「犯人はまさかの〇〇!?」福岡小1男児殺害事件とは
福岡小1男児殺害事件
9月18日、福岡市西区の公園で、小学校1年生の富石弘輝君(6つ)が殺害された。昨日の通夜では、同級生や保護者、学校関係者など約150人が幼い命の冥福を祈った。やりきれない思いと深い悲しみに包まれた会場では、固く口を閉ざしたまま足早に会場を後にする親子も多かったとのことである。今日も現場の公園には多くの花束が手向けられ、人々は手を合わせながら、「どうしてこんな事件が起きるのか」「夢だったらいいのに」「早く犯人を捕まえてほしい」「絶対に犯人を逮捕してほしい」と訴えた。裁判員制度の導入を控えて、有識者や専門家からは、マスコミが大衆の厳罰感情を煽る行為が問題視されている。そして、「絶対に犯人を逮捕してほしい」という安易な認識が誤認逮捕や自白の強要を産み、厳罰化の温床になっていると言われることもある。しかしながら、6歳で人生を終えなければならなかったという事実の不可解さに直面し、絶望の中で絶句し、何とか絞り出した言葉について、「大衆の厳罰感情」とのレッテルを貼ることが果たして可能なのか。「許せない」「絶対に犯人を逮捕してほしい」との反射的な直感を抑え込まなければならないような人生は、果たして人生の名に値するのか。
捜査の進展により、犯人はわずか2~3分の間に犯行に及んだこと、首には細いひもを二重にして絞めた跡が残っていたことが判明した。そして、公園内からは携帯電話を首からつるすストラップが発見され、犯人につながる有力な物証として鑑定が急がれている。しかしながら、肝心の目撃情報は全くなく、捜査は難航しそうである。この捜査を支えるものは、「絶対に犯人を逮捕してほしい」「絶対に犯人を逮捕しなければならない」との信念以外ではあり得ない。近代国家では無罪の推定が働いている以上、「犯人を逮捕する」という表現は厳密には誤りである。それにもかかわらず、人間の倫理的直観は瞬間的にこの言葉を求める。
犯人は母親だった
福岡市西区の男児殺害事件で、母親の富石薫容疑者(35)が福岡県警の調べに「後ろから首を絞めてぐったりした後、植物状態になられたら困ると思い、再び絞めた」と供述していることが分かった。薫容疑者は首を2度絞めており、県警は強い殺意を裏付ける供述とみている。
調べでは薫容疑者は9月18日、小学1年の長男弘輝君を背後から水槽ポンプ用の樹脂製ホースで首を絞めた。
意識を失って倒れた弘輝君にさらに馬乗りのような体勢になって首を絞めたという。
事件経過
●薫は市内の小、中、高校を卒業●結婚後は夫の実家で同居し、弘輝君を出産
●当時を知る近所の住人は、まだ幼い弘輝君が家の近くで一人で遊ぶ姿を目にしていた。「母親は体が弱く、4年ほど前に自分の実家に帰ったようだ」
●08年2月ごろ - 弘輝君の小学校入学に備えて、現在の住所に引っ越してきた
●08年夏ごろ - 薫は「子供と一緒に過ごしたい」と(会社事務の)仕事を休職
●08年2学期から - 弘輝君は学童保育に通っていたが、学童保育を利用できなくなった
◎9月18日午後2時半ごろ - 学校から帰宅
●9月18日午後3時15分ごろ - 母親と公園に遊びに来た(母親の供述)
〈嘘〉9月18日午後3時半ごろ - 母親は、アスレチックコーナーの大型遊具で遊んでいた弘輝君を残し、十数メートル離れたトイレに行った(母親の供述)
〈嘘〉 - 2、3分後に出るとトイレの前に弘輝君の帽子が落ちていた(母親の供述)
〈嘘〉 - (母親の供述)「アスレチック遊具付近から息子がいなくなり、息子の野球帽が落ちていた」
● - (母親の供述)「1人にしておくと危ないと思い一緒にトイレに行った」
● - (母親の供述)「一緒に連れて行ったトイレ内で、学校に来ないことなどを子供に責められた。子供が不憫で将来を悲観した」
● - (母親の供述)「最初から殺すつもりはなかった。衝動的にトイレの中で首を絞めた」
● - (母親の供述)「自分の病気で自分と子供の将来を悲観した。自分も死のうと思った」
● - (母親の供述)「最初から殺すつもりで公園に行ったわけではない」殺害後は「見つからないようにトイレの裏に隠し、被害者を装うため周囲の人に捜してほしいと頼んだ」
◎9月18日午後3時57分 - 福岡市西区小戸(おど)2の小戸公園内で、同市立内浜小1年の富石弘輝(こうき)君(6)=同区小戸3=がいなくなったと、一緒に来ていた母親(35)から110番があった
