【洒落怖】自殺の連鎖(名作・長編)

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『自殺の連鎖』

175 :1:2005/06/08(水) 13:16:11 ID:7FcGRPrfO


大学生を卒業し社会人になった僕は、じいちゃんのお墓参りに行きました。

じいちゃんのお墓の掃除をするため、水をくみに歩いていると、

あるお墓の前でかがんで目をつぶり、

熱心に手をあわせている女の子がいました。

僕が水をくんでからまた引き返して来ても、

さっきと変わらないまま女の子は拝んでいます。

で、僕もじいちゃんのお墓の前で一通り手をあわせてから、

草引きを始めました。

ふと見ると、さっきの女の子が向こうから歩いてきます。


176 :2:2005/06/08(水) 13:18:08 ID:7FcGRPrfO


何かに疲れきった様な顔、そしてそれは見覚えのある顔。

その子は高校のクラスメートで、明るくとても人あたりのいい子でした。

名前は美雪(仮)。

彼女も僕に気付き、軽く微笑み会釈。


それからしばらくたってから、

その女の子と昔から仲が良かった友達Aと飲みに行く事になり、

話題はその女の子の話に…

するとさっきまでバカみたいにはしゃいでたAが、急に暗い顔になり、


「あぁ、あの時会ったね。あのお墓は、美雪の彼氏のだよ…

 大学生の時に付き合ってた…去年ぐらいに死んじゃったんだけど…」


177 :3:2005/06/08(水) 13:19:19 ID:7FcGRPrfO


そこから先は不謹慎だけど、僕が頼みこんでやっと教えてもらいました。

どうやら彼氏は自殺だったみたいです。

Aが言うには、美雪が最初に相談してきたのは、

「彼氏に浮気をされた。もう別れた方がいいよね?」だったそうです。

Aは「浮気するような男は最低。別れた方がいいよ」

しばらくして、美雪から次の相談。


「あの人が怖い…。意味のわからないメールをたくさん送ってくる。

 電話もたくさん…。大学にもこない」


178 :4:2005/06/08(水) 13:20:55 ID:7FcGRPrfO


Aがどんな内容か聞くと、

『美雪、助けてくれ!怖いんだ!今すぐうちに来てくれ!

 霊にとりつかれた!』

といった内容のメールが、3日ぐらい続いて来たとのこと。

Aは「絶対嘘。行かない方がいい。寝る時は絶対鍵をかけて寝るのよ。

   それとアドレス変えた方がいい」

美雪も「…わかった」


その次の日、また美雪からAに電話。


「あの人家まできた!電話も何回もかかってくる。

 怖くてドア開けれない!外からガチャガチャしてる!」


Aもちょっと怖くなり、

「絶対開けちゃだめ!しつこい様だったら警察呼んだ方がいい! 」

と電話してると、

「あ、帰った?」と美雪。

179 :5:2005/06/08(水) 13:22:15 ID:7FcGRPrfO


それから1ヵ月がたち、大学も卒業。

もうそんな事があった事も忘れかけた頃、

美雪からまたあの彼氏の話を聞く事になった。

彼氏が首をつって自殺してるのがアパートで発見された。

彼氏の遺留品から、彼女の所へ警察がきた。

事情聴取され、彼氏との事を全て話してきた。

死後1ヵ月ほどと説明され、美雪は呆然としたとの事。


「わたしのせいだ…」


Aは「そんなことない。私の責任。アドバイスしたのは私。

   だから美雪は悪くないのよ?」


180 :6:2005/06/08(水) 13:23:48 ID:7FcGRPrfO


それから数日後、美雪の家にAは泊まりに行ってた。

二人で飲んで、ビデオを見て、さぁ寝ようかって時に、


『ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!』


二人ともとび起きて電気を付ける。

しばらくしてまた、


『ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!』


美雪「…彼だ…」

二人はパニック!すぐさま近くに住んでた友人に電話して、「今すぐ来て!」


『ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!』


またしばらくして、


『ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!』


10分置きぐらいに鳴るそれは、

電話した友達がインターホンを鳴らす瞬間まで続いた。


「外には誰もいなかったよ?」と友人。


181 :7:2005/06/08(水) 13:25:23 ID:7FcGRPrfO


3人になってからは一度も鳴らずに、朝を迎えた。本当に怖かった。


A「それであの時に、美雪と二人で彼のお墓参りに行ってたのよ。

  あなたもいたけど、あれはおじいちゃんのお墓?」


僕「え?おまえもいたの?さっきも、ん?

  って思ったんだけど、おまえと会ったのなんて久しぶりじゃん?

  お墓でなんて会ってないよ?」


A「はぁ?何言ってんの?

  お墓参りして美雪と二人で歩いてたらあなたいたでしょ?目も合ったし」

そうだったっけ…??

