多くの日本人が貧困に沈むのは、なぜなのか 「6人に1人が貧困状態」という不都合な真実
2012年の日本の相対的貧困率は16.1%と過去最悪を更新した。相対的貧困率とは、国民の所得分布の中央値の半分(2012年は122万円)未満である状態を示す。相対的貧困率には所有する資産は考慮されていないが、誤解を恐れずに単純化すると日本人の6人に1人が貧困状態にあるということだ。今年1月時点の生活保護受給者も217万人と過去最多に上る
「貧困は自己責任」「本人の努力が足りない」
経済学に「貧困の罠」という言葉がある。本来は税制や社会保障制度などの欠陥によって貧困から抜け出せない状況を意味する。生活保護世帯は過去最多を更新し続けているが、構成比を見ると高齢者と障害者・傷病者が多く、全世帯の7割超を占める。
これらは事実上働くことができない世帯だ。保護費の内訳を見ると医療費にかかるものが半分を占める。生活保護というと不正受給に注目が集まりがちだが、生活保護費の総額に占める割合は 0.5%前後で推移しており、多いとはいいがたい。
高齢者が増えるに伴って、今後も生活保護受給世帯が増え続けるのは間違いない。生活保護費だけに着目して予算を削減するのではなく、年金、医療、介護など約30兆円に上る社会保障関係費全体の中で議論すべきだろう。
出典:多くの日本人が貧困に沈むのは、なぜなのか 最新の週刊東洋経済 東洋経済オンライン