◎9月18日午後4時25分ごろ - 福岡市西区の小戸公園で、同区小戸の小学1年富石弘輝君(6)が倒れているのを同市内の男性(62)が発見
● - ≪ケータイストラップ≫とは別のヒモで強殺
● - ≪ケータイ≫は持ち去られていた
● - ≪ケータイ≫は、つながらなくなった
◎9月18日午後5時15分 - 病院に運ばれたが、死亡が確認
◎9月18日午後 - ≪ケータイ≫がトイレから北へ約50メートルの雑木林で発見された
● - 弘輝君のものとみられるサンダルの足跡が小戸(おど)公園の女子(障害者用)トイレ内で複数見つかっていた
◎9月21日午後 - 弘輝君の葬儀後の任意事情聴取で、号泣しながら殺害を認めた
● - 薫は事件後、福岡県内の実家に身を寄せていた
被害者(6歳の息子)
小学校1年生の男の子です。明るく、元気で活発な子でした。ただ、軽度発達障害があり、小学校では特別支援学級に通っていました(以前は普通学級に対して特殊学級という呼び方をしていましたが、現在は特別支援学級と呼ばれています)。ときどき登校をしぶることもあったようです。母親によれば、落ち着きがなく、すぐにどこか行ってしまう、いつも手をつないでいないといけないという子でした。
関係者によれば、一つのことに集中できなかったり、突然走りだすなど予想できない行動を取ったりすることがある多動な面がある子だったようです。
出典:探偵ファイル
富石弘輝君
動機
福岡市西区の小戸(おど)公園で内浜小1年富石弘輝(こうき)君(6つ)が殺害された事件で、殺人容疑などで逮捕された母親の富石薫容疑者(35)が、体が不自由なため弘輝君にトイレ介助を頼んだ際「何もしてくれないのにお手伝いばかりさせられる、と言われて絶望的になった」と動機を供述している
周囲の人々の話に寄れば、親子の仲はよかったといいます。小学校入学時のクラス懇談会の時に、「うちの子は落ち着きがないところがあるので、迷惑をおかけすることがあるかもしれません」と泣き出しそうな顔で話していたと語る人もいます。真面目で、気の小さな母親だったのでしょうか。
子育てには、悩んでいました。「子供が元気よすぎてコントロールが利かない。自分が病気だから面倒を見るのが大変」だと知人に語っています。
報道によれば、この家庭は夫婦と子どもの3人家族でした。当初は働いていたため、放課後は学童保育(母親が働いている小学生を夕方まで預かってくれるところ)を利用していましたが、病弱で仕事をやめたため、学童保育を利用できなくなったということです。
犯行前は、精神的に追い詰められていたようです。
子殺しの心理 女性殺人者の心理
親が子を殺す場合、虐待が高じて殺害に至るケースもあります。また、まれなケースとしては、子どもに保険金をかけて殺害するといったケースもあります。そして、今回のような、子どもを殺して自分も死のうとする、無理心中のケースがあります。今回の事件では、まだ解明されていない動機もあるのかもしれませんが、無理心中くずれの殺害は、子が憎いのでもなく、邪魔なのでもなく、金目当てでもなく、子を愛するがゆえの殺人、「愛他的殺人」ということができます。子が嫌いだから殺すのではなく、大好きだからこそ殺すのです。
女性は、男性の5分の一しか殺人を犯しませんが、女性殺人者の特徴は、殺害相手の9割が家族や恋人など身近な人ということです。家族を殺すのは、ひどい凶悪犯でしょうか。いえ、そうではなく、女性殺人者の多くは、様々な問題で心が追い詰められた結果、やむにやまれず身近な人を殺しています。
アメリカであれば、無抵抗な子どもを殺すのは、ただの第一級殺人ですが、日本人としては親子無理心中は虐待の末の子殺しとは違い、同情されることもあるでしょう。
育児ノイローゼ
他人には、育児ノイローゼは非常に理解しがたいものだと思います。疲れて少し憂鬱になっているだけで、大した事ではないと思っている人も多いのではないでしょうか?―育児ノイローゼになるとどうなりますか?
症状は、人それぞれなので一概には言えませんが、マイナス思考や悲観的な考えになったり、感情がコントロールできず涙が止まらなくなったり、食欲不振や睡眠障害、思考能力の低下など非常に精神不安定な状態になります。産後鬱と言う病気を引き起こす事もあります。
―育児ノイローゼの原因は?
