福岡スナックママ連続保険金殺人事件の「高橋裕子」とは
福岡スナックママ連続保険金殺人事件
福岡スナックママ連続保険金殺人事件(ふくおかスナックママれんぞくほけんきんさつじんじけん)とは、2004年(平成16年)に発覚した連続保険金殺人事件である。
1994年10月、二度目の夫・野本雄司さんに睡眠薬入りの酒を飲ませて眠らせたところを、包丁で割腹自殺に見せかけて殺害。 自殺とされて保険金2億1000万円を取得。(福岡地裁、依頼に基づく嘱託殺人罪を適用)。2000年11月、内縁の夫・高橋隆之さんを息子の家庭教師に手伝わせて風呂場で溺死に見せかけて殺害。事故死として処理される。 契約していた保険金約1億3000万円だったが、病気を隠して契約していたので保険金は2700万円しか支払われなかった。
2004年、店の客や常連客を脅迫。不倫相手の男性から100万円を脅し取る。7月、脅迫容疑などにより福岡県警によって逮捕。 これが原因で過去2件の夫殺しが露見。警察は以前から夫の死を不審に思っていたらしい。
出典:探偵ファイル
2004年、中洲の元スナックのママ高橋裕子(当時49歳)は、店の客や交際相手を恐喝し、金を騙し取っていたとして恐喝容疑で逮捕される
しかしこの逮捕は別件でしかなく、警察の本当の狙いは元夫二人に対する保険金殺人だった。
出典:探偵ファイル
殺害された野本さん
【加害者】福岡スナックママ連続保険金殺人事件
高橋裕子[40]。最高裁、上告棄却により一審、二審の無期懲役が確定。共犯容疑者[23]。一審の殺人幇助罪から、二審で無罪確定(疑わしき罰せず)。
【被害者】福岡スナックママ連続保険金殺人事件
野本雄司さん[34]。2番目の夫。割腹自殺にみせかけて、刺殺。高橋隆之さん[54]。3番目の夫。当初、事故で処理。福岡地裁、依頼に基づく嘱託殺人罪。
福岡スナックママ連続保険金殺人事件 高橋裕子 生い立ち
裕子被告は福岡県・志免町の裕福な靴屋の娘として生まれ育った。お嬢様学校として知られる地元の私立学校へ通い東京の音楽大学へ。美人で金持ちの裕子被告は同級生の憧れだったという。大学卒業後、すぐに資産家の息子と結婚するが長くは続かず故郷へ戻りピアノ教室を始めた。87年に前の夫と住むはずだった家を設計した建築士の野本雄司さんと再婚。裕子被告は夫が経営する建築会社でインテリアや経理を担当し、92年には1億円を投じた事務所兼自宅を建てた。
しかしバブル崩壊で取引先は相次いで倒産し、経営は悪化の一途を辿る。裕子被告が夢見た裕福な生活の歯車が狂い始めた。
1億3千万もの借金から身を隠す生活の中、裕子被告はスナックで働き始める。しかし裕子被告はブランド物を買うための借金を繰り返していた。当時、借金を苦に自殺を図った雄司さんに「死んでもらって生命保険で借金を返済するしかない」との思いを巡らせた。雄司さんは執拗に自殺を迫られ、3回の自殺未遂を繰り返した。
裕子被告は子供の家庭教師として裕子被告の家を訪れていた井出健一被告に連絡を取った。裕子被告にプロポーズをするほどの井出被告の恋心を利用した。
そして1994年10月22日。
「雄司さんにウイスキーと睡眠導入剤を渡し「ゆっくり寝たら」と勧めた。寝入ったことを確認し井出被告を自宅に招き入れた。井出被告は包丁を渡し「腹を刺せ」と指示するが、裕子被告がためらったため井出被告が包丁を取り上げ雄司さんを突き刺した」
(検察側の冒頭陳述から)
雄司さんがこれまでに自殺を図っていたことや、遺書と見られるメモが残されていたことから、警察は自殺と判断し、司法解剖や遺書の筆跡鑑定は行われずに捜査は打ち切られた。
