【洒落怖】心霊スポットの地下(名作・長編)

著者:
投稿日:
更新日:

『心霊スポットの地下』

504 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:13:07.22 ID:kja+wGxR0


6年位前、当時私がまだ10代だった時の事です。

友人と私、それと2つ上の先輩の4人で深夜、

地元で有名な心霊スポットに行くことになりました。

男4人で心霊スポット巡りと、なんともむさ苦しい感じですが、

友人は心霊的なものが特に苦手らしく、

先輩達は友人をからかうつもりで、

「○○(心霊スポット)今から行こうぜ」と提案しました。


その場所は山奥にある建物で、車で向かいました。

その建物の地下で、10人近い人間が火をつけて心中したとか、

建物の裏手の崖から落ち武者が昇ってくる、とかの噂がある所でした。


505 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:14:11.76 ID:kja+wGxR0


先輩達は「もちろん地下行くよな」等と、

友人を脅かすように笑って言っていましたが、

いざ現地につくと、「うお。マジで怖っ」といい、

車から外観を眺めているだけでした。

私が「降りひんのか?」と先輩に尋ねると、

「じゃあお前降りろよ」と言うので、車を降りようとしました。

友人は、現地についてずっと私のTシャツの裾を握りしめていましたが、

「降りるわ」と言い、離してもらおうとすると、

怯えた顔で、「やばい。ここはやばいて。絶対やばい」と、

私に訴えかけてきました。

とりあえず先輩達が急かすので、友人の手を解かせて車を降りました。


そして、その建物の周りを歩いて、ぐるっと一周。

裏手の崖も覗いてみて、車の前に帰りました。

先輩達は興味深そうに「なんか出た?」と聞いて来ましたが、

私は「いやなにも」と答えました。


そして誰も一向に車から出てこないので、前の座席の先輩達に、

「お前らが行こうって言うたんやろ。降りろって。地下見るんやろ」

と言いました。

先輩は「お前怖くないんか」と聞いてきたので、「あんまり」と答えると、

先輩の片方(A)が、「じゃあ明日までここで泊まってみろ」

と私に言いました。

私は「なんでこんなとこで寝にゃあかんのよ」と、

おそらく真っ当な意見を返しました。

すると先輩Aは、

「怖くないんやろ?10万やるって言うたら泊まるか?」と提案しました。

507 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:16:32.84 ID:kja+wGxR0


私は「前金で今払うんならやるわ」と答えました。

先輩Aは「ええで」と言い、財布の中から1万円札を10枚出しました。

私が「なんでこんなに持ってんの?」と笑いながら聞きましたが、

そういえば先輩Aは、「パチンコやらスロットやらで大勝ちした」

みたいな事を、その日言っていました。

私は「後で返せゆうても返せへんで」と念を押して金を受け取り、

その提案に了承しました。

先輩達は「あほやこいつ」と笑っていましたが、

私も「10万も出すほうもアホやろ」と返しました。

友人は何も言わず、後部座席でうずくまっていました。


先輩達は私を置いて行く前に、

「地下行って来い」と楽しそうに言ってきました。

10万円も貰った私は、さして気分も害せず受け入れて、

地下に向かいました。

火事があったのは本当らしく、まっ暗な中でもライトの光で、

壁中焦げて真っ黒になっているのが見えました。

地下はそんなに広くもなく、目に付く所と言えば、

お風呂の浴槽のようなものだけでした。


車の前に戻り、「壁が真っ黒だった。火事でなんやらゆうてたやん」

と報告すると、

