安城市幼児殺傷事件の「氏家克直」とは
安城市幼児殺傷事件
生後11ヶ月の幼児は頭に刃物が刺さったままの状態で病院に搬送された。刃渡り15センチ、最大刃幅3センチ、厚さ1ミリのペティーナイフは柄の部分しか見えず、刃は頭頂部から下顎にまで達していた。事件は愛知県安城市、名鉄線新安城駅近くの大型スーパーで起きた。開店して間もない午前10時40分ころ、買い物に来た母親はスーパー備え付けのベビーカーに生後11ヶ月の男の子を乗せ2階の通路を歩いていた。そこに反対側からきた男がいきなり襲った。逃げる間も、抵抗することもできない一瞬のことだった。幼児は搬送された病院で2月4日午後1時12分死亡した。被害に遇った青山翔馬ちゃんはあと6日で満1歳の誕生日を迎えるはずだった。
男は次々と刺したり切り付けたりするつもりだったのかもしれない。しかし、これほど深く刺さった刃はそう簡単に抜けるものではない。最初に幼児の頭に刺したペティーナイフが抜けなかったから、翔馬ちゃんの姉(3歳)には顔を蹴り上げ、更にこの姉を庇った24歳の女性にも暴行を加えて逃走したということだが、もしナイフが抜けていたら、すぐそばにいた翔馬ちゃんの母親や3歳の姉、身を挺して庇った24歳の女性もどうなっていたか分からない。
男は返り血を浴びた紫色のカッパをスーパーから1キロほどの公園に捨て、徒歩で逃げているところを緊急配備の警察官3人に取り押さえられた。氏家克直容疑者、34歳。両手は返り血で真っ赤に染まっていたという。
事件のあったイトーヨーカドー 安城店
安城店〒446-0072
安城市住吉町3-1-8
営業時間:
10:00-22:00
青山翔馬ちゃん
この事件ではほかに翔馬ちゃんの姉(3)ら2人が負傷した。
安城市幼児殺傷事件が起こった流れ
① 住居侵入罪で有罪、執行猶予。② 執行猶予期間中に他人の自転車を乗り回して懲役1年2カ月の実刑判決が確定。
③ 1月27日に仮釈放、更生保護施設に寝泊り、保護司からの援助で求職活動等していたが数日で行方不明になる。
④ 元々の罪状が軽微であったため、特に捜すこともなく放置。
⑤ 2月2日に安城市入りし、廃車に寝泊り
⑥ 2月4日 犯行
出典:氏家克直という男
出典:氏家克直という男 ③ 恋人もいない。 ④ おとなしいから刑務所でいじめにあっていた。 ⑤ いじめの内容=パチンコ台のくぎ抜きが重労働で、それを一日中させられていた。 ⑥ 連日いじめにあっていたせいか、刑務所内である日突然切れて大暴れした。
② 友達が一人もいない。
氏家克直
氏家容疑者は過去に窃盗や住居侵入の前科前歴があるのだが、豊橋刑務支所を刑期より3ヶ月早く、1月末に仮出所したばかりだった。身元引受人がいなかった為、更正保護施設で宿泊や食事の提供を受けながら、3ヶ月間の保護観察を受けることが義務付けられていた。しかし、氏家容疑者は施設を数日で勝手に抜け出し、以前住んでいたことがあるという安城市に2月2日やって来た。職を探していたということだが、放置された廃車で寝泊りしていた。事件を起こした4日は「店には暖を取るために入った」凶器のペティイナイフは事件直前に家庭用品売り場から盗み「たまたま最初に目に入った子供をやった」と犯行を認め、「子供が亡くなったことに対してどう思っているのか」という質問には「申し訳ないことをした」と言っているというが、捜査員には反省しているようには見えないという。
『殺せ』とお告げあった
氏家容疑者は翔馬ちゃんらとは面識がなく、調べに対し「何日か前からいらいらしていた。『人を殺せ』というお告げがあった」と、落ち着いた様子で話しているという。警察では、容疑を殺人に切り替えて、動機を厳しく追及している。
第3回公判が28日、名古屋地裁であり、被告は、証人として出廷した傷害事件の被害者で20歳代の主婦を殴り、額に1週間のけがを負わせた。名古屋地検は氏家被告を傷害罪で追起訴する。