どう考えてもAはいなかった…


182 :8:2005/06/08(水) 13:28:01 ID:7FcGRPrfO


おかしいなと思いながらも、「まぁ、そろそろ帰るか?」と僕。

お金を払い、Aを駅まで見送り、帰宅。


Aが死んだのはその1週間ほど後でした。

実家で首をつってるのを家族が…。


僕が知ってる話は以上です。

Aがなぜ自殺したか、彼女になにがあったのかはわかりません。

今考えてみると、全部Aの作り話だったとも考えれます。

そんな風には見えませんでしたが…

そして美雪は、今も生きてます。

彼女に聞けば、実話だったのかどうかわかります。

が、彼女の胸中を考えると、とてもじゃないけど聞けません…

184 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 13:54:15 ID:ryQwNFGA0


>175-182

乙。((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル

怖いんですが。美雪(仮名)さんに何もないといいですけどね。


185 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 14:03:28 ID:7FcGRPrfO


>>184

あのお墓参り以来一度も見てませんが、さすがに死んではいないと思います。

もし死んでたら、なにかしら噂ぐらい流れてくるはずですから。

今読み返してみてふと思ったんですが、

Aが死んだのは、僕にその話をしたからなのでは?(´д`;)

Aが死んで、美雪が生きてるのはその違いかも??


186 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 14:09:57 ID:2TEOlCsWO


詳しく聞いてきて


187 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 14:16:20 ID:7FcGRPrfO


>>186

美雪との繋がりはAだけだったんです。

クラスメートでも数えるほどしか話もしてないし、

顔見知りぐらいだったんで…

勤め先はAから聞いて知ってるんで、そこにいけばわかるかも?

彼女からすれば、親しい友人と元彼氏?を、

自殺という最悪の失い方してますからね…

とてもじゃないけど、詳しく教えてくれなんて聞けません…orz

283 :追加報告1:2005/06/09(木) 19:53:43 ID:NlbzNXioO


>>175を書いた者です。

先日、美雪(仮)と連絡を取るのは無理と言ってましたが、

とてつもなく気になり出し、Aの大学時代の友達に電話してみたところ、

あっさり美雪の番号ゲット…orz

なんで、空気を読まずに落とさせてもらいます。


どうやら、すでに結婚していて子供もいるらしい。

今日の昼頃に電話してみたら、あっさり出ました。

お墓ですれ違った時とは大違い、声の感じはとても明るく、

高校時代の彼女を思いだした。

正直やや拍子抜け。

高校でクラスメートだったとは言え、ろくに会話も交わした事もないのに、

美雪は僕の事を覚えてました。


284 :追加報告2:2005/06/09(木) 19:54:54 ID:NlbzNXioO


最初はやはり気まずかったけど、結婚おめでとうから始まり、育児の話。

(僕も新米パパなんで、育児の愚痴などを言いあってました。笑)

そしてしだいにAの話になり、僕も美雪もAを思い出し、やや鬱状態…

今だ!と思い、元彼氏の話に。


Aから聞いた話を一通り話し、

僕「いや、Aが死ぬ前に言ってたからさ…」

美雪「あぁ、あの時の話か…正直忘れたいけど、

   今だに思い出しちゃうのよ…」


会話の一部始終を書けば長くなるので、中略。と言うか覚えてません…orz


285 :追加報告3:2005/06/09(木) 19:57:03 ID:NlbzNXioO


結論。

Aが生前に飲み屋で話してた事は全て事実でした。

中でも興味深く、僕自身ゾッとしたのが、彼氏が自殺する数日前からの、

美雪への電話の内容。

彼氏とケンカ別れしてから数日後、その彼氏から突然の電話。

謝ってくるのかと思ってたら、

いきなり『助けてくれ!頭がおかしくなりそうだ!』だったらしく、

驚きと怒りが同時に込み上げて来たらしい(笑)

でも、あまりにも必死なもんだから聞いてみたら、『すき間』が怖いとの事。

286 :追加報告4:2005/06/09(木) 20:01:20 ID:NlbzNXioO


『すき間に何かがいるんだ!おれをずっと狙ってる。

 家だけじゃない。街中いたる所のすき間から、おれを狙ってるんだよ!』


はぁ?と思ったが、美雪も小さい頃『すき間』が怖かったらしく、

まぁわかる気もするなぁ、ぐらいに聞いてたそうです。

彼氏が友達に相談しても相手にされず、笑い者にされたらしい。


『信じてくれるのはもうおまえしかいないから、一緒にいてくれ!』


ずいぶん勝手な言い分に腹がたったが、かわいそうにも思えてきたので、

一度電話を切り、Aに相談したらしい。

返ってきた答えは、たしか『ほっとけば?』だったそうです。


287 :追加報告5:2005/06/09(木) 20:03:54 ID:NlbzNXioO


また何日か後に彼から電話があり、


『すき間に近づいたら手が出てくる!

 おれをつかむ瞬間まで見えてて、つかんだ瞬間に消える!

 友達には見えてない。

 一度うちに来てくれ。気分が悪い。

 今まで4回(美雪の記憶曖昧、3回か4回)つかまれた。今でも感覚が…』


Aに会わないほうがいいと言われてたので、

浮気相手にでも相談したら?とキッパリ拒否したらしい。

(やっぱ浮気だったんだね)

それ以降は電話を取らなかった。


彼の死後、警察にその事を全て話すと、


「薬物等は検出されなかったので、極度のストレスによる幻覚だろう」


と言われたらしいです。


288 :追加報告6:2005/06/09(木) 20:05:21 ID:NlbzNXioO


「霊、ストレス…どっちにしても、私が殺したようなものだよね?」


と悲しそうに言った美雪に、かける言葉も無かったです…orz


あ、それともう一つ…。

あの時、美雪はAと『二人』で墓参りに行ったそうです。

普段とは違い素っ気無い僕に、Aが後から愚痴を漏らしてたそうです。

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Sharetube