【洒落怖】山の上にある廃墟(名作・長編)

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『山の上にある廃墟』

296 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:10


俺が今まで生きてきて一番怖かった体験を話したいと思います。

実際起こった出来事なんだけど、

現実の話ってこうやって文にしてみると大して怖くねーなって思ったよ。

まあ俺の文章力が無いだけか。


でも書く。


297 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:11


もう十年以上前の出来事になるが、当時俺は都内で学生をやっていた。

地元はとある田舎なんだけど、地元には気心知れた友人が何人かいて、

休みになると地元に帰っては朝まで飲んだり、

ナンパしたりコンパしたり、楽しい時間を過ごしていた。


そんな夏休み。

いつものように友達と夜遊んでて、

引っ掛けた女とカラオケやって盛り上がってたんだけど、

女達はカラオケが終わると、次の日バイトがあるとかで帰ってしまった。

暇になった俺達は、誰とも無く

「じゃあ、肝試しでもやんねー?」って話になって、

山の上にある廃墟と化した別荘に行こう、という話になった。


298 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:12


今だったら絶対に行かないけどね。男だけで肝試しって何が楽しいやら。

でも当時は免許も取り立てだったし、何をやるにも楽しかったんだ。


その別荘は今は取り壊されてしまったけど、地元じゃかなり有名な所らしく、

誰それが其処で殺されただとか、夜中窓から女が覗いてるだとか、

何か色んな噂が流れてくる場所だった。

まあ俺は特にそこで何があったのかとか全然知らなかったし、

一緒に行く友達が4人もいたので、かなり余裕ぶっこいてた訳です。

初めて行く場所だったし、怖さよりウキウキ感のほうが強かったんだろうね。


299 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:12


カラオケで大分時間を過ごしていたので、

其処に到着したのはもう深夜零時を回ってた。

着いてびっくり。なんでこんな山奥に別荘があんの?って感じで、

周りには何も無いし。

試しに車のヘッドライト消してみたら本当に真っ暗で、

暗黒って言うのはこういうことを言うんだろうな~とか思ったよ。

かなりびびってたんだけど、まあ仲間もいるし、

廃墟の中に入ってみるべって事になり、

バリゲードをぶち壊し中に入りました。


中は埃とカビ臭く、割れたガラス等が散乱していて、

雰囲気を醸し出してたね。

珍走も来るらしく、誰々参上とかそう言うのもスプレーで書いてあり、

そっちでもかなりビビったね。

まあでも、俺はからっきしだけど、

友達の中に格闘技とかやってる奴とかいて、性格もイケイケだったんで、

かなり大人数じゃない限り襲われても平気かな、

みたいな感じもあったかな。


300 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:13


幸い珍走も来ず、しばらく廃屋の中で探検や何かを

物色したり壊したりと色々やって遊んでたんだけど、

しばらくすると飽きてしまい、俺達は車に戻った。


んで車に戻る際、たまたま運転手がドアを閉め、

そん時に肘がドアロックに当たって、全ドアにカギが掛かったんだよね。

俺は助手席だったんでそれを見てたんだけど、

本当にたまたまカギが掛かっちゃったんだ。

その後、その場から離れずエンジンをかけ車内でCDを聞いたり、

会話を楽しんでました。


しばらくすると、山頂付近から光が見える。それもどうやら車らしい。

こんな夜中に山から下りてくる車って何だよ?

って俺らにもちょっとした緊張が走る。


301 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:14


今まで散々不法侵入して遊び倒してるんだから、

逃げようかとも思ったんだけど、

何かその時の車の中の雰囲気が、友達同士舐められたくねえ、

みたいな感じで、何故か誰も逃げようとか言わなかったんだ。


んで、あれよあれよと言う間に車が目の前までやってきた。

まあ一本道だし当たり前なんだけど、何故かその車はタクシー。

今の時間に山頂で何を?こんな山奥に何故タクシー?って俺達は思った。


んで、そのタクシーは何故か俺らの車の数十メートル後ろで停車し、

後部座席から二人を降ろし、そのまま俺らの車を追い抜き行ってしまった。

人が降りたので、「やべ、ここの別荘の持ち主か?」と思ってたら、

そいつらしばらくこっちを見てたんだけど、

気が付くとゆっくりこっちに向かってくる。


302 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:20


しかも1人は女らしい。真っ赤なワンピースを着てる。

もう1人は明らかに男でスーツ姿だった。

年齢は全く分からないが、多分40前後と感じた。顔も暗くて良く見えない。

俺らは微妙に非現実的な出来事に、あっけに取られていたと思う。

あっけに取られた俺らをよそに、彼らはすぐ車の近くまで近付き、

男性が運転席側、女性が助手席側に回りこみ、

いきなりドアノブを引っ張り、物凄い勢いで車の中に進入しようとすんの。


303 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:21


「!」

ぎゃー。もう髪の毛総立ち。ヤバイ。

さっきも言った通り、偶然カギが掛かっていたためドアは開かない。

でも彼らはそんなのもお構いなしに、

ドアノブを半端無いくらいガチャガチャやってる。

ビビる俺達。

車もすげー勢いで揺れてんの。

正気に戻った誰かが「逃げろ!」と叫んで、

運転手もすかさず車を発進させました。


「うぉー怖えーーー!」

車の中は大騒ぎ。気が付くと皆恐怖のあまり泣いていました。


304 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:22


近くのファミレスに車を止め、

皆で「なんだったんだアレ?」みたいな事をギャーギャー話した。

友達がバカで明るい奴らで助かったと思った。

「一番涙目になってた奴は誰だ?」みたいな話しもした。

「俺じゃねーよ!」とか、「お前が一番涙目だった」とか言い合った。

俺はさほど涙目にならなかったお陰で、大して言われずにすんだ。


大分落ち着いてから、格闘技経験者でイケイケの友人に、

何でお前出て行かなかったのと聞いてみた。

こいつはかなりイク奴なので、皆不思議がったのだ。ちなみにこいつは運転手。


305 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/03/24 18:23


そいつはドリンクバーを飲みながら一言。

「多分俺じゃ勝てないから」

「ぉお?何時も自信マンマンなのに、今回はえらく殊勝だねえ」

誰かが茶化す。

すると運転手のそいつはムキになって、

「だって、俺の車1トン以上あるんだよ?ドアノブ上げるだけで、

 何であんなに車が揺れるんだよ。

 あいつら力半端ねーよ。

 …つか、お前ら、あいつらの顔みてねーのかよ?

 目がな、ヤバ過ぎてとても出て行けねーって。

 だって黒目しかねーんだもん。アレ絶対人じゃないよ」

男女の顔を良く見ていない俺達は、その言葉にガツーンと落とされた。

彼は嘘を言うタイプじゃないから。


そして、ファミレスで朝まで過ごした。

時効だから書くけど、俺は涙は出なかったけどおしっこがちょっと出た。

人間本当の恐怖を味わうと小便を漏らすのを、その時初めて知った。

『オススメの怖い話(名作・長編)』





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Sharetube