主婦は、安城店内で被告に顔などをけられて2週間のけがを負い、この日、証人として、法廷に立った。
午後2時の開廷後、間もなく証人尋問が始まり、検察側から「暴力を振るったのは被告ですね」と尋ねられた主婦は、被告を見て、「そうです」と答えると、被告人席に座っていた被告がいきなり立ち上がり、こぶしで主婦の顔を殴りつけた。
被告が襲いかかった瞬間、傍聴席からは悲鳴が上がり、騒然となった。主婦の元に駆け寄った男性は「裁判中にこんなことがあっていいんですか」と訴え、ハンカチで顔を押さえる主婦を支え、廷外に出た。 主婦は救急車で病院に運ばれ、手当てを受けた。 当時、被告の両脇には、名古屋拘置所の刑務官3人がいたが、被告は手錠や腰縄をはずされており、暴行を止めることができなかった。
公判は1時間20分後に再開。裁判長が「なぜ、あのようなことをしたのか」とただすと、被告は「顔を見て、声を聞いて、カーッとなって……」と答えた。
裁判長は「(起訴事実とは)別に(刑事)責任を取ってもらう」と述べ、被告に腰縄を付け、ついたてを立てたうえで、別の証人2人の尋問を続けた。
名古屋拘置所長は「証人への暴行事案が起きたことは誠に遺憾。戒護(警備)の間げきを突かれたもので、今後、戒護方法を検討し、再発防止に努めたい」とのコメントを出した。
被告について、名古屋地裁総務課長は「過去2回の公判で、暴行のそぶりはなく、検察庁からも暴行の恐れがあるという情報は得られていなかった」と説明。
通常通り、手錠と腰縄をはずし、被告や証人が座る法柵の内側に、法廷警備員を配置していなかった。
名古屋地検次席検事も、「被告は取り調べ段階や2回の公判で粗暴な言動はなく、今回のような事態を予想していなかった」と話した。
しかし、今回の事態を受け、性犯罪の被害者などの証人尋問で使うビデオを介した方法も検討するとしている。
判決懲役22年
愛知県安城市のスーパーで2005年2月、幼児ら3人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた無職氏家克直被告(37)の判決公判で、名古屋地裁は18日、懲役22年(求刑同30年)を言い渡した。伊藤新一郎裁判長は起訴事実を認定した上で、判決理由として「被告は犯行時、統合失調症を発症し、心神耗弱状態だった」と指摘した。
弁護側は、統合失調症の影響で幻聴や妄想があり「包丁で刺せば死ぬかもしれないという推認もできず心神喪失だった」と無罪を主張していた。
氏家被告は計4回の精神鑑定を受けたが、結果は一致しなかった。
出典:日本共産党中央委員会
花が供えられたイトーヨーカドー安城店の子ども靴売り場前
刑務所出所者のケアは
容疑者(34)は▽約一週間前に名古屋刑務所豊橋刑務支所を出所した▽所持金がほとんどなく、仕事を探したが見つからなかった▽二日前に安城市に入り廃車になった車のなかなどに寝泊まりしていた▽売り場にあった果物ナイフで犯行に及んだ―などと警察に語ったと報道されています。凶悪事件が起きる背景について指摘する声もあります。新日本婦人の会安城支部支部長の深谷恵子さんは、「小さな子どもが犠牲になり、本当にかわいそうです。他方で、競争社会から落ちこぼれた人は、全部ダメという風潮もあります。犯罪者をださない社会づくりをどうするか、考えていきたい」と話します。
何の罪もない幼い命を奪った犯行は、決して許すことはできませんが、刑務所を出所した人のケアやサポートはどうなっているのか、犯罪から子どもをどう守るのか、など事件はさまざまな問題を投げかけています。
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