺は断った。
でもしつこく誘ってくる。「他をあたれよ」って言っても、なぜか俺だけを誘ってきた。
あまりにもしつこいので、「なぁ、お前一人じゃ怖いのか?」ってからかってみたら、
急に黙り込んだ。
「なんだ、図星か?」って追い討ちをかけてみると、突然真面目な顔になって、
「なぁ、お前、幽霊って信じるか?」なんて言ってきた。
なんだこいつって思いながら、
「まぁ、見たことは無いけど、いないとも言い切れないかな」って答えた。
「じゃぁさ、週末に家に来いよ。幽霊はいるって解るよ」なんて言いやがる。
「ふ~ん・・・・で、見に来いっての?でも止めとくよ」って言うと、
泣きそうな顔で「頼むよ、来てくれよ」って言う。
「じゃぁ、具体的にどんな幽霊なんだ?」って聞くと、
「毎晩12時くらいに階段を1段ずつ昇ってきてる。
そして週末にちょうど家の前に来るはずだ。
その時、一人なのが怖いんだ」
って、本当に怖がりながら言うんだ。
しつこいのもあるけど、ちょっと面白そうだなって気持ちがあって、
「解った、行くよ」って言うと、「ありがとう、ありがとう」って繰り返し言ってた。
558 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/06/01(金) 17:38
そんなこんなで週末に友人宅(マンション)に訪れて、
他愛の無い話や、テレビを見たりゲームをしたりして遊んでた。
そして、23時半くらいになって幽霊の話を始めた。
「なぁ、幽霊が階段を昇って来るってどういうことだ?」
「一週間くらい前から、家の前の階段を昇って来る足音がするんだ。
でも俺にしか聞こえてない。
親に言っても、そんな音は聞こえないって言う」
「んで、今日階段を昇りきるっていうの?」
「ああ、階段を数えたから間違いない。確かに今日、家の前に来る」
「通り過ぎるってことはないのか?まだ上もあるだろ?」
「それも考えられる、だけど家に来るかもしれない。それが怖いんだ」
「ふ~ん・・・」
などと話をしてると、友人が「おい、聞こえるだろ?足音」って言う。
でも自分には何も聞こえない。
「全然聞こえないよ」
「なんでだよ、聞こえるだろっ。ほら、また一段昇っただろ!?」
「落ち着けって、何も聞こえないよ。気のせいだろう」
「なんでだよ、なんで聞こえないんだよ!ほら、ほらっ!」
「聞こえないって、落ち着けよ!」
イラつきながらなだめようとする。
でも、もう友人はこっちの話を聞こうともしない・・・。
「止まった!!今、扉の前にいる!!!」
「じゃぁ、開けて見てこようか?」っていうと、激しく止めてきた。
「止めてくれ!開けないでくれ!!いるんだ!そこにいるんだ!!」
559 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/06/01(金) 17:38
「大丈夫だろ!何も無いじゃないか!」
こっちも語気を荒くしてなだめようとする。
すると、急におとなしくなったかと思うと、友人はこう言った。
「・・・ダメだ、ずっとこっちを見てる。もう・・・逃げられないよ」
「!?おい、何言ってるんだ!?何も無いだろう!?大丈夫だろ!?」
友人の一言が、異常なほど恐怖心を駆り立てた。
「!!叩いてる!扉を叩いてるよ!!」って言ったかと思うと、
「うおおおおおおおお」だか「うわあああああああ」だか叫びながら、
友人は扉に向かって走っていった。
あまりの突然のことに、俺は体が動かなかった。
友人は叫びながら、扉を開けて外へ出て行った。
俺も慌てて追いかけたけど間に合わなかった・・・
友人は踊り場から身を投げていた。
訳が解らなかった・・・何が起きたのか・・・
記憶に残ってるのは、その後の警察の取り調べからだった。
何が起きたのか、どういう状況だったのか、自分の覚えてることを全て話した。
意外なことに警察はあっさりしていた。もっと疑われると思ったからだ。
560 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/06/01(金) 17:39
意外なことはまだあった。警察官が呟いた一言だった。
「またか・・・」
またか?何だ?またかって!?不自然な言葉を疑問に思って聞いてみた。
「またかって、どういうことですか?」
「・・・あまりこういうことは言わないほうがいいかも知れないけど、
君も関係者だし、知っていてもいいかもしれない」
と話してくれた。
それは、友人のような自殺(変死?)が初めてではないこと、
同じ事が同じマンションの同じ部屋で何度か起こっていること、
原因が警察でも判らないことなど。
結局友人の死は、ノイローゼによる突発的な自殺ということになった。
悲しみというより、驚き。何がなんだか解らないまま終わっていった。
結局友人は、何を聞いて何に恐怖していたのか・・・。
561 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/06/01(金) 17:39
全て終わったと思ったとき、電話があった。死んだ友人の母親からだった。
『夜分恐れ入ります。先日は、大変ご迷惑をおかけしました』
「あ、いえ、こちらこそ・・・」と言葉を探っていると、
『あのぅ変なことを聞くかもしれませんが・・・家の息子は、確か死にましたよね?』
「え?」
何を言ってるんだろう。お通夜も告別式もやったじゃないか。
まさか、息子を亡くしたショックでおかしくなってなってしまったのか・・・と思ってると、
『実は・・・今、誰かが扉を叩いてるんです・・・』
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