裕子被告は殺害の2日前、会社の代表だった父を解任し、会社の代表に就く。こうして会社にかけられた保険金、資産の売却金など、約2億円を手にする。借金を返済してもあり余る金だった。
福岡の歓楽街・中州で裕子被告はスナックを始めた。店の名前は「フリージア」。客として来ていた天野隆之さんは、この店の常連となり、出会いから2年後の96年6月に結婚。しかし世の中の景気はどん底。隆之さんの仕事もうまくいかず、スナックの経営も閑古鳥が鳴く状態。裕子被告の歯車は、また狂いだした。
「おなかの子供はあなたの子供だったんです。その子を堕ろしたんです。200万円払ってください」と裕子被告はスナックの客と関係を結び、恐喝を繰り返した。一方で隆之さんにそのホテルまで送り迎えさせ激しく罵った。「あなたがお金をつくってこないから、こんなことになるのよ。職なしは用なし。お金をつくってきなさい」。
そして2000年11月12日。隆之さんをマンションの風呂場で殺害。(検察側による)
出典:探偵ファイル
学生時代の高橋裕子
福岡スナックママ連続保険金殺人事件 高橋裕子 年表
1955/09/[s30] 福岡県・志免町の裕福な靴製造販売会社社長の娘として生まれ育った。 子供の頃はピアノが上手でかわいかったため、白雪姫と呼ばれたという。 お嬢様学校として知られる地元の福岡女学院へ通い、東京の武蔵野音楽大学ピアノ学科を卒業。1979 音大在学中にパーティで知り合った資産家の息子と結婚し、息子二人ができる。 夫はギャンブルによってサラ金に多額の借金をつくる。
1985/10 別居の末、離婚。故郷へ戻りピアノ教室を始めた。
1987/ 前の夫と住むはずだった家を設計した建築士の野本雄司さんと再婚。
1992/ 1億円を投じた事務所兼自宅を建てた。
1994/10/22 長男の家庭教師だったIと共謀し、夫に睡眠薬入りの酒を飲ませて眠らせたところを、包丁で割腹自殺に見せかけて殺害。 殺害現場に借用書をばらまくなどして偽装工作を行い、自殺とされて保険金2億1000万円を得る。
1995/09 中州にスナック「フリージア」を開店。
1999/06 スナック店の常連だった高橋隆之さんと3回目の結婚。結婚1ヵ月後に高橋隆之さんに対して 生命保険を2件かけた。
1999/10 福岡市内の建設会社員と共謀し、かつての交際相手から現金180万円を脅し取っている。
2000/01 高橋隆之さんに対して2000万円の保険金をかける。10月にも8000万円と3000万円の個別の保険をかける。
2000/11/12 高橋隆之さんを風呂場で溺死に見せかけて殺害。事故死として処理されるが、契約していた保険金約1億3000万円の内、 保険金は2700万円しか支払われず。理由は保険の多重契約による告知義務違反。
2001/06 不倫相手の男性会社員から現金100万円を脅し取った(この恐喝容疑で高橋容疑者は逮捕された)。
2004/07/22 不倫相手の男性から100万円を脅し取ったとして、7月22日、脅迫容疑などにより福岡県警によって逮捕。 これが原因で過去2件の夫殺しも露見(以前から県警に疑われていたという)。 裁判では検察から「女王蜂が働き蜂に命懸けの奉仕を求めるように、 2人が自分のために死ぬのを当然と考えた」と批判される。
2007/07/19[] 福岡地裁、高橋裕子に無期懲役、共犯容疑者に殺人幇助罪で懲役3年6月(求刑12年)。
2008/04/22[] 福岡高裁、共犯容疑者、逆転無罪判決、上告せず確定。
2008/12/18[] 福岡高裁、高橋裕子の控訴を棄却。
2011/04/26[] 最高裁、上告を棄却、無期懲役が確定。
白雪姫の転落・高橋裕子
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