サッカーにおける守備方法(前編)

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1. はじめに

 最近になってサッカーのチーム戦術についてツイッターを中心に盛んに話されることが多くなりました。それらの議論をみていて守備の種類や方法について言葉の定義が曖昧だったり、うまく内容を整理しきれていないものがしばしば散見されました。言葉の定義の違いなどで議論が平行線を辿ったり深まらなかったりするのは自分としても残念に思っていました。

 そこで今回は私がスペイン・バルセロナの監督学校で学んだ内容や現在のトレンドをみながらこれらを整理したいと思います。

2. 守備方法を整理するための条件

大きく分けて3つです。


 ・プレスの開始位置の高さ

 ・ 守備ブロックの幅

 ・ マークの方法

3. プレスの開始位置の高さとは

 相手がボールを持っている位置の高さによってどのような守備対応をするか?ということです。高さの分け方については大きく3つあります。


 ・ゾーン1(ピッチの奥行きを3分割して味方ゴールに一番近い部分)

 ・ゾーン2(ピッチの奥行きを3分割して中央にあたる部分)

 ・ゾーン3(ピッチの奥行きを3分割して相手ゴールに一番近い部分)


もちろんこの分類に限らずもっと細かく分割しているチーム(4分の3ゾーンなど)や条件付きの設定(ゾーン3の局面で数的不利であればゾーン2まで撤退するものの、もし相手選手が相手GKにバックパスをした場合はハイプレスに変更する、など)をすることもあります。

4. 守備ブロックの幅について

 相手がボールを持っている位置によって守備ブロックをどの程度の幅に圧縮するか?というものです。守備のスライドと日本では一般的にいわれていますね。メリットとしては以下の通りです。


・味方選手が一方のサイドに密集することで相手のプレースペースとプレー時間を奪い、ボール奪取を容易にする。・ボールを奪ったサイドに複数の味方がいるので速やかに協力、連携してショートカウンターを仕掛けられる。

 デメリットとしてはもし極端にスライドをしていてサイドチェンジを相手に許してしまうと逆サイドの広大なスペースを利用され守備が難しくなります。

 メリット・デメリットを鑑みてこの幅を設定する必要がありますが今回は2018年UEFAスーパーカップ でのアトレティコ・マドリーの例を挙げます。

 アトレティコ・マドリーからみてゾーン2、しかも左側にボールがある場合はボールサイドに守備ブロックを4分の3ほど圧縮して形成しています。特にこの幅については味方選手がボールホルダーへプレスをかける強度、相手選手の配置、サイドの味方選手の走る速さとスプリント数に対する持久力、相手チームの展開力などいろいろな要素が加味されて設定されるので、絶対的な正解はありません。↓

[UEFAスーパーカップ 2018] レアル・マドリードCF vs アトレティコ・マドリード

ゾーン2での守備
さらにボールがゾーン3でどちらかのサイドにあるときです。下記図ではアトレティコ・マドリーからみて右側にボールがある場合ですが、このときの設定幅は4分の3どころか半分をきっています。↓

[UEFAスーパーカップ 2018] レアル・マドリードCF vs アトレティコ・マドリード

ゾーン3の守備
 ゾーン2よりもゾーン3でさらに幅を圧縮する理由としてはゾーン2よりもバックパスなど相手プレスを回避するためのスペースが少なく、逆サイドへ一度にボールを運ぶことがより難しいためと思われます。

 どこまで幅を圧縮し相手のプレーを限定できるかが現代サッカーのトレンドになっています。

そして後編へ

 最後はマークの方法についてですが今日は久しぶりに文章を書いて疲れてしまったので後編に譲ります。今回の内容を書くきっかけとなった部分なので時間をかけてきっちり書こうと思います。↓
【今回の内容で参考とさせていただいたもの】↓
 		

出典: [UEFAスーパーカップ 2018] レアル・マドリードCF vs アトレティコ・マドリード

	

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Sharetube