「金色堂前の植え込みを計測した0.88。新世界遺産・平泉は、放射能に汚染されているのである」スーパーホットスポットを次々発見放射能汚染に新事実、この数値を見よ!
「私の街は大丈夫でしょうか?」—本誌が独自調査を始めて以来、読者からの問い合わせが殺到している。思わぬ場所に潜むホットスポット。正確な情報を持つ以外に、私たちが対抗する術はない
スーパーホットスポットを次々発見 放射能汚染に新事実、この数値を見よ! 全国1000ヵ所を独自調査 〈後編〉
経済の死角 |
6月25日に世界文化遺産の登録が決まったばかりの同町には、観光客がいま大挙押し寄せている。
JR平泉駅を降りると、いたるところに「祝平泉世界遺産登録決定」の幟が見える。世界の観光名所に名を連ねたことで、地元は喜びに沸いている。
しかし、地元民も観光客も知らない事実がある。
平泉駅前ロータリーの街路樹の下で、本誌記者はガイガーカウンター(線量計)のスイッチを入れた。
0.47、0.54、0.65・・・。
約30秒ごとに更新される値は、いずれも0・4マイクロシーベルト/時(以下、単位はすべて同じ)を超えている。画面の背景が黄色く変わり、「HIGH」の文字が危険を知らせる。
同町でもっとも有名な観光地は、言わずとしれた中尊寺金色堂だ。奥州藤原氏ゆかりの寺は国宝にも指定されている。記者が訪れた夕方5時は拝観終了の時刻にもかかわらず、たくさんの参拝客が駆け足で入っていく。
金色堂前の植え込みを計測した。
0.88
住宅地なら、避難を考えたほうがよいレベルの線量だ。他の場所も高い。
・参道入り口 0.75
・釈迦堂前 0.45
・阿弥陀堂前 0.36
・能楽殿前 0.64
・本堂前 0.57
・参道駐車場 0.77
ここまで調べれば、もう結論は出ている。
新世界遺産・平泉は、放射能に汚染されているのである。
出典:スーパーホットスポットを次々発見 放射能汚染に新事実、この数値を見よ! 全国1000ヵ所を独自調査 〈後編〉 本誌とて、せっかくの世界遺産ブームに水を差すために来たわけではない。だが、世界に知られる観光地になったからこそ、汚染されている事実に目をつぶることもまた、できない。 表を参照してほしいが、近くの栗駒山いわかがみ平で2.17、奥州市で1.35という驚くべき値が出ているからなおさらだ。 本誌はこれまで2週にわたり、全国の放射線量を独自に計測してその数値を公開してきた。調査したスポットは1000ヵ所以上にのぼる。読者からは、 「私の住んでいる街も測ってほしい」 と訴える電話が殺到し、人々の放射能への関心、いや恐怖がいかに強いかを改めて認識した。 これまでの取材や識者の見解を踏まえて、放射線量は0・19がひとつの安全基準で、それ以上なら要注意、0.60を超えたら避難も検討したほうがよい、と本誌は提言している。 前号では全国500ヵ所の実測データを掲載し、0.19はもちろん、0.60を超えるホットスポットを広いエリアで観測したことを報じた。 実は全国には、まだまだ知られざるホットスポットがある。平泉のように、これまで報じられたこともないのに0.8を超えるような「スーパーホットスポット」も存在する。今号はそうした超高線量地点を中心に、引き続き独自調査の結果を報告していく。 編集部にかかってくる電話でもっとも多いのが、柏市、流山市など千葉の高濃度汚染地帯に住む人々からの不安の声だ。東葛地区と呼ばれるこのエリアは、調査中に住民から声をかけられることが多い。 今回の調査でも、柏市の新たなスーパーホットスポットが次々に見つかった。 つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅。東京大学や千葉大学のキャンパスが近い、新興住宅地兼文教地区だ。 駅前ロータリーのアスファルト地上1mが0.51。地表面が0.75。十分に高いが、線量計が激しくアラーム音を発したのは、近くの側溝を計測した時だ。 1.09、1.32と数値が上がっていき、最高で1.68、10回計測した平均値も1.47と、軽々と1を超えてしまった。画面には真っ赤な「DANGEROUS(危険)」の文字が躍る。 駅には複合商業施設「ららぽーと柏の葉」が隣接しているが、そこで会った30代の主婦はこう話した。 出典:スーパーホットスポットを次々発見 放射能汚染に新事実、この数値を見よ! 全国1000ヵ所を独自調査 〈後編〉 だが、まだ疑問がある。途中の水戸市や鉾田市よりなぜ東葛が高いのか。早川教授が続ける。 「原因は雨です。3月21日、北から放射性物質を運んできた風と、南からの湿った風がここでぶつかって、放射能を含む雨を降らせたんです。その翌日に採取された東京都の水道水(松戸市に隣接する葛飾区の金町浄水場)から放射性物質が多く検出されたことも、これで説明がつく」 図にはいくつかの矢印が記されている。矢印の方向に進む、ナメクジの足跡のようなこの帯こそが、東日本にホットスポットを作った「放射能の足跡」なのだという。早川教授がそれぞれに説明を加える。 「データを分析すると、福島第一原発からの放射性物質の大量放出は、大きく4回あったとわかりました。 最初が3月12日の夜。南相馬から太平洋を北上して時計と反対回りに女川を経由し一関市に向かった。平泉を汚染したのはこのルートです。 2回目が3月15日の午前中。いわき市→水戸市と南下し、そこから3方向に分かれている。宇都宮方向に向かったもの、群馬方向に向かったもの、首都圏に南下したもの。軽井沢周辺を汚染したのはこの時の群馬ルートです」 そして最悪の放出が起きたのが、3号機の建屋が爆発した翌日の、3月15日夕方からだった。 「原発から北西方面に進み飯舘村などを徹底的に汚染し、そこから時計と反対回りで福島、二本松、郡山、那須、最終的には日光まで流れていきました」 このルートが、現在SPEEDIなどで公開されているもので、多くの国民はこのルートしかないと思っている。 実際はそうではなく、これが3回目。4回目の大放出が、前述した3月21日の、海越えで東葛を汚染したルートだった。 恐ろしいのは「原発からいつ放射性物質が大量発生したか、誰もわかっていなかった」という事実だ。 出典:スーパーホットスポットを次々発見 放射能汚染に新事実、この数値を見よ! 全国1000ヵ所を独自調査 〈後編〉 ■「金色堂前の植え込みを計測した0.88。新世界遺産・平泉は、放射能に汚染されているのである」スーパーホットスポットを次々発見放射能汚染に新事実、この数値を見よ! http://gendai.ismedia.jp/articles/-/11933 … … …pic.twitter.com/08pdYe6YJl 経済の死角 経済の死角 経済の死角