先輩達は「おー」と、嬉しそうに聞いていました。

そして、「明日の朝9時に迎えに来る」と約束をして、

私一人を残して車で山を降りていきました。

508 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:19:33.97 ID:kja+wGxR0


残された私は、「あいつホンマに迎えくるんやろうな」と少し心配しながら、

その廃墟の一番マシそうな横になれる所をみつけて、

埃を払い、座り込みました。

時刻は深夜1時くらいで、どうやって暇を潰そうかと、

とりあえず携帯をいじっていました。

誰かに電話して時間を潰そうにも時間が時間ですし、

電波はギリギリアンテナが一本立つか立たないか程度なので、

あきらめました。


しかし、こう山奥にもなると、怖いのは幽霊より野犬とかじゃないのか、

と考えました。

廃墟は地下以外は外に剥き出しですし、

地下は汚れがひどい上に、さすがに気味が悪い。

これはうかつに寝ると危ないな、と考えていました。

あまりに暇なので、もし幽霊が出てきたら等と考えたりもしていました。

「まあびっくりはするかなあ・・・」

等と思っていたら睡魔が押し寄せて、私は簡単に眠りに落ちていました。


目を覚ますと、午前5時を過ぎたところでした。

夏場だったので結構明るくなっていたし、

私は山を迷わない程度に散歩することにしました。

野うさぎがいて軽く感動したりして、こういう自然もいいなあと思い、

廃墟に帰り9時を待ちました。


509 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:21:25.91 ID:kja+wGxR0


9時になっても先輩は来ませんでした。

電波の良さそうな場所を探して電話をかけたのですが、

友人の家で泊まった先輩二人は、

『すまん寝てた』と寝起き声で言っていました。

大体予想通りだったので、私は「ええからはよ来い」と強めに言って、

迎えを待ちました。


迎えが来たのは11時半を過ぎたところで、先輩二人と友人、

あと先輩Aの彼女が車に乗っていました。

先輩達は「なんかあったか?」としきりに聞いて来ましたが、

私は「特に何も」とありのまま話しました。

つまらなさそうでしたが、

「まあそんなもんだろう」という結論に落ち着き、

早速山を降りるため、私を乗せ車を発車させました。


発車して間も無く、私は自分の足元が、

誰かに掴まれているのに気がつきました。

後部座席は端から私、友人、先輩Aの彼女となっており、

二人とも両手は見えていました。

私は総毛立ちましたが、ええ?このタイミング?とも考え、

ちょっと可笑しくなりました。

511 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:23:25.12 ID:kja+wGxR0


私は、夏場なので膝までのパンツだったこともあり、

直に足を掴まれていました。

掴まれているというより、

その手は思い切り爪を立てて食い込ませるように、痛みを与えてきました。

しかし、私が騒ぐことによって車中がパニックとなり、

事故を起こすのが狙いかな、とも考えました。

私は、なんかありそうな聞いた事あるような話しやな、

と思いながら必死に平静を装い、

また、一番見られてはいけない隣にいる友人に気づかれないよう、

前のめりに座って影で隠していました。


山を降りる手前辺りで、その掴む手の感触がなくなり、

ガソリンスタンドに寄った後、

先輩Aの彼女が「ミニストップでポテトが食べたい」と言い出したので、

寄る事にしました。


512 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 01:25:03.33 ID:kja+wGxR0