これも一概には言えませんが、完璧な母になろう、完璧な子育てをしようと言うプレッシャーに押しつぶされてしまう人が多いようです。近頃は、育児本なども多く出版されていますがそういったマニュアルに頼りすぎてしまったり、近所付き合いがなく、誰にも相談できず一人で悩みを抱えてしまう人が増えているのも原因の一つかもしれません。
出産後は、ホルモンバランスが崩れ誰しも一度はノイローゼ状態になるそうだ。
排泄により数グラム体重が減った事に大泣きしたり、うちの子だけまだ寝返りができない、それだけの事が母親達を精神的に追い詰める。
「妻追い込んだ 私も加害者だ」 福岡小1殺害、父語る
「追いつめられていたことに、なぜ気づいてやれなかったのか」福岡市西区の公園で小学1年の富石弘輝(こうき)君(6)を殺害したなどとして逮捕された母親の薫容疑者(35)の夫(33)が、朝日新聞の取材に断腸の思いを語った。18日で事件から1カ月。夫は、妻の心情にうとかった自分を責めてきた。
「妻に謝りたい」。薫容疑者に会える日を、待っている。勤務先で知り合った2人が結婚したのは00年。2年後に弘輝君が生まれた。弘輝君はよく女の子と間違えられた。「薫はずっと『ジャニーズに入れる』と、かわいがっていた」という。
3人で数カ月に1度は水族館や動物園に家族旅行に出かけた。昨年訪ねた沖縄の美(ちゅ)ら海(うみ)水族館。喜び、興奮した弘輝君が近くの海に入ろうとしたことを覚えている。
が、数年前から体調を崩していた薫容疑者は06年、全身に痛みが走る「線維筋痛症」と診断された。シャワーを浴びるのも痛がる。手に力が入らない、と台所に立つ時は包丁をタオルで手に固定するようになった。
一方、弘輝君は4、5歳のころ、福岡市内の大学病院などで発達障害があると指摘された。「面白くないと物を投げたり壁をけったりする。薫の手におえず、最後は自分が押さえ込んでいた」。うすうす気づいていたらしい薫容疑者は動揺したそぶりは見せなかったが、内心はどうだったのか。「障害に関する本を買って読んでいた。受け入れざるを得なかったんでしょう」
夫は障害がわかる前、いうことをきかない弘輝君に手を上げた。それが原因で一時、母子は夫と離れて過ごした。夫は二度と体罰はしないと誓い、昨夏から一家は福岡市内にある薫容疑者の実家で再び一緒になった。
ただ仕事が忙しく、土曜日も出勤することが多い。多忙で厳しい父と、やさしい母。弘輝君は自然と薫容疑者に甘えるようになっていった。
今年2月、弘輝君を特別支援学級がある同市西区の小学校に通わせるため、3人は近くに転居した。だが、薫容疑者は8月ごろから体調がさらに悪化。育児の負担も重なり、自殺を図った。夫は「死んだら弘輝も悲しむ」とさとし、入院させる話を進めた。
その矢先の9月18日、事件は起きた。夫は「(第三者の犯行を装った)薫の言葉を信じた」。が、4日後の朝、テレビに「母親を逮捕へ」と速報が流れる。実家で薫容疑者は泣きながら、体にできたアザの理由を母親(65)らに明かした。
「全部、弘輝にされたの。あの日は特にひどかったの」
薫容疑者は、首のコルセットの両端を引っ張って自殺しようとし、付き添っていた女性警察官に制止された。夫はその場にはいなかったが、「逮捕は信じられない、の一言だった。アザがあったことも初めて知った」と振り返る。
県警によると、薫容疑者は「弘輝を殺し自分も死のうと思った」と供述した。夫は「薫を追い込んだ自分も事件の加害者だ。接見できたら謝りたい」と唇をかむ。「何年かは1人で事件のことを考えてほしい。自分も反省しながら待っているから」
◇ 厚生労働省で線維筋痛症の研究班長を務める聖マリアンナ医大(川崎市)の西岡久寿樹・難病治療研究センター長によると、同症は「原因不明で全身が痛くなる病気」。患者は国内に200万人と推計される。「医師や周囲から十分に症状を理解してもらえず、うつ状態になる人は多い。ただ、薬の副作用を含め、異常行動は考えられない」と話す。
県警や地検は、薫容疑者が弘輝君の遺体を隠し周囲に捜索を頼んだとして、計画性があったかどうかを調べている。また、当時の心理状態を解明するため、専門家に精神鑑定を依頼した。
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