奈良長女薬殺未遂事件の「坂中由紀子」とは
奈良長女薬殺未遂事件
奈良長女薬殺未遂事件(ならちょうじょやくさつみすいじけん)とは、2000年7月16日に発覚した事件で、「奈良県奈良市の准看護師が、保険金目当てに15歳(当時)の長女に硫酸サルブタモールを飲ませ薬殺しようとした」殺人未遂事件である。また、一連の事件も浮き彫りとなり、「保険金目当てに多くの家族を殺害した疑惑」で論争となった。
前兆
1997年、坂中由紀子の二女(9歳)と長男(15歳)が相次いで「肺水腫」、「脳浮腫」(※)という病気で亡くなっていた。2人とも保険金がかけられていた。長男の臓器からはサルブタモールが検出されたが、これは治療にも使用されていたため、証拠が不充分だった。
父親の不審死
1997年末、A子さんは同級生の母親に「お兄ちゃんも妹も同じ病気で死んだ。今度は私が死ぬのかな」とつぶやいたという。二女、長男が相次いで死亡したことを不安を覚えていたらしい。続いて、由紀子の父親(65歳)も不審死していた。父親は99年10月から、持病の腎不全のため、月に3回ほど診療所に通院してステロイド剤の投与などの治療を受けていた。00年2月になって、動悸と不整脈が多発し、診療所で検査したが、原因は分からなかった。ステロイド剤は、由紀子がA子さんを殺害するために飲ませたとされる硫酸サルブタモールと併用した場合、不整脈など重大な副作用が出る。
長女への殺意
2000年3月から7月にかけて、今度はA子さんが市内の病院に3回入院した。3回とも由紀子が用意した弁当などを食べた直後、発作を起こして入院していた。症状はいずれも手の震えや動悸といったものだった。A子さんにもまた約3000万円の保険金がかけられていた。1回目の入院日は3月8日で、自宅で由紀子が用意したシュークリームを食べ、お茶を飲んだ祭、変な味がしたので飲食をやめようとしたが、由紀子は強く勧めたという。入院したA子のもとに、父親、つまり由紀子の前夫が見舞にやってきた。A子は「お母さんの出したお茶や食べ物は変な味がする」と訴えたため、前夫は医師に相談していた。
2回目のケースは5月8日で、由紀子が自宅で作った弁当を食べたら、味がおかしかった。入院したA子に由紀子がスポーツ飲料を手渡すが、そこから局所麻酔薬「リドカイン」(※)が検出されていたことが分かった。
酸っぱいラーメン
3回目は6月15日、由紀子の作ったラーメンを食べると酸っぱい味がしてA子は食べるのを拒んだ。この時由紀子は「(退院をしたばかりだから)栄養をつけないといけない。スープだけでも飲みなさい」と強要していた。A子は翌日入院したが病名の診断はつかず、4日後退院した。事件後、A子さんの尿などから、硫酸サルブタモールとリドカイン以外に、添加剤ベンザルコニウム(※)、かん腸液のグリセリン、皮膚薬に含まれる尿素の5成分を検出された。
出典:http://yabusaka.moo.jp/narayhahaoya.htm
薬品の在庫管理
また、2000年12月に亡くなった由紀子の母親の尿からもサルブタモールが検出されたことで、母親殺害の容疑でも再逮捕されたが、これも「充分な証拠がない」として処分保留となった。由紀子はそうした薬物をインターネット上のホームページなどで情報を集めており、硫酸サルブタモールの性質や効能が書き込まれている医学系のホームページのコピー数枚を所持していた。
由紀子の勤務先である京都府の病院では、薬品類の在庫管理が不完全で、由紀子が持ち出しても分からない状態だった。
同病院では硫酸サルブタモールの小瓶を院内の薬局に5~10本常備。各科の責任者がサインした伝票と引き換えに1本ずつ配られる仕組みだった。だが、4月までは婦長の机の引出しに薬局のカギが入っており、由紀子がそれを持ち出すことは可能だった。
母親の男遊び
由紀子は離婚後、テレホンクラブで知り合った複数の男性と親密な交際を続けていた。20代の男性とも付き合っていた時期があるという。
1997年に二女と長男が死亡して以降、精神的に不安定となり、自宅で自殺を図るが未遂。98年6月から翌年9月にかけて勤務先の病院を休職し、甲府市内の病院に一時入院した。この病院でも何度か手首を切ったりしたという。当時、大阪府内の40代の男性と交際していたが、入院の際、新たに山梨県内の40代の男性と知り合った。入院中、この男性が付き添っていた。退院後、坂はA子さんにかけていた生命保険を3倍の3000万円に増額。A子さんは「お母さんが夜帰ってこないことがよくある」と友人に話していたが、由紀子は男性と金沢市の温泉へ出掛けるなど、由紀子は2人の子供の保険金2000万円のうち、1000万円をこうした男性との交際費に使っていたという。
由紀子はこの山梨出身の男性と再婚を考えていた。知人に「結婚を考えている人がいる」と話している。また近所が人には「子供が大変。何もかも忘れて出直したくなる」と話し、前夫との子供が邪魔になったことを匂わせている。由紀子の家族殺害、殺害未遂は由紀子1人によるもので、交際男性の共犯性はなかった。
「生活苦で娘を殺し自分も自殺しようと思った」
事件後、由紀子はこう語った。だが由紀子は二女と長男の2000万円以上の保険金を手に入れており、月々25万円の給与所得のある準看護師で、貯金も数百万あった。当面の生活費には困らなかったはずだが、逆に考えれば2000万を上回る保険金が数百万円しかのこっていないことから、かなりの金をこの短期間で使用していたことになる。近所の人によると、由紀子一家の生活ぶりは決して派手でなかったというから、金のほとんどは男に貢いでいたのだろうか。
坂中由紀子の生い立ち
1981年に看護師の男性と結婚し、子供を3人もうけたが、93年に夫と離婚。その後、両親と子供3人で奈良市内の団地に住んでいたのですが、1997年、彼女の二女と長男が相次いで死亡。2000年には父親も不審死し、その後母親も不審死。当時15歳の長女に硫酸サルブタモールを飲ませ薬殺しようとしたところで、2000年7月に逮捕されます。動機に挙げられていたのは、複数の男性との遊興費で、その額は1000万円を超えていたといわれ、長男と次女の死亡保険金も遊興費に消えたとされています。家族を次々と殺害していく異様さは、他の保険金殺人と一線を画すものです。そんな母親を庇う子供の痛々しさは悲劇的です。看護士(この場合は準看護士)の資格を持つ加害者という構図は、女性がらみの保険金殺人に共通項ともなっています。
逮捕
女は2000年7月16日に逮捕されたが、解離性障害の疑いが持たれ、責任能力の有無が問われた。2002年3月15日、精神鑑定では代理ミュンヒハウゼン症候群の疑いで責任能力は認められるとされたが、家庭環境による情状酌量の余地があるとして減刑され、長女殺人未遂のみで裁かれ、懲役3年の実刑判決を受け刑は確定した。他の件に関しては証拠不十分だった。
時系列
坂中由紀子が今度は覚せい剤で逮捕!
2007年10月25日、大阪市西成区の地下鉄御堂筋線の動物園前駅構内で、ふらふらとあるいている女が警官の職務質問を受け、覚せい剤所持で逮捕された。由紀子である。由紀子は2004年に出所した後、家族と暮らしていたが、やがて一人暮らしを始めた。
覚せい剤は同棲していた男から勧められ、計17回使用したと12月の初公判で証言した。法廷では由紀子は「普通のおばさんになりたい」と述べた。
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