私は皆が車を降りた後、先輩Aだけこっそりと呼び、

他の3人と違う場所に移りました。

先輩Aは「どないしたん?」と聞いてきて、私は「危なかったでぇ~」

と息をつきました。

よく分からないという表情の先輩Aに、

正体不明の手の爪による血のにじんだ足を見せ、

「降りる時に足掴まれてた」と言うと、

先輩Aの顔は正に真っ青になっていました。

先輩Aは「マジか?自分でやったとかじゃないんか?」

と聞いてきましたが、私は綺麗に切った爪を見せ、

「こんな爪でどうやってすんな痕つけれんねん。

 まあどっちでもええけど焦ったわ~」と答えました。

「お前、なんで黙ってんのん。そん時言えよ!!」

「そんなもんお前、言うたらパニックになって事故るかもしれへんやないか」

「あ~・・・そうか」

「ナイス判断やろ」

「おお」

「(友人)と(彼女)には言うなよ。トラウマなるで」

「分かってるけど俺にも言うなよ。怖いわ~・・・」

「いや、誰かに言いたいやんかやっぱり」

等と言うやりとりをした後、他の3人に黙ったまま買い物を済ませ、

友人宅に戻り、私はすぐ自宅に戻ることにして解散しました。

669 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:38:57.84 ID:kja+wGxR0


家に戻る事にした私は、ドアの鍵を開けて部屋に入りました。

当時私は、ワンルームマンションの部屋に住んでいたのですが、

開けてすぐに、部屋に誰かがいるのが見えました。

坊主頭にかなりの猫背で、ジャージ姿の男でした。

私の部屋は4階だったこともあり、

すぐに逃げられるのは私を押しのけてドアから出るしかない、

という考えもあり、

その場から動かず、「空き巣?」と声をかけました。

男は振り向きませんでした。

「じゃ 幽霊?足あるけど」と声をかけても振り向きませんでした。

しばらく見ていましたが、彼はぴくりとも動きませんでした。

仕方なく私が、「どっちでもええけど、土足やめてや」と言いながら近づくと、

彼はベランダのほうに静かに歩いて、私と距離を取りました。


670 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:40:29.14 ID:kja+wGxR0


私は「なんだこいつ」と思いつつも、

両手に刃物等は持ってなかったようなので、

「盗るもんなんかなんもないし、警察も呼ばへんから、

 とりあえず出て行ってよ」

と、ベッドに腰を下ろして男に言いました。


それからしばらく男をじっと見ていましたが、

微動だにせず何も言いません。

「しゃあないから叩き出すよ」と声をかけても反応しませんでした。

しかし、ふと私が掛け時計に目を向けて彼に向き直ると、

彼はこちらに顔だけ向けて、私と初めて目を合わせました。

目は小さく斜視が入っている感じで、団子鼻、口は少しだけ開いている。

私はその顔つきに、何か普通の人とは違う違和感を覚えました。

彼は若干睨む様なそうでないような感じで、こちらをじいっと見て、

私も彼を真っ直ぐに目を逸らさず見ていました。

4階な上に鍵もかかっていたままだったので、

この世のものではないという考えもありましたが、

幽霊にしてははっきりしすぎているというか、生気がある感じがしたので、

私は8割『普通に家に入り込んだ人間』という風に彼を捉えていました。

私は立ち上がって、彼を見た時の違和感をそのまま口に出して言いました。

「知的障害かなんかの子かな・・・?怒らんから、出て行こう。ほら」

そう言って彼の腕を掴むと、その感触は異様なでした。

どっしりと中身の詰まったダンボールのような感触で、気味が悪いものでした。

736 :本当にあった怖い名無し:2011/04/09(土) 00:28:00.59 ID:q0gKb6cs0


すると彼は少し振り払うように腕を動かし、私はその感触もあってか手を離すと、

とぼとぼと玄関の方へ歩いて行き、ドアを開けて出て行きました。

私もすこし待って、下のマンションの玄関あたりを観察しようと思いドアに向かうと、

部屋とドアの間にあるトイレのドアが、ドォン!!!と激しい音を立てました。

私は少し警戒しながらトイレのドアを開けましたが、

誰もおらず、いつもと変わらぬ光景でした。

すると次は、流しの上の観音開きの小さな戸棚から、

ドォン!!と激しい音が聞こえてきました。

なんやねんと思いつつもその戸を開けてみると、

そこには30代後半くらいの男性の顔があり、じっとこちらを見ていました。

私もその男も、じっと少し睨む様な感じで、お互いの目を見ていました。

そして私はなんとなく、

「どうせなんか言うても黙ってんねやろ」と口を開き、戸棚を閉じました。


その後、夕方まで特になにも起こらず、少し睡眠をとったりした後、

当時勤めていた職場であるお店に向かいました。

そこでよく「この店は出る」等とよく言っていた、

自称『霊感がすごい』大学生のアルバイトの女性(Hさん)に、

昨晩泊まった心霊スポットについて尋ねました。


671 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:51:39.87 ID:kja+wGxR0


「Hさん、○○(心霊スポット)って行った事あります?」

「あるよぉ。あるけどもう絶対行きたぁない!」

「やばいんですか?」

「やばいやばい、絶対やばい!あそこ行くん!?」

「行かないですけど、地下がやばいとかって聞いたんですけど」

「だって地下で死んでんやろ!?」

という風なやり取りをした後、あそこはどういう場所か知っているかと聞くと、

更正施設(?)のような所で、どうしようもない不良や、

知的障害の人等が収容されてたとかなんとかと、

聞いた話で確信はないが、という風な感じで教えてもらった。これも有名な話らしかった。

私は少しだけ自分の考えと繋がった気がして、坊主頭の彼を思い出した。


仕事中、携帯電話は基本事務室に置いていたのですが、

アルバイトの従業員が「なんかずっと鳴ってますよ」と、私に報告してきました。

私はなんだろうと思い、携帯の着信を確かめに事務室に向かうと、

確かに携帯は、まだ着信のバイブレーションで震えていました。

672 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:52:48.17 ID:kja+wGxR0

『あ、つながった』

それは先輩Aからの着信で、出てみると、

『なんか(友人)がずっとおかしいねん!!頼む、ちょっと来てくれ、頼む!!』

と、必死に懇願してきました。

その後ろから、叫び声がずうっと聞こえてきていました。

これはただ事ではないと思い、オーナーに電話をかけ許可を取り、

他の従業員に「少し頼みます」と事情を説明した後、友人の家に向かいました。

友人も一人暮らしで、先輩2人と先輩Aの彼女の3人は、よくそこを溜まり場にしていました。

そしてその日も、4人でその部屋に居た様でした。


あまり離れていなかったこともあり、30分弱で友人宅に着きました。

部屋に入ってみると、

「あああああ!!」とひっきりなしに叫んでいる友人と、友人を抱えた先輩B、

泣きはらした顔の先輩Aの彼女、

飲ませようと思っているのか、水の入ったコップを握りしめた先輩A、

知らないおばさん(後で聞くと大家さんでした)の5人がそこにいました。


673 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:55:21.57 ID:kja+wGxR0


私は先輩Aに、「こいつ知らん所でクスリでもやってたんか」と、

攻めるような口調で尋ねました。

先輩Aは「そんな事するわけないやろ!!とり憑かれたんちゃうんかこれ!?」と、

半ばパニックになったような感じで、

「なんとかなれへんのか!?」と私に言いました。

そう言われてもどうしていいのか分からない私は、

とりあえず先輩Bに代わって友人の肩を掴み、

「(友人)、どないしたんや。落ち着け」と声をかけました。

しかし、友人は私の声など聞こえていないようで、叫び声を上げるだけでした。

以前、友人の姉が狐にとり憑かれた、という話を聞いた事がありますが、

それも友人が、心霊現象が苦手な要因になっている事もあるのだろうと、

「大丈夫や、こんなもん気の持ち様や。しっかりしろ」と、耳元で声をかけました。

しかし、友人は叫び声を上げるだけでした。口の端が泡だってきているほどでした。

たまりかねた私は、「黙れ、落ち着け!!」と大声を上げて怒鳴り、

髪の毛を掴んで顎をしゃくりあげました。

すると、友人は叫ぶのをやめたかと思うと、

「ふぅぅ ううっ!!」と甲高い声を上げたかと思うと、

私の腕に顔をうずめるようにしがみついて来ました。

私は友人に、「どうした、もう大丈夫なんか」と聞くと、

友人は顔を埋めたまま首を横に振りました。

「とりあえず水飲もう」と友人から離れようとすると、

叫び声をあげ私の名前を二度叫び、「離れんといてくれえ!!」と泣き声で言いました。

しかたなく私は、その状態で30分くらいの間じっとしていました。

675 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:56:26.58 ID:kja+wGxR0


ある程度落ち着いた友人が、子供のようにせがむのをなんとか言い聞かせ、

先輩Aの彼女に代わりに様子を見てもらい、先輩A、Bの二人と大家さんと部屋の外へ行き、

大家さんにひとしきりお詫びして、3人で話し合いました。

(大家さんは、近所の苦情があったのと、隣に住んでいたため来たようです)


私は「やっぱり○○行ったせいかな」と、先輩Bにも足を掴まれた件を話し、

部屋にいたジャージの男や、戸棚の顔についても2人に話しました。

すると先輩Bが、「お前が怒らせたからちゃうんか」等と言う事を言い出しました。

「怒らせたって、泊まったから?」

「なんかしたんちゃうんか」

「寝ただけやがな」

「それで怒ってんのちゃうんか」

私は「幽霊を?」と少し笑いながら尋ねると、

先輩は急に「もういやや」と頭を抱え、タバコを吸いだしました。

私は少し呆れながら、先輩Aに「どうする?」と尋ねました。

「お祓いしてもらうしかないんちゃうんか」

「あんなもんアテになるんかいな」

「だってそれしかないやろうが」

「怒ってんねやったら、謝ったらええんちゃうん」

「誰によ」

「○○(心霊スポット)行って、幽霊に」

「おい、また行くんか!?」

「だって家かえって、ジャージとかがまた出てくるかどうか分からんし」

「絶対嫌や 行くんだったら一人で行けや」

「別に来いゆうてへんがな」

というやり取りをして、「また(友人)が叫びだしたら電話して」と先輩Aに頼み、

私は自分の家に車を取りに戻り、廃墟へ向かいました。

694 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 22:50:12.99 ID:kja+wGxR0


夜中だった事もあり、自分で運転してみると、

廃墟へ向かう山道は中々際どいカーブなどがあって、一層危険に感じました。


一度道を間違えましたが、なんとか昨日の廃墟に着いた私は、

そこでライト等を何も持ってきていないことに気付きました。

とりあえず外側から廃墟に向かって、

「すいませんでしたー」と少し大きめな声で一声かけました。

が、何も反応はありませんでした。

「なんか反応してよ・・・」と独り言をつぶやいた反面、

「俺なにやってんねやろ」と、少し気恥ずかしい感じでもありました。


私は携帯電話の明かりをあてながら廃墟を歩き回り、

「一晩泊まったからって、そんな怒らいでもええやんかー」

「帰れーゆうてくれたら、歩いてでも帰ったのにー」

と、誰もいないのに、独りで言い聞かせるように話しました。

正直、ほとんど明かりもないのに行くのは嫌だったのですが、

「やっぱり地下なんかなあ・・・」と思った私は、

地下に向かうことにしました。


地下に向かうと、前には感じなかった人の気配を一気に感じました。

「おおっ、これは・・・おるなあ」と、気丈に振舞うためかわざと口に出し、

「いきなり後ろに立ってるとかはやめてね」と言い、

地下の真ん中あたりまで歩きました。

ほとんどなにも見えず真っ暗でしたが、そこで立ち止まり、

「もう来えへんから。ごめんね」と、誰かに言うように言い、少し待ちました。

695 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 22:51:16.46 ID:kja+wGxR0

しかし何も起きず、更に10分くらい待っていると、

気配もなんとなく無くなった感じがしました。

なので、最後に「出てくるんはええけど、俺のとこだけにしてね」と言い、

地下を出ました。


車に戻り、すこしだけ廃墟の外観を眺めた後、

山を降りるため車を走らせました。

運転しているのに足を掴まれては適わないので、

できるだけスピードを落として走行していました。

すると今度は、後部座席から肩を掴まれました。

最初は掴むだけで、どんどん爪を立ててくるような感じでした。

私は「いったぁ・・・」と言いながらも、事故を起こさないよう、

できるだけ安全に、気にしないよう車を走らせました。

どんどん爪を食い込ませる力が強まり、

痛みはどんどん大きくなっていきました。

そして、いつまでも爪を立ててくるその手に腹が立ち、広めの道路の脇に車を止め、

「ちゃんと謝ったやんけ、調子のんなハゲェ!!」と怒鳴り、後ろを振り向きました。

暗いながらも、もの凄く剣幕な顔をした女性が、

私の肩に手を伸ばしているのが見えました。

心の中では、うわぁ・・・こっわぁ~~・・・と思いながらも、

その女性を真っ直ぐ見つめ、「なんやねん」と機嫌が悪そうに言うと、

爪を立てる力がかなり緩くなり、やがて触れられている感触もなくなりました。

とりあえず私は、「いや、ホントすみませんでした。もうあそこ行かないですから」と言い、

「じゃあ僕前向くんで、その間にどっか行ってね。お願い」といい、

前を向いて、車を走らせました。


曲がり道が減ってかなり安全になってから、後ろを振り返ると、

その女性はいなくなっていて、ホッとしました。


699 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 22:52:23.90 ID:kja+wGxR0


二日後、また先輩Aから電話がかかってきて、

友人が叫びだしたと言われ、友人宅へ向かいました。

私は横になり叫ぶ友人を見下ろしながら、

「もうええってお前。落ち着け」と声をかけても、一向に叫びやまないので、

「お前ホンマ、静かにせえへんと本気で殴るでー。はい5、4、3、」

とカウントすると、友人は静かになりました。

「何やお前それ、くだらん演技すなよ」と呆れたように言う私に、

友人は「演技じゃない。急に意識が戻った」と訴えかけてきましたが、

私にはどちらでもよく、

その後、友人がとり憑かれたかのように叫びだす事はなくなりました。


お話は以上です。

今でもたまにおかしなものが見えたりしますが、私は元気です。

『オススメの怖い話(名作・長編)』







著者プロフィール
